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おい、危険ってレベルじゃないぞ

「お、おいおいおい……」


 動かなくなったジャイアントオークの群れを、僕は呆気に取られて見つめていた。


 謎スキル《裏チートコード操作》。


 その能力のひとつ――《殲滅》は、まさに文字通りの意味だった。


 あれほどうるさかったジャイアントオークが、瞬時にして死亡したのである。


 いやいや……やばいだろこれ。

 危険ってレベルじゃないんだがそれは。


 しかも《異世界人化》したいま、元のステータスさえ大きく高まっているように感じられる。


 すこし邪悪に染まりすぎているので、乱用はしたくないんだが……

 いざというときの切り札にはなるだろう。


 実際にも、今回は《殲滅》がなければ乗り切れなかったしな。


 と。

 そんなことを考えてる場合じゃないな。


「冒険者さん、これを彼女に……!」


 僕は《異世界人化》を解除すると、小瓶に詰まった薬品を赤毛冒険者に手渡した。


「こ、これはまさか、ハイエリクサー……!?」 


「構いません。彼女の命が最優先です!」


「…………っ」


 言いながら、赤毛の冒険者は慌ててミルアの口にハイエリクサーを流し込んだ。


 通常のエリクサーも高価な代物だが、ハイエリクサーはさらにその上をいく。

 エリクサーが傷を即時回復するのに対し、ハイエリクサーは状態異常の全回復までしてくれるわけだ。


 それだけに高価であり――希少材料を使っているためか滅多に売ってない。


 だから赤毛冒険者も驚いていたようだが、背に腹は代えられないしな。

 これで誰かの命を救えるのなら本望だ。


「すや……すや……」


 数分後。

 ハイエリクサーを飲んだミルアは、穏やかな寝息を立てて眠っていた。


 かなりの重傷を負ったようなので、すぐには目を覚まさないようだけど……これなら問題ないだろう。


「はぁ……」


 ほっと一安心ついたのか、赤毛冒険者が胸を撫でおろした。


「よかったですね……助かって」


「ああ……そうだな……」

 そしてまじまじと赤毛冒険者に見つめられた。

「あんた……すごいな。はっきり言って敵わないよ」


「いえいえ……恐縮です」


 なんというべきだろう。

 赤毛冒険者のけんが、少しだけ取れた気がするな。すこしは僕のことを信用してくれたのだろうか。


「ミルアさんとは……長いんですか?」


「そうだな。ずっと一緒に冒険者をやってきた。性格は正反対だが、だからこそ気が合ってるのかもしれん」


「はは……そうなんですね……」


 ジャイアントオークと戦っていたとき、赤毛冒険者はずっとミルアを守りながら戦っていた。その気になれば自分だけが逃げられる状況だったのに、それでも仲間を守り続けていたんだ。


 第一印象はあれだったが、本来他人思いの優しい剣士……

 それが彼女という人間なのだろう。


 しかし……


「アリオス・マクバ。この状況……まだ終わってないみたいだな?」


「ええ。むしろこれから・・・・でしょう」


 ジャイアントオークの群れを倒すことには成功したが、床一面に漂う瘴気しょうきは消えていない。


 またさっきみたいにジャイアントオークが湧き出してくる可能性があるわけだ。


 だからこそ――まだまだ油断できない。


 僕は赤毛冒険者に向き直ると、改めて告げた。


「冒険者さん。あなたのお気持ちはわかりますが、あなたにはミルアさんもいます。ここは……僕らに任せていただけませんか?」


「…………」

 赤毛冒険者はしばらく黙りこくると。

「……ダリアだ」


「え……?」


「ダリア・ニールセン。冒険者という名前じゃない」


 そして赤毛冒険者――改めダリアは、くるりと振り返ると、ミルアを抱えながら言った。


「……この場を譲るからには、しっかり生きて帰ってくれ。負けたら承知しないぞ?」


「はは……了解です」


 ダリアは横顔だけでこくっと頷くと、そのまま旧校舎を後にするのだった。


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