オトモが出来ました
「だってよお…鏡も無いんだぜ〜
慣れたらちゃんと変化できるとは思うんだけどよ」
革ジャンが言い訳する。
「姿を変えられるのは凄いと思うよ。」
アレかね…昔の超能力少年の3つの僕のクロヒョウ的な感じかな
「バビ○2世か!そうそう!そんな感じ。大きさはそんなに大きくなれない。せいぜい人間大。
今はちょっと革が足りないからなぁ…」
俺が思い描いたアニメが伝わったらしい。
どういう理屈なのかわからないが、何気に便利だな。
「革が有れば人並みの大きさにも変身できるってことか?」
「おう!お前のサポートしていくには、人型の方が良いんじゃねえか?さっきの猿の革を取り込んじまつても良かったんだけどな…」
そんな事も出来たのか…
「今さらどうしようもないからな、一番良いのは毅が今履いてる革のチャップスなんだよ。お前が身につけていた物なら俺にも馴染みやすいからな。出来ればグローブもくれよ。」
ちょっと悩んだが、さっきの猿みたいな奴が他にもいるならコイツに頼るしか俺には手立てが無いんじゃないかと思い、渡すことにした。
「え〜と…チャップスとグローブは脱げば良いのか?」
「いいや、そのままで良いぜ。勝手に取り込むからな。」
言うが早いか、俺の全身に黒い膜の様なモノが広がってGパンの上に履いている革のチャップス(オーバーパンツの様なモノ)と手につけている革のグローブを包み込んだ。
苦しい訳でも痛い訳でもないが、ぞくっとする…
俺の首から下は真っ黒い革の様なモノに
そして猿の時の様に“ズルリ"と俺の身体から勝手に脱げ、俺の正面に立ち上がる。
見た目は
黒いライダースーツを着たグラマーな女性。
フランスの怪盗の孫アニメに出てくる
不○子ちゃんみたいだ。
顔は無いけどな
「何で顔付いてないんだよ!」
「さっき言ったじゃねえか!鏡も無いのに作れないって!」
「じゃあ何で身体というか、体型はそんなグラマラスなんだよ!」
「そりゃあアレだ、背中の絵から作ったからな」
「それが出来るんなら、顔も絵から取れば良いじゃねえかよ…」
「………そうだな。」
俺はひたすら山を降りる。
方角的なものに不安はあるが、気分はさっきまでより随分楽になった。
隣に居るコイツのおかげだろう。
改めて作った顔はお面の様だが、遠目にはわからないと思いたい。
イヤ、さすがに無理か…
一番謎で不思議で、釈然としないのは、会話するとき頭部についている口からは声が出せず、胸元に移動したドクロがカパカパ口を開いて喋るっていう…
ホラーじゃん…