表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/188

おい待てどういうことだ

「マ……マジか」


 僕は思いっきり目を見開く。


 部位別の蓄積ダメージ。

 なんだろうと思ったら、こういうことだったのか。


 今回の場合は、右足のゲージを破ったことで、ジャイアントオークの転倒に繋がったのだろう。


 こりゃ、この能力も化け物だな。

 相手の体力がわかるだけでもぶっ壊れ性能だが、部位別の蓄積ダメージまでわかってしまうとは。


 他の能力よりは派手さに欠けるが、うまく立ち回れば強力な力であることは間違いない。


「ゥゥゥゥゥゥウ……!」


 呻き声をあげながら足掻くジャイアントオーク。

 すぐには起き上がれなさそうだが、こいつは指定Aの魔物。ここで与えられる限りのダメージを与えたい。


 僕は剣を鞘に納めると、左足を前に出し、構えの姿勢を取る。

 極限にまで集中力を研ぎ澄まし、自分の呼吸に意識を向ける。


 ――いま!


 マクバ流・第一秘技。

 鳳凰剣。


 僕は瞬時に駆け出すと、縦横無尽に動き回り、ジャイアントオークを切り刻む。


 一撃。

 二撃。

 三撃。


 最後にジャイアントオークから距離を取り、突進しながらありったけの剣撃を見舞う。


 ドォォォォォォォォン! と。


 僕の剣を振るった軌跡が赤く燃え上がり、大爆発を起こす。その爆炎は、さながら飛び立つ鳳凰のよう。


「おお……!! あれは!」


 カヤが驚きの声をあげる。仲間にポーションを飲ませつつ、こちらの戦いに見入っていたようだ。


 これがマクバ流の秘技がひとつ、鳳凰剣。


 父上ならもっと高威力の技を繰り出せるし、鳳凰の姿ももっと華麗だ。

 僕にはこの程度で限界だが、《攻撃力アップ(小)》の力を借りている現在なら、そこそこの威力にはなるはず。


「グアアアアアアアッ!!」


 響きわたるジャイアントオークの悲鳴。一ツ目をぎゅっと閉じ、じたばたもがいている。


 よし、効いてるようだ。

 あとは魔法でできる限りのダメージを狙おう。


 スキル《チートコード操作》発動、火属性魔法全使用を解放。


 終極魔法――プロミネンスバースト。

 途端、本日二度目の大爆発がジャイアントオークを襲う。悲鳴は聞こえなくなっているが、あのブラックグリズリーを一撃で倒した魔法だ。一定のダメージは与えられているはず。


 撤退の好機である。

 ジャイアントオークのことだ、モタモタしていたらなにをしてくるかわからない。


 僕は咄嗟に身をひるがえし、カヤたちのもとへ走る。


「いまがチャンスです! 皆さん、逃げましょう!」


「…………」


 しかしカヤはぽかんと立ち尽くしたまま動かない。そばにいるユウヤも同様だ。


「なにしてるんですか! 早く逃げないと殺されますよ! いまのうちに――」


「いや……。その……」

 カヤは後頭部をさすりながら、微妙な表情で言う。

「逃げるって……なにからですか?」


「へ?」

 なにを言ってるんだこの冒険者は。

「決まってるでしょう。ジャイアントオークから逃げないと!」


「……ジ、ジャイアントオークならあそこで死んでいるように見えるんですが」


「えっ」


 驚いて振り返る。


 もうもうと立ちこめる黒煙のなかで横たわるジャイアントオーク。

 あれほどうるさかったのに、いまは微動だにしていない。


 念のため、ジャイアントオークのゲージを確認してみるが……見当たらなかった。あいつの体力を示しているはずのゲージが、綺麗さっぱり消え失せている。


 ……ってことは、まさか本当に。


「あ、その、あれですね」

 僕は気まずさを覚えながら、後頭部をさすって言う。

「皆さんが体力を削ってくれてたので……いいとこ取りしちゃったみたいですね」


 「いやいや、なに言ってんですか!!」


 カヤの突っ込みが入った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


▼【※超速報※】 「コミカライズ一巻」が【 2022年9月30日 】に発売されます! 下記の画像クリックで書報ページに飛べますので、ぜひ今のうちに予約してくださいますと幸いです!▼ 明日9/30、チートコード操作のコミカライズ一巻が発売します! 超面白い内容となっていますので、ぜひお手に取りくださいませれ(ノシ 'ω')ノシ バンバン ↓下の画像クリックで商品紹介ページに飛べます! i000000
― 新着の感想 ―
[一言] あんな事まで経験したのに自分の力を把握出来ないって 正直、今までの経験と状況で推論すれば 解放した能力くらいなら直ぐ分かるじゃん。 剣聖にならなかった事に拘るのも程々にすれば 良いのに弱腰…
[一言] いやびびらせんなよ 一瞬火属性最強の魔法って実は大したことないの? と思ってしまったじゃないか
[良い点] とりあえず究極魔法ってどんだけ脳筋やねん(笑)
2020/08/08 14:33 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ