おい、また奇妙なメンバーだぞ
後書きに大事なお知らせがあります!
「き、君は……」
片膝をつきながら、レイファーは闖入者の姿を見上げる。
闖入者――すなわち、ダドリー・クレイス。
彼はゆっくりとこちらに歩み寄ってきながら、レイファーとは目も合わせずに言った。
「勘違いすんな。てめぇのことはとっくに許してるが……味方だとも思っちゃいねえ。間違えるなよ」
そしてリオンに再び目を合わせると、一瞬だけ両の瞳を潤ませるや……気迫のこもった声で言った。
「やっと会えたな。リオンさん」
「ふぅ……やれやれ」
予想外の再会に、リオンもすっかり戦意を削がれたらしい。
レイファーに差し出していた剣を鞘にしまうと、改めてダドリーに向き直った。
「私を探しているとは聞いていたが……まさか本当に再会するときがこようとはな。……知っているだろう。かつての私はおまえのスキルだけに惚れたのだ。このようにして追われ続けるほど……恩義があるとは思えないのだがね」
「いいや。んなことぁねぇ」
ダドリーはリオンの発言をきっぱり否定すると。
以前までの《横暴な孤児》とは似ても似つかない、澄んだ瞳で言った。
「わかってるさ。俺そのものに、大した価値はねえ。《白銀の剣聖》っていうスキルを授かることがなけりゃあ、俺はいまでも孤児院にいただろう。底なしのクズ野郎ってことは……自分でも自覚してら」
「…………」
「だから、礼を言いにきたんだ。こんなクズ野郎を拾ってくれたリオンさん……あんたにな」
「ダドリー、君……」
ここまでの話を聞いて、レイファーは思わず目を見開いた。
――驚いた。
かつてのアウト・アヴニールでの戦いは、彼をこれほどまでに成長させたというのか。
《横暴な孤児》としてマクバ家の評判を失墜させた彼の姿は……もう、どこにもない。
「…………」
リオンもまた、ダドリーの成長に驚いているのだろう。
しばらく目を見開くと――
「ふふ……ははは」
と、くぐもった笑みを浮かべた。
「なるほど。そうか。ダドリー……おまえも、その境地に立ったのだな」
「――だから、引き戻しにきたぜ。リオンさん」
ダドリーはゆっくりと剣を鞘から抜くと……その切っ先をリオンに向けた。
「アルセウス救済党でも、異世界人とやらでもねえ。かつて世話になった師匠への恩返しの意味で……いまここで、あんたを異世界人から引き離してやる!!」
「…………」
そうか。
そういう、ことか。
ダドリーはただ喧嘩を売りにきたのではなく、文句を言いにきたのでもなく。
いままで育ててくれた恩返しとして……リオンを異世界人から引き離す。それがいまのダドリーにできる、精一杯の礼というやつなのだろう。
――であれば、自分も。
――いい加減、片膝をついている場合じゃあるまい。
「ダドリー君の、言う通りだ」
レイファーは震える足でゆっくりと立ち上がると、決然とした瞳でまっすぐリオンを見据えた。
「君はそちら側にいるべき人間ではない。数えきれないほどの咎を背負った者として……君に、世界を滅ぼさせるわけにはいかないのだよ!」
「あんた……」
大声で宣言するレイファーに、ダドリーがうっすらと目を見開く。
「ま……まさか戦うつもりかよ? そんなボロボロの身体で」
「ふふ。誰にものを言っているのかね」
レイファーは不敵に笑みを浮かべると、再び剣の切っ先をリオンに向けた。
「王族としての地位は失っても、王族としての誇りは失っていない。たとえこの身潰えようとも、民と国を守り切るのが王族としての務めだ……!」
「はん。そうかよ」
にやりと笑うダドリー。
「せいぜい足手まといになるなよ? 俺ゃあ、アウト・アヴニールのときよりまた強くなってるぜ?」
「ふふ。楽しみにしているよ、《白銀の剣聖》――ダドリー・クレイス君」
二人で戦闘の構えを取るレイファーとダドリーに。
「ふふふ……はははははは……!」
リオンは再び、甲高い笑い声をあげた。
「まさかこの三人で戦うことになろうとはな……! 面白い。かかってきなさい、レイファー殿下に我が息子よ!!」
【※ どうぞお目通しくださいませ……! ※】
本作の3巻について、「1/30に発売」とお伝えしていましたが、正しくは【1/28】、つまり【今日が発売日】です!
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売上によって執筆のモチベーションも大きく変わってきますので、
どうぞアマゾンでもリアル書店でも、ご購入いただけますと幸いです(ノシ 'ω')ノシ バンバン
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あ、もちろん、吐くくらいの気持ちで書いたので、web版よりめちゃ面白くなってます!
よろしくお願いします!(ノシ 'ω')ノシ バンバン




