おい、オンナの匂いってなんだよ
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夜8時。
港町ポージの宿屋にて。
「じー…………」
「な、なんだよ」
「アリオス様。なにしてたんですか……?」
「別になにしてたっていいだろ……」
真向いに座るアンが、じとーっと僕を睨みつけてくる。
しかもなぜか、ほっぺたを大きく膨らませた状態で。
「私にはわかってますからね。これはオンナの匂いだって……!」
「はいはい……」
レイとは通信機器で話しただけなのに、なにが《オンナの匂い》だ。
たぶん、そう言いたいだけだろう。
「アリオス様、私にも約束してくださいね。今度一緒にお出かけすることを」
「お出かけって……。それならいまもしてるじゃないか」
「これとは違うんです! ちゃんと、二人で!」
「はいはい……」
なぜ《二人で》の部分にこだわるのかは不明だが、まあ、せっかく港町に来たわけだしな。暇を見つけて、後で散策してみるのもいいかもしれない。
そんな時間があれば――だが。
「ははは……」
カーナが苦笑を浮かべる。
「ほんと、アリオス準元帥は女性への人気がありそうですな。ええ、羨ましいですよ非常に。今度私にもモテる方法を教えてほしいですな」
「なに言っとるんだおまえたちは……」
二人揃って訳のわからんことを。
おかげで気が削がれてしまったじゃないか。
「こほん」
僕は咳払いで無理やり場の雰囲気を整えると、改めてカーナを見据えた。
「それで、カーナ。王国各地の様子について……なにか、わかったことはあったか?」
「ええ……もちろんです」
カーナは頷くや、バッグから何枚かの資料を取り出した。
この休憩時間、彼が集めてきてくれたものだ。
もちろん彼にも休んでほしいと言ったのだが、それでもカーナは調査をしたいと申し出た。アンやウィーンに比べれば戦闘力的には及ばないものの、それでもある程度はベテランの軍人。
この件に関して、色々と使命感みたいなものを感じているのかもしれないな。
「結論から言いますと、剣士Fの言っていたことは本当のようですね。王国の各地にて、謎の瘴気が立ち上っている箇所が何点か確認されたようです」
「ふむ……」
頷きつつ、差し出された資料を受け取る。
ムカレス村。
オージニア商業都市。
ダレス町……などなど。
資料には瘴気の発見された地名と、詳しい状況が記されていた。
「剣士Fが見せてきた場所と……同じところになるってわけか」
「ええ。そういうことになるでしょう。実際にも、その近辺では手強い魔物の出没が確認されているようです」
「そうか……」
ともなれば、答えはもはや確実。
剣士Fの言うことを全面的に信じるつもりはないが――少なくとも王国各地で不穏な動きがあることだけは確かだ。
それもおそらく、影石の影響だろうな。
十数年前から異世界人は粛々と準備を進めていて……そして封印が解かれたいま、大々的に動き出そうとしている……
そして気になる点は、それだけじゃない。
「それと……ヴァルガンド帝国の件でしたな」
カーナは机上でペラペラと資料をめくり、目的の資料を見つけるや手を止めた。
「こちらも剣士Fの言う通り、不穏な動きを見せていることは確かです。アルセウス王国を中傷する運動が激化したり、近年では軍事費に多額の資金をかけているようでしてね……。帝国に比肩する国家は我が国しかありませんから、色々と勘繰らざるをえないわけです」
「なるほどな……」
やはり、準元帥になったことで色々と情報収集がスムーズだな。
もしかしたらユーフェアス現国王は、このことも考慮していたのかもしれない。
「カーナ。ひとつ聞きたいんだが、いいか?」
「ええ。なんでしょうか」
「帝国の不穏な動きというのは……だいたいいつ頃から確認できたんだ?」
「そうですな。えっと……」
そこでカーナの動きがピタリと止まる。
そして震える声で僕を見据え――静かに告げた。
「約14年前……。王国各地で瘴気が現れた時期と、ほぼ一致しています……」
「…………」
やはりそうか。
異世界人とヴァルガンド帝国。
一見なんの関係性もないこの両者の要素が、ぴたりと一致した。
「ここまでの一致……。ちょっと気味悪いですわね」
アンも両腕を抱えて身を震わせた。
「ああ……。さすがに偶然とも思えない」
――もし我々を止めたくば、港町ポージの動静に目を光らせることだ。必ずや気づけるものがあるだろう――
先ほど剣士Fはそう言っていた。
あいつが何者かは不明だし、すべての情報を信じるわけにはいかないが――
さすがにこれを野放しにしてはおけないな。
「アン、カーナ。しばらくはこの地に身を置こう。なにが起こるかもわからない」
「ええ、もちろんですわ」
「イエス・マイロード」
それぞれに元気よく返事をする二人。
もちろん、剣士Fの発言が嘘だったことを踏まえ、各地でも警戒態勢を敷かねばならないだろう。そのへんの伝達はカーナに任せることとし、今夜はいったん解散することにした。
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