表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

101/188

おい、またか

 夜。

 ラスタール村の家屋にて。


 ふかふかなベッドの上で、僕は後頭部に両手をのせて寝ころんでいた。窓から流れてくる温風が、なんとも心地良い。


「アリオス……」


 そして僕の隣には、レイミラ・リィ・アルセウス――改め、幼馴染みのレイ。


 薄いタオルのみをまとっただけの彼女は、おろした金髪をかきあげながら、ちょっと甘えた声を発する。


「あのね。さっきご先祖様から、もうひとつ言われたことがあって」

「もうひとつ?」

「うん」


 レイは僕の手を自身の胸におさめ、ぎゅうと握りしめながら言った。


「ご先祖様とファルアスさんは、かつて一緒に戦場を駆け抜けた無類の親友らしくて。二人で一緒に戦えば、勝てない相手はいないとまで言われてたの」

「二人で一緒に……」


 なるほど。


 ファルアスは当然だが、初代国王オルガントの立ち居振る舞いもかなり精錬されていた。さすがにファルアスほどではないにせよ、オルガントも凄腕の剣士であるように感じたんだ。


 伝承においても、剣聖とともに戦う国王がいまでも語り継がれている。


「そう思えば納得だよな。あの二人は、心の底から通じ合っているような……話さずともすべてをわかりあっているような……そんな関係だった」


「うん。私もそう思いゆっ」


 語尾がつっかえたのは、僕がふいにレイの頬をつまんだため。


「むー。痛いんですけど」

「いままでの仕返しだ」

「なんのことかわからない」


 レイは僕の手を除けると、さっきの話を再開した。


「だから一緒に戦ってほしいって。きっと最高のコンビになるからって……」

「最高のコンビ……」


 たしかに思い当たる節はある。

 ヴァニタスロアとの戦いにおいても、彼女は未熟ながらも阿吽の呼吸で僕を助けてくれた。


 戦闘面ではまだ心許ないかもしれない。

 だけど、ここぞというときに的確な動きをしてくれるのが彼女だった。


「だから一緒に戦いなさいって。きっととんでもない強さを発揮するからって……言われたんだ」

「とんでもない力……」


 と。


――――――


 受諾。受諾。

 チートコード起動。

 初代国王の力を移行します。

 完了。完了。

 

――――――


 僕の視界に見覚えのあるメッセージが浮かぶや、ふいに、僕とレイの全身が淡く輝きだした。


「え……」

「な、なにこれ……!?」


 目を見開く僕とレイ。

 だが、別段なにか変化があったわけではない。

 強いて言うなら、なんとなく全身が温かくなっている気がする。


 だけど、それだけだ。

 いつものように、新たな能力を手に入れたような気はしない。


「レイ。そっちにはなにか変化あるか?」

「ううん。わかんない。だけど」


 レイはやや赤くなった顔で自分の両手を確認した。


「なんとなく、嬉しい気持ちになったような、すごくなったような気がする……」

「すごくなったような……」


 なんとも曖昧な話だな。

 まあ両者ともに害があったわけではなさそうだし、気にすることもないか。


 そのときだった。

 むにゅっ――と。

 レイが再び抱きついてきたのは。


「おいおまえ、さっき――」

「だめー。もっと一緒にいたいの」

「…………」


 嘘だろまったく。

 結局、眠りにつけたのは真夜中であった。


 ★


 一方その頃。

 Aランク冒険者のカヤ・ルーティスは、レイの家を訪ねていた。


「メアリーさん……でしたっけ? ここにアリオスさんとレイはいませんか?」

「いえ……ここにはいません」


 首を横に振るメアリー。

 その表情はどこか諦観に染まっていた。


「大事な話があるからって……今日は宿に泊まるってレイミラ様は仰っていました」


「宿に……そうですか」

 そう呟くカヤもどこか諦め気味。

「こりゃー……レイに先越されたわね。まったくもう……」


「あら。カヤさんもアリオス様を……?」

「え? あ、はい。素敵な方だなと思っていました」

「ふふ。そうですね。アリオス様はこの世で一番素敵な方です」


 メアリーは片手に持っていたハンカチ――かつてアリオスから渡されたもの――で手を拭くと、ふふっと天使の笑みを浮かべた。


「それでも、私はアリオス様の召使い。これまでも……そしてこれからも、それが変わることはありません」

「メアリーさん……」


 カヤは一瞬だけ切なげな表情を浮かべると、ぶんぶん首を横に振った。


「うん、そうね。私もいつかアリオスさんに追いつけるように頑張らないと! メアリーさん、よければご一緒にお茶でもどうですか?」

「あら、いいですね。私もちょうど話し相手が欲しかったところです」


「あ、私もっ!!」


 脇で会話を聞いていたエムも参戦し、こちらはこちらで、騒がしい一夜が始まるのであった。

 


本作におきまして、書籍化&コミカライズが決定しました!


詳細はまたご報告しますが、今後とも面白い作品を届けたいと思いますので、ぜひブックマークや評価で応援していただければと思います。


(評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップ&クリックすればできます)


P.S


ただいま書籍化作業中ですが、どうすればもっと面白くなるかに悩んでいます。

もっと文章の密度を上げるか、なにかエピソードを追加するか……うーん。

なにかご意見ありましたらお願いします(ノシ 'ω')ノシ バンバン

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


▼【※超速報※】 「コミカライズ一巻」が【 2022年9月30日 】に発売されます! 下記の画像クリックで書報ページに飛べますので、ぜひ今のうちに予約してくださいますと幸いです!▼ 明日9/30、チートコード操作のコミカライズ一巻が発売します! 超面白い内容となっていますので、ぜひお手に取りくださいませれ(ノシ 'ω')ノシ バンバン ↓下の画像クリックで商品紹介ページに飛べます! i000000
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ