表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

172/188

咎人として

 その一方で。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!」

「ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおお!」


 元王子のレイファー・フォ・アルセウスは、リオンと激闘を繰り広げていた。


 一帯に金属音が響きわたり。

 剣が激突するたびに火花が散り。


 両者一歩も引かない戦いを、レイファーたちは繰り広げていた。


「驚きましたぞ、殿下……! まさか、これほど腕を上げていらっしゃるとは……!」


「君も……噂以上の強さだね……!」


 剣の応酬を続けながら、二人は戦闘を続ける。


 だが……軍配が上がっているのはリオンのほうか。


 元王族と元剣聖では、当然ながら元剣聖のほうが強い。

 最初のうちは互角に渡り合えていたレイファーが、少しずつ苦い表情を浮かべ始める。


 ――だが。


「くおおおおおおおっ!」

 レイファーはそれでも止まることなく、かつてアリオスとの戦いで拝借した技を使用する。

「淵源流・一の型……真・神速ノ一閃!」


「おおおっと……!!」


 さすがのリオンもこれには驚いたらしい。


 神速のごときスピードで放たれるレイファーの剣を、上半身を逸らすことでなんとか回避する。


 だが完全回避には至らず――剣の切っ先がリオンの頬を薄く撫でていった。


 レイファーはそのままリオンから距離を取って着地。


「はは……いまのを避けるとはね……。さすがに想像していなかったよ……」


「なにをおっしゃいますか。私に傷を負わせられる者はそういない。あっぱれという他ありませんな」


「ふん、それはどうも……」


 リオンはこう言っているが、戦況はどう見ても絶望的。


 レイファーはいま、ほぼ零距離で《真・神速ノ一閃》を使用してみせた。不意をついた最高の一撃で……ただのかすり傷しか負わせられなかったのだ。


 ――強い。

 これが元剣聖の強さということか。


「…………」


 だが、それでもレイファーの闘志は揺らがない。


 ただただ静かに、ゆっくりとリオンに向き直り――

 再び、リオンに向けて剣の切っ先を差し向ける。


「……なるほど。この程度では、殿下の決意・・は揺らぎませんか」


「ふふ、そういうことだね」

 やや息を切らしながらも、レイファーの瞳はまっすぐリオンを捉えていた。

「リオン君。君とてわかっているはずだ。君が手を組んでいる相手――異世界人が、どれほど危険な連中であるかを」


「…………」


「君と異世界人がどんな関係性・・・なのかは知らないが……結局、相手は異世界人だ。連中に媚びを売ったところで、簡単に切り捨てられる可能性さえある。それくらい……君ならとっくにわかってるんじゃないのかい?」


「……ええ。もちろん、わかっていますとも」


 なんだろう。

 リオンの表情から憂いの表情が読み取れたのは――レイファーの気のせいだろうか。


「ですが、それでも私は彼らとともに歩むことを決めました。《全人類奴隷化計画》を推し進め、世界に終焉をもたらすことを」


「……ふむ」


 ミルアや影石によって意識を操作されている……わけではなさそうだな。


 仮に《意識操作》をされているのだとしたら、これほどの知能を保っていることはできない。かつての自分がそうだったように、理性そのものが消え失せ、少しずつ言動があやふやになっていくだろう。


 だが、いまのリオンにその様子はない。

 徹底して素のまま……正常の状態だ。


「君は……あえて異世界人に手を貸すというのか。そこまでするメリットが、いったいどこにある……!?」


「ふふ。だから言ったでしょう。あなたと同じ気持ちであると」


 リオンは剣の切っ先をレイファーに差し向けると。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ! と。


 一帯に巨大な振動を発生させるとともに、見るも強大なオーラを迸らせた。禍々しい闇色のオーラは影石のそれと酷似しているが、やはり影石に呑み込まれている様子でもなさそうだ。


 ――気合。

 リオンはただの気合だけで、この港町ポージ全体を揺らしている……!


「なあに、別に不思議なことでもなんでもありません。アリオスを憎みダドリーを憎みアルセウス王国をも恨み……そんな私が世界を滅したいと思うのは、なにも不思議なことではありますまい!?」


「…………ぐっ」


 なんという熱気。

 さすがは元剣聖というだけあって、その迫力は最強クラスだ。


「……ひとつ、聞かせてくれたまえ!!」


 両腕を交差してその熱気を受け止めつつ、レイファーは大声で訊ねた。


「君がそこまでの恨みを抱くようになったのは、きっと……いや、間違いなく私のせいではないのかね!? 私が影石に呑み込まれることがなければ、君もマクバ家としての地位を保つことができていた……!!」


「…………ええ、そうですな。きっかけのひとつとなったのは間違いないでしょう」

 そしてリオンはじっと中腰となり、構えの姿勢を取った。

「……先ほど私は《もう恨みはない》と言いましたが、訂正させていただきますぞ。本音を言えば、あなたと殺し合いができて……心から嬉しい気分です!」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ! と。

 さっきより激しい振動が一帯に発生し、レイファーは目を見開いた。


「ぬっ…………!!」


 これは……やばいな。

 さすがに次元が違いすぎる。


 油断をすれば一瞬にして命を奪われかねないだろう。


 だが。

 それでも……レイファーの決意は、揺らがない。


「いいだろう、剣聖・・リオン・マクバ君!」

 レイファーも同じく中腰になり、剣の構えを取る。

「敵わないとわかってても……挑ませてもらう! それが咎人たる私の……最期の償いだ!」



【※ 重大なお知らせ ※】


この作品につきまして、「3巻」が「2022/1/28」に発売されます!


表紙もすでに出来上がっていまして、このページの下部で確認することができます。


画像クリックで書報ページにいけますので、【 ぜひ今のうちにご予約 】してくださいますと幸いです!


それが執筆のモチベーションに直結しますので……!


web版よりもさらに面白い出来となっていますので、ぜひお手に取っていただけると嬉しいです(ノシ 'ω')ノシ バンバン


よろしくお願いします(ノシ 'ω')ノシ バンバン

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


▼【※超速報※】 「コミカライズ一巻」が【 2022年9月30日 】に発売されます! 下記の画像クリックで書報ページに飛べますので、ぜひ今のうちに予約してくださいますと幸いです!▼ 明日9/30、チートコード操作のコミカライズ一巻が発売します! 超面白い内容となっていますので、ぜひお手に取りくださいませれ(ノシ 'ω')ノシ バンバン ↓下の画像クリックで商品紹介ページに飛べます! i000000
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ