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おい、意味がわからんぞ

 地下通路の制圧は容易だった。


 レイ。

 カヤ。

 ユウヤ。

 ウィーン。

 エム。


 これだけの強者が揃っている以上、いくら第19師団といえど、たいした敵ではない。


 そもそも、みんな《対象の攻撃力の書き換え(小)》で強化しているからね。

 元々強かったみんなが、さらに強くなっているわけだ。


「はぁぁぁぁぁぁぁあ!」


 そのなかでも、取り立てて大きな活躍をしているのがカヤだった。

 さすがAランク冒険者というだけあって、彼女の動きには寸分の無駄もない。


「ルーティス流が一、雷神のつるぎ!」


 カヤはそう叫ぶや、大きく剣を振り払う。

 それと同時、いくつもの巨大な落雷が、兵士たちに容赦なく降り注いだ。


「ぬおおおおおっ!」

「つ、強いっ……!!」


 驚いたことに、あの技は敵のスピードを一時的に下げる効果もあるようだ。

 さすがはAランク冒険者――その強さは伊達じゃない。


「カ、カヤさん……。なんか、以前よりさらに強くなってますよね……?」


 そんなカヤに対し、ユウヤが呆れの目を向ける。


「うん。アリオス師匠・・に稽古をつけてもらったら、こうなったんだ」


「なるほど。それなら納得ですね」


「いやいや、そこで納得しないでくださいよ!?」


 僕がそう突っ込むも、

「だってアリオス君だから……ねぇ?」

 と言われてしまう始末。


 まったく意味不明である。


 ……というのはさておき、この突入に備えて、みんなで特訓したのは本当だ。


 ――どうか私たちに稽古をつけてください――


 そう言って、カヤたちが懇願してきたのである。

 エムやレイはともかく、カヤに稽古をつける意味がわからなかったものの――僕はそれを了承。


 そして昨日稽古を終えたときには、カヤは僕を《師匠》と呼ぶようになっていた。


 Aランク冒険者が弟子になるって……明らかにおかしいだろ。

 色々と突き抜けてんぞ。

 ……という僕の突っ込みは、カヤの「そんなことないですから!」という一言によって却下されてしまったわけだ。


 そして。

 そんなこんなで、僕たちは難なく目的地に到達。


「この扉が、例の……」


 ぽつりと呟く僕に、レイが「うん」と同意を示す。


「そうだね。これがきっと……オルガント陛下の仰っていた《巨大扉》だと思う」


 壁面にそびえる巨大な二枚扉。

 道中にてそれを発見したんだ。

 銀色に輝くその扉には、なんとも奇妙な紋様が描かれており、どことなく荘厳な雰囲気を放っている。


 無機質な地下通路において、その扉は異様な存在感を放っていた。


「いったん……ここでお別れですね」

 重苦しい沈黙を、カヤが破る。

「レイ。私らBチームは、別のルートで進んでいけばいいのね?」


「うん。ここを真っ直ぐいけば王城に繋がっているはずだから……きっと、多くの兵士たちが待ちかまえていると思う」


 そう。

 カヤ率いるBチームは、レイファーらの知っている《避難通路》から王城に突入する。ここには間違いなく多くの戦力が投入されているはずだ。


 そしてカヤたちが兵士を引きつけている間に、僕らAチームはこの二枚扉から突入を図る。

 この経路は初代国王や女神のみが知っているので、安全に攻めるには最も適した場所といえるだろう。


「はは……しかし」

 ユウヤが後頭部をかきながら苦笑を浮かべる。

「思いも寄らなかったよ。まさか王城に侵入する日が来ようとは」


「そうですね……僕も同感です」


 一歩間違えれば、反逆罪で刑務所行きだ。


 それでも――あのレイファーを野放しにするわけにはいかない。

 あいつはアルセウス救済党と結託している。あのまま放っておいたら、なにをしでかすかわかったもんじゃない。


「アリオス君。幸運を」

 ユウヤはかつてアジトでそうしたように、ぐいっと親指を突き出す。

「信じているよ。君ならばきっと――薄汚れたこの国を救ってくれると」


「ありがとうございます。Bチームの皆さんも……ぜひご無事で」


 ちなみにBチームの面子は、カヤとユウヤ、それとウィーンである。

 強者揃いだから心配はないだろうけど、相手が相手だからな。一抹の不安が残る。


「フフ、ソンナ心配シナイデクダサイヨォ、アリオス様」

 変なトーンでそう言うのは、古代兵器のウィーン。

「大丈夫デス。私タチモ頑張ルノデ……アリオス様タチモ、ドウカゴ無事デ」


「……ああ、そっちはよろしく頼む。――絶対、生きて帰ろう!!」


 最後に僕たちは、みんなで右手を重ね合わせ、気合いを込めて別れるのだった。


  ★


 さて。

 僕らAチームの面子は、僕とレイ、そしてエムだな。


 王城の構造に一番詳しいレイ。

 そしてアルセウス救済党との確執があるエム。


 そういった理由から、このAチームに選抜されたわけである。若干の力不足は否めないが、そこは僕がどうにかするしかあるまい。


「え……と、えとえと」

 巨大な二枚扉を見上げながら、エムが僕の裾を掴む。

「これからどうするんでしたっけ? この扉、普通には開きそうにないんですけど」


「大丈夫だ。……見ててくれ」


 僕は懐から《真紅の宝石》を取り出す。女神の力の一部を託したという、言うなれば神の遺物だ。

 それを扉の前でかざすと――


「わっ!」

「眩しっ……!」


 突如、眩い光が宝石から放たれる。《漆黒の宝石》とは違い、燃えたぎる炎のように真っ赤な色である。


 と。

 ギィィィィィィィイイイ……!


 さっきまで重苦しく鎮座していた二枚扉が、呆気なくその内部を晒し出すではないか。


「開いた……本当に……!」

 目を見開きながら、興奮したようにレイが呟く。

「この扉だけはずっと謎のままだったのに……ご先祖様の言ったことは本当だったのね……!」


「ああ……。そうみたいだな」


 レイやレイファーでさえ知らない、王城への隠し通路。

 ここを通ることができれば、相当のアドバンテージを取ることができるに違いない。


「行こう。カヤさんたちが兵士たちを引きつけてくれている間に!」 


「うん!」

「が、頑張ります!」


 レイとエムに挟まれ、僕はまだ見ぬ隠し通路へと足を踏み入れるのだった。

 

 


本作におきまして、書籍化&コミカライズが決定しました!


いったん書籍化作業落ち着いたので一安心ですが(ノシ 'ω')ノシ バンバン

番外編どうしよう(ノシ 'ω')ノシ バンバン


今後とも面白い作品を届けたいと思いますので、ぜひブックマークや評価で応援していただければと思います。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 王子と姫さんしか出てないんだけど、王様って死んでんのかな? コード○アスみたいに存在はするけど政治には携わってない、みたいな形かな?
[一言] 書籍化&コミカライズおめでとうございます! 楽しみにしていますので、 エタらないよう、今後も執筆をお願いします。
[良い点] おお!コミカライズおめでとうございます!!
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