表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

153/188

おい、めちゃくちゃ当たってるんだが

 探索の最中も、異魔獣は定期的に現れた。

 影石と同様、どこからともなく急に出没するんだよな。


 どの個体も、あのジャイアントオークをはるかに凌駕する実力を有していたが……それでも、僕やウィーンにはさすすべなく倒れていった。


 そもそもが攻撃力を8倍にしてるわけだからな。


 いくら強敵とはいえ、大ダメージは免れないだろう。


「なんか……すごい不気味……」


 アンが嫌そうな表情でそう呟いた。

 依然として、僕と腕を絡めたままだ。


「おいアン。くっついていいとは言ったが、くっつきすぎだ」


「だって。怖いんですもん」


 僕の腕をぎゅっと抱きながら、身を寄せてくるアン。


 柔らかいものがずっしりと当たっているのは、わざとなのか、もしくは本当に怖いのか。


 真意はわかりかねるが、カーナがすごく羨ましそうにこちらを見ていた。

 ウィーンにいたっては「フフ」と笑っている始末である。


「イタイッ」


 僕はそんな古代兵器にチョップをかましてやると、改めてアンを見下ろした。


「怖いのはわかるが……おまえだって凄腕の剣士なんだぞ? そんなに臆することはないと思うが」


「わかってます。でも、なんかこの空気に触れるだけで……すごく嫌な気持ちになるというか……」


「…………」


 そうか。

 アンは普通の人間に見えるが、その実態は人造人間ホムンクルス


 そして現在、ホムンクルスが生み出された原因はわからないまま。


 アルセウス救済党がホムンクルスを生み出したのは間違いないが、そのアルセウス救済党でさえ、異世界人に意識を操作されていたわけだからな。


 この場所に本能的な恐怖を感じるのも、もしかしたら関係しているのかもしれない。


「だから……ごめんなさい。いけないのはわかってますけど、もう少しこのままにしてもらえたら嬉しいです」


「ああ……。わかった」


 僕は静かに頷くのだった。


 それから何分経っただろう。

 いままで一本道の通路が続いていたのが、急に開けた場所に出た。


 円形状の大広間のようだな。

 

 壁面には等間隔で蝋燭ろうそくがあるものの、それでもどこか薄暗い。中央に仰々しい祭壇があり、その壇上には見覚えのあるものが置かれていた。


「影石……。ヤハリアリマシタカ……」


 そう。

 祭壇の上に置かれているものは、見るも巨大な影石。


 かつてアウト・アヴニールの最奥部にも大きな影石があったが、サイズ感はそれに似ているな。


 通常の影石は片手で収まるサイズだが、いま目の前にある影石は、腰の高さにまで迫る。


「こんなところに影石があったとは……もう確定だな」


 僕はぼそりとそう呟いた。


 ポージ旧校舎を取り巻く一連の事件は、影石が関与していた可能性が高い。

 そう見ていいだろう。


「そ……そんな」

 僕に腕を絡ませたまま、アンがこちらを見上げる。

「アリオス準元帥。そしたら……その異世界人っていうのは、10年も前から動きまわってたってことですか……?」


「ああ……。そうなるな」


 二千年前にファルアスたちが異世界人を封印してくれたそうだが、それでも同志Aを始めとする一部の敵は暗躍していた。おそらくだが、長い時を経て徐々に封印が解け始めていたんだろうな。


「アリオス様。サッソク影石ヲ破壊シテシマイマショウ。前ニモ言イマシタガ、私ハソノ石ガ好キデハアリマセン」


「ああ……。だが、その前に」

 僕はゆっくり振り返ると、鋭い視線を背後に向けた。

「いい加減、出てきたらどうなんだ? コソコソ動きまわられると、こっちも気配をたどるのに苦労するんだが」


「へ……」


 カーナが目を丸くした、その瞬間。


「フフ……」


 僕らのはるか頭上で、見るからに怪しい人物が宙に浮かんでいた。


 白い兜に白い鎧。

 カーナから教えてもらった《不審人物》にぴたり該当する格好だった。


「うそ……浮いてる……?」

 アンがぽつりとそう呟いた。


「あ、あいつは……ッ!」

 一方のカーナは警戒心もあらわに剣を抜くと、その切っ先を不審人物に向けた。

「貴様、いったい港町でなにをしている! 貴様のせいで、住民はみな不安がっているぞ!」


「クク。まあそう怒るでない」


 なんと。

 あいつも同志Aと同じく、あの兜に細工を入れているようだな。


 不審人物の声は、人のものとは思えない、なんとも低く不気味なものだった。


「アリオス・マクバ。……いや、もう準元帥と呼んだほうがいいか」

 不審人物はゆっくり地上に降り立つと、妙に落ち着き払った様子で言った。

「驚いたよ。まさか私の気配にさえ気づくとは。人間には決して気づけないはずなんだが」


「当タリ前デショウ。アリオス様ハ人間ジャアリマセン」


「ほう……そういう君は女神の作り出した機械人形か。……なるほど、会えて光栄だよ」


 不審人物は肩を竦めてそう言うと、再び僕に顔を向けた。


「それにしても、困ったものだな。せっかく橋を壊しておいたにも関わらず……わざわざここまでやってくるとは」


いつも読んでくださっている皆様、ありがとうございます。


当作品は書籍版も発売しておりますが、こちらでの更新ももちろん頑張りますので、ぜひブックマークや評価で応援していただければと思います。


(評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップorクリックすればできます)


大変なときにポイント上がってるのを見るとかなりモチベになりますので……お手数ですが、何卒よろしくお願いします(ノシ 'ω')ノシ バンバン!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


▼【※超速報※】 「コミカライズ一巻」が【 2022年9月30日 】に発売されます! 下記の画像クリックで書報ページに飛べますので、ぜひ今のうちに予約してくださいますと幸いです!▼ 明日9/30、チートコード操作のコミカライズ一巻が発売します! 超面白い内容となっていますので、ぜひお手に取りくださいませれ(ノシ 'ω')ノシ バンバン ↓下の画像クリックで商品紹介ページに飛べます! i000000
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ