決戦②
激闘は数十分にも及んだ。
ダドリーも。リオンも。
それぞれ一歩も引かない戦いを繰り広げている。
二人の剣が激突する度に、けたたましい金属音が響きわたり。遅れて突風が発生し。そして衝撃波が舞う。
まさに二人が戦うだけで、周囲に甚大でない影響をもたらしていた。
その戦闘は――まさしく常識外。
目で追うことすら苦労するほどの超速度で、ダドリーとリオンは戦闘を繰り広げていた。
……それでいて、二人は終始無言。
まさに真剣極まる剣撃を、ずっと続けていた。
――だが、やはりリオンのほうが一枚上手。
徐々にペースダウンしていくダドリーに対し、さっきからまったく隙を見せないリオン。戦闘経験の差が少しずつ表れてきてしまったか。
「立ち止まるなダドリー! 私はまだまだ戦えるぞ!」
「ちっ…………!」
ダドリーが舌打ちをかました瞬間……リオンはそっと剣を正中線に構え。
「マクバ流……裏・神速の一閃!!」
「なっ……!」
まさに驚きのスピードでダドリーの背後に回り込むや、そのまま上段に剣を振り下ろしてきた。
ガキン! と。
かろうじてリオンの剣を受け止めたダドリーが、苦々しい表情で呟いた。
「おいおい、聞いてねえぞ……。そんな大技隠し持ってたとはよ……!!」
「ふふ。強くなったのはおまえだけではない……ということだ。そら!」
キィィィィィィィィィィィン!
リオンが力づくで剣を振り払った。
それだけでけたたましい金属音が鳴り響き――その衝撃で、ダドリーが後方に吹き飛んでしまった。
「まだまだいくぞ……! マクバ流、裏・紅葉無突!!」
吹き飛んでいるダドリーに対し、リオンが容赦のない追撃を浴びせる。
一撃、二撃、三撃。
目にも止まらぬスピードで突き技を放ち、そのすべてがダドリーに直撃する。
ダドリーもなんとか剣で防ごうとしていたが、空中ではさすがに防御の姿勢を取ることもできないようだった。
リオンの攻撃をもろに喰らってしまい、悲鳴とともにさらに吹き飛んでいってしまう。
「ぬああああああああああっ!」
悲痛な絶叫をあげ、地面に背中を打ち付けてしまうダドリー。
――これは……勝負あったか……
遠目で見ても、ダドリーの傷は相当なものだ。身体の各所に傷がついてしまっているし、そこから流れ出る血がなんとも痛々しい。
さすがにもう、これは“因縁の勝負”だのなんだの言ってる場合ではなさそうだった。
「ダドリー君! 助太刀する!」
「来るなっ!!」
――しかしダドリーは、レイファーの声を思い切り否定する。
「ここで助けられちまったら……俺は、一生後悔しちまう。だから……頼む。あんたはそこで、待っててくれ……!」
そう言いながら、剣を地面に突き立て、起き上がろうとするが……
――駄目だ。
いまの連撃で、ダドリーもかなりのダメージをもらってしまっている。起き上がるだけで精一杯のようだし、両足に至ってはもうフラフラだ。
「……どうやら、ここまでのようだな」
そう呟きながら、リオンがゆっくりとダドリーのもとに歩み寄っていく。
「まさかこの手で、おまえを逝かせることになろうとは思っていなかったが……これも定め。受け入れるがよい、我が弟子……ダドリー・クレイスよ」
「…………」
リオンが剣を大きく掲げている間にも――ダドリーは一歩たりとも動かない。
なんとか剣を構えようとしているようだが、あの様子では、もう戦うことすらままならないだろう。
「ダドリー君……!」
もはや四の五の言っていられる場合ではあるまい。
ここはなんとしてでも彼を助けねば……!!
そう判断したレイファーは、息せき切って走り出す。
「へ、へへへ……」
その間――ダドリーがなんと薄く笑いだすではないか。
「嬉しいぜ、リオンさん……」
「ん…………?」
さすがに謎に思ったのか、リオンの動きがぴくりと立ち止まる。
「あんたは強ぇ。マクバ家の信用が失墜して、みんながあんたを白い目で見てきてもよ……。たとえアリオスがあんたを心の底から嫌っててもよ……。それでもあんたは、剣聖だ。俺にとっちゃ……大事な恩人だ」
「…………」
「だから、嬉しいんだ。あんたがこんなに強いってことがわかってよ。だからこそ……こんなとこで、諦めるわきゃいかねえんだ!!」
ガキン! と。
ボロボロの身体で、ダドリーはなんとリオンの剣を受け止めるではないか。
「俺は負けねぇ……!! 絶対にあんたを、また王都に連れて帰るまではな!!」
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