表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

151/188

おい、やっぱり一筋縄ではいかないぞ

 思った通り、ジャイアントオークは定期的に沸き続けた。


 いきなり黒いもやが発生したと思ったら、そこからジャイアントオークが現れるのである。


 まさに不可解極まりない、謎の現象だ。


「せあっ!」

「グガァァァァァァァァァア!」


 といっても発生するのは一匹ずつなので、そんなに苦労しない。


 沸き次第、倒してしまえばいいだけだ。


「……さてと、こんなもんか」


 いまも僕の一閃によって、ジャイアントオークが白目を剝いて倒れるところだった。


 さすがに何体も相手にするのは骨が折れるが、たった一匹だけであればそんなに苦労しない。


「さも当然のように倒してますけど、ジャイアントオークは指定Aの魔物ですよね?」


 道中、カーナがアンにそう耳打ちする一幕があった。


「ええ。私もそう記憶していますわ」


「なのに、なんで準元帥は一撃で倒してるんですか?」


「それはもちろん、アリオス様だからですわ♪」


「……なるほど。あのお年で準元帥になられるわけだ」


 会話内容が丸聞こえだったが、放っておく。


 本当は修行の一環でアンにも戦ってもらいたいんだけどな。事態がひっ迫している現在、その余裕はない。


「ウィーン。どうだ?」


「ソウデスネ。ココカラ妙ナ気配ヲ感ジマス」


 そう言ってウィーンの鉄棒が指し示したのは、壁面の一角。


 一見するとなんの変哲もない壁に見えるが、この奥から妙な気配を感じるという。


「ふむ……。この奥に大元の影石があるってことか」


「マダワカリマセンガ……可能性ハアルデショウネ」


 この校舎のどこかに、事件の元凶となる影石がある――


 それが、僕とウィーンの見立てだった。

 過去の謎めいた事件といい、今回のジャイアントオーク大量出現といい……


 一連の出来事が、影石によって引き起こされた可能性が高い。


 ウィーンもそう言っていたし、僕も異論はない。


「さて、すまないが三人とも下がってくれないか。いまからこの壁を壊してみる」


 かつてレイファーの私室からアウト・アヴニールに繋がったように。

 この壁にも、似たような仕掛けが施されている可能性があるわけだ。


「せいっ!」


 かけ声とともに剣を振り払うと、破砕音とともに壁の一部分が崩壊した。


「む…………」


 その際、若干の抵抗感も感じた。

 かつてのアルセウス救済党のアジトと同様、防御魔法が敷かれていたようだな。


 ……まあ、関係ない。


《チートコード操作》の攻撃力アップ(小)があれば、たいていの防御魔法は突破できる。


 そして……


「やはりか……」


 予想通りというべきか、壁面の向こう側には未知の世界が広がっていた。


 どうやら牢獄のようだな。

 遠くに見えるのは――まさか頭蓋骨だろうか。あれだけじゃなく、随所に骸骨のようなものが散らばっている。


 だが、それ以上のことはわからない。

 明かりそのものが存在しないため、あまりよく観察できないのだ。


「カーナ。こんな場所……知ってるか?」


「いえ……。長くポージを担当していますが……こんな場所は聞いたことがありません……」


「そうか……」


 学校になぜ牢獄が存在するのか……現時点では、なにもわからない。


 だが、ここが怪しいことは間違いないだろう。


 奥から感じる尋常でない気配は、あのアウト・アヴニールにも似ている。


「ア、アリオス準元帥……これは……」


 さすがに怖くなったのだろう。

 アンが僕の片腕にしがみついた。


「ああ……僕のそばから離れないでくれ」


 本来ならば上官として叱るべきところだろう。

 だが、なにが潜んでいるかわからない以上、彼女には僕から離れないでほしい。


「しかし……まいりましたな。こうも真っ暗では、探索のしようがありません」


「いや、問題ないだろう」


 そう言うと、僕はスキル《チートコード操作》を発動する。

 使う能力は、火属性魔法の全使用。


「それっ……と」


 僕が右手をかざすと、小さな火球が浮かび上がった。


「ナルホド……《ファイアーボール》ヲ浮カビ続ケルコトデ、視界ヲ確保スルワケデスネ。……デアレバ、私モオ手伝イシマショウ」


 そう言うなり、ウィーンの両目から眩い光が放たれた。


「わわっ……!」

 アンが大きく目を見開いた。

「ウィーンちゃんすごい、そんなこともできるのね……!」


「フフ、私ニデキナイコトハナイノデス!!」


 誇らしげに笑うウィーン。


 すこし調子に乗っている感は否めないが、ウィーンのおかげで視界を確保することはできた。


 やはり牢獄のようだな。

 思ったより通路の横幅は広いようだが……どこからどう見ても不気味である。



「…………っ!」

 刹那、僕は表情を引き締め、咄嗟に戦闘の構えを取った。

「来るぞ! みんな警戒態勢っ!!」


「え……」 


 アンが目を見開いた、その瞬間。


 僕たちの目の前に、音もなく魔物が出現した。


 いや――魔物というには不気味だ。

 全身が影のように揺らめいており、人間のように両手と両足がある。両目の部分には赤い縦線が刻み込まれ、右手には大きな鎌が握られている。


 しかも一体だけではないようだな。

 奥からさらにもう一体現れ、合計で二体の影が僕たちに立ちふさがっている。


「なんだこいつら……! こんな奴ら、見たことないぞ……!?」

 カーナも顔面蒼白で剣を抜く。

「……オソラク、異世界カラ解キ放タレタ異魔獣いまじゅうデショウ。カノ《ヴァニタスロア》ト同ジク、現代ノ《指定ランク》ニハ収マラナイ実力ガアルハズデス」


 そう言うのは古代兵器のウィーン。

 さすが、かつて女神と一緒に戦っていただけに詳しいな。


「そんなのがここから現れるとはな……」


 ――これはますますきな臭い。

 この事件、やはり一筋縄ではいかなそうだな……!


 そんな思索を巡らせながら、僕は敵の攻撃に備えるのだった。

 


ラブコメも投稿しています! どうがお読みくださいませ↓

拝啓、僕を殺したあなたへ。 〜高校生にタイムスリップした三十路の派遣社員は、もう二度と幼馴染を死なせたくない〜

https://ncode.syosetu.com/n4501gc/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


▼【※超速報※】 「コミカライズ一巻」が【 2022年9月30日 】に発売されます! 下記の画像クリックで書報ページに飛べますので、ぜひ今のうちに予約してくださいますと幸いです!▼ 明日9/30、チートコード操作のコミカライズ一巻が発売します! 超面白い内容となっていますので、ぜひお手に取りくださいませれ(ノシ 'ω')ノシ バンバン ↓下の画像クリックで商品紹介ページに飛べます! i000000
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ