表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

125/188

おい、これが一撃で小国を滅ぼす攻撃か?

「ゴォォォオオオオオ!!」


 ヴァニタスロアの胴間声どうまごえが響きわたる。

 相変わらずとんでもない威圧感だ。あいつが一声ひとこえ発しただけで、周囲の空間が歪んでいる。アウト・アヴニール全体が悲鳴をあげている。


「……っと」

 その音圧を、ダドリーは交差した両腕で受け止める。

「アリオス。もしかして、あいつ……」


 どうやら同じことに気づいていたみたいだな。


「ああ」

 僕はゆっくりと頷きながら応じる。剣を構えつつ、警戒だけは絶対に解かない。

「あいつは……前に戦ったヴァニタスロアより格段に強そうだ。感じる力が全然違う」


 俗に言う亜種というやつか。

 姿形すがたかたちはほとんど同じだが、体色の一部が異なっていたり、体型がすこしだけ違ったり……


 見た目の違いはほとんどないのだが、しかし戦闘力においてはその限りではない。ほとんどの亜種が《原種》より断然に強いのだ。


 そういった理由から、原種と亜種では指定ランクが異なる場合がほとんどである。


「その通り。おまえたちの時代の言葉で言うなら、あいつはヴァニタスロアの亜種だな」

 ふとオルガントが口を開いた。

「ヴァニタスゾローガ……我らの時代ではそう呼んでいた。もちろん、戦闘力はヴァニタスロアの比ではない。その片腕を振り下ろすだけで、小さな国など一瞬で消し飛ぶだろうな」


 やはりそうか。

 ヴァニタスロアと戦う前は、それこそ《いままでのどんな敵よりも強い》と思ったが……


 あいつは、それの比じゃないってことか。 


「……でも、関係ありません」

 僕は一歩前に踏み出しながら、決意を込めて言い放った。

「あいつが世界に脅威をもたらすのであれば……この剣で倒すまでです。たとえどんな強敵でも」


「アリオス……」

 レイが頬をピンク色に染めた。

「うん……そうだよね! あの魔物はめちゃくちゃ強そうだけど、それでも怖じ気づいちゃいられない!」


「なんだ。おまえにも怖いものがあったのか」


「もう! 真剣な場面でそういうこと言わない!」


「いてっ」


 パシン!

 と腕を叩かれた。


「ふっ」

 そんな僕たちに、初代国王が微笑みを浮かべる。

「アリオス、レイ。おまえたちほど有望な若者は、数千年前にもいなかっただろうな。おまえたちが数千年前のアルセウス王国に生きていれば……」


「ちょ、陛下……」


 なんだ。

 めちゃくちゃスケールのでかい持ち上げ方をされたんだが。


「なーに明快なことだ。ヴァニタスゾローガはかなりの強敵だが、アリオスさえいればその脅威がだいぶ薄まるということだ」


「全然明快じゃないんですがそれは」


 ほんと、ドシリアスな場面なのに、ここまで緩いのはいかがなものか。 


 まあいい。

 戦力は充分に揃ってる。

 僕は全力で戦うまでだ。


 スキル発動。

 チートコード操作。


 ―――――――


 使用可能なチートコード一覧


 ・攻撃力アップ(小)(中)

 ・火属性魔法の全使用

 ・水属性魔法の全使用

 ・無属性魔法の全使用

 ・対象の体力の可視化

 ・対象の攻撃力書き換え(小)(中)

 ・吸収

 ・無敵時間(極小)

 ・古代兵器召喚(一)

 ・対象の経験値蓄積の倍加

 ・○○○○の○


――――――


 ヴァニタスゾローガ相手には、いかなる手加減も不要だろう。

 ここは使えるものをすべて使っていくのが最善手か。


 そう判断した僕は、余すことなくチートコードを起動する。 

 攻撃力アップ(中)。

 攻撃力の書き換え(中)で自身の攻撃力を10倍。


 さらに火、水、無属性の魔法も使用できるようにしておく。


 古代兵器の召喚だけは、現在は無理だな。ウィーンはカヤ率いるAチームで戦ってくれているため、ここに呼び出すわけにはいかない。


「おおおおおおっ!」


 できるだけのチートコードを解放した僕は、気合いを込め、力を解放する。


「……っ、おいっ!」

 なぜかぎょっと目を剥くダドリー。


 ドォォォォォオオオ! と。

 それだけで周囲の空間が激しく揺らいだ。空間がぐわんぐわんと歪み、僕の周囲だけ大きな穴が穿っている。


「ば、ばっきゃろ! なんちゅー力だよおまえ!」


 なぜかダドリーに怒られた。


「ん? どうかしたか?」


「あの……さっきヴァニタスゾローガが叫んだときより被害がでかい気がするんですけど」


 エムも呆れ気味に呟く。


「…………」


 ヴァニタスゾローガが叫んだときより被害がでかいなんて……そんなまさか。相手はオルガントの思念体でさえおののく魔物だ。そんなことがあろうはずもない。


 相変わらず、良い意味で緊張感のない仲間たちである。このぶんなら心配ないか。


「僕が先陣を切る。みんなはサポートを頼んだぞ!」


 そう言い残し、全力で地を蹴る。

 かつてない速度で景色が後方に流れていく実感を味わいながら、僕は瞬時でヴァニタスゾローガとの距離を詰めた。


「ギッ…………!?」


 このスピードを視認したのはさすがというべきか。ヴァニタスゾローガが高速で手を振り下ろしてくる。


 速い!

 だが、ついていけないことはない!


「おおおおおおおっ!」


 僕は刀身を前方に構え、防御の姿勢を取る。


 ドォン!

 ヴァニタスゾローガと僕の剣とが激突した。


 それだけですさまじい衝撃が舞い、空間がまたしても歪む。


「ガッ…………!?」 


 ヴァニタスゾローガが初めて驚愕の表情を浮かべた――ような気がした。いままで攻撃を受け止められたことがなかったとでも言うように。


 この一撃だけで小国を滅ぼせるだけの威力があるそうだが、そこまでの力は感じないな。オルガントは僕の気を引き締めるために、あえて誇張したのかもしれない。


 淵源流、一の型。

 冥府ノ無限閃。


「おおおおおおおっ!」


 僕はヴァニタスゾローガの背後に回り込み、無数の攻撃を叩き込んでいく。《攻撃力アップ(中)》によって引き上げられた力を、さらに10倍に引き上げているわけだからな。


 一撃一撃を見舞うだけで、激しい振動が空気に拡散していく。


「ダァァァァァアアアッ!!」


 だが、それで終わらないのはさすがといったところか。

 ヴァニタスゾローガは雄叫びをあげるや、さっきとは比較にならないスピードで腕を振り下ろす。


 しかもなにかしらの技を使っているっぽいな。

 背中から無数の腕が生えており、そのすべてが僕に襲いかかってくる。


 以前のヴァニタスロアは遠距離攻撃もしてきたが、こいつは物理特化なのかもしれないな。魔法は打ってこないものの、すべての攻撃が重く、かつトリッキーだ。


 だが、それでも関係ない――!


 僕は《無敵時間(極小)》を用いつつ、ヴァニタスゾローガの猛攻から距離を取る。


 そして魔法を発動。


 選ぶ魔法は――全部である。


 火属性魔法の終極魔法――プロミネンスバースト。

 水属性魔法の終極魔法――クリスタル・ゼノン。

 無属性魔法の終極魔法――ソウル・アポリカプス。 


 同時に三属性の魔法を発動し、そのすべてをヴァニタスゾローガに叩き込んでいく。 


 一帯を破壊し尽くす大爆発、縦横無尽に襲いかかってくる超高水圧の奔流、床に浮かんだ魔法陣から溢れ出る不可視の重圧。


 それらにすべて直撃し、ヴァニタスゾローガは絶叫をあげる。 


 ――よし、トドメを刺す絶好の機会だろう!


「いまだみんな! 全員で一斉にトドメを――!」


 しかしながら、レイもエムもダドリーも、ぽかんと口を開けて立ち尽くすのみ。

 オルガントだけが、くくくっと愉快そうに笑っていた。


「アリオスよ。せっかく余が登場したにも関わらず、出番を奪ってしまうとはな。さすがはファルアスの子か」 


「え?」


 出番を奪う?

 なんの話だ?


「見てみろ、ヴァニタスゾローガは絶命しておるよ。とうにな」


「ま、まさか……」

 

【書籍の発売日が決定しました……が!】


1月30日に、モンスター文庫様より発売致します!

……が、発売日変更にならない限り、おそらく緊急事態宣言と被ってしまいます。


このままでは危ないです(ノシ ;ω;)ノシ バンバン

予約していただけると、めちゃくちゃ助かります。


嫌になるくらい何回も原稿見直して、さらに編集さんからいただいた赤でかなり改良されてます。

ですから自信を持って、《絶対面白い!》と断言できます(ノシ 'ω')ノシ バンバン


それなのに書店に並ばないのはだいぶアレです(ノシ 'ω')ノシ バンバン

ぜひ、よろしくお願い致します。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


▼【※超速報※】 「コミカライズ一巻」が【 2022年9月30日 】に発売されます! 下記の画像クリックで書報ページに飛べますので、ぜひ今のうちに予約してくださいますと幸いです!▼ 明日9/30、チートコード操作のコミカライズ一巻が発売します! 超面白い内容となっていますので、ぜひお手に取りくださいませれ(ノシ 'ω')ノシ バンバン ↓下の画像クリックで商品紹介ページに飛べます! i000000
― 新着の感想 ―
[気になる点] 違ったらすみません。 ソウル・アポリカプスについてなんですが、 ソウル・アポカリプスではありませんか?
[良い点] アリオスさん、ヴァニタスゾローガのHPはゼロよ。
[気になる点] ……とりあえず攻撃力アップ(中)とやらは世界の危機まで永久封印しといた方がよくないすかね。 下手したら世界が滅ぶわ(虚ろな目)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ