出口が無い⁉︎
バッグからベーコンとバケットを出して、フライパンで炙る。
食欲をそそる脂が焼ける匂い。
腹が減っては戦もできなきゃ、良い考えも浮かばない。
まずは軽く腹拵えすることにした。
さて。
第一の問題はココがどの辺りなのかって事。
電波届かなくて位置情報が取れなければ、地図アプリもあてにできないよな…
コンパスはつかえるだろうから、オフラインで地図表示して高速のトンネルの位置から推測するか…
でも…
トンネル抜けられなかったんだよな…
外には出られたけど…
スマホを取り出して…
再起動中?
ロゴマーク点きっぱなしだ。
暫し待つ。
おいおい…いつまでやってんだ?
強制終了も効かないじゃないか!
「何なんだよ今日は!」
折りたたみの椅子にスマホ置いて、辺りをもう一度確認することにした。
灌木の種類は分かんないけど、桑の葉みたいにも見える。こんな山の中に自生してるか知らんけど。
下草は何だろう
ススキの仲間かなぁ…
食べられるやつなら大体わかるんだけど…
結構みっちり生えていて、掻き分けていくのは少し厳しいか?
革ジャン革パン、グローブにメットと完全防備なら怪我もしないでいけるかな?
鉈でもあれば良かったけど……
俺には使えないか?
「しかし、コレって施設のメンテナンスとか考えてなかったのか?相当の年数放置してあったのか?」
たいした時間調べたわけでは無いが、結論としてはこの場所から続く道などはその痕跡すら見当たらなかった。
どう考えてもおかしいと思うんだけど、高速道路施設の管理出口がそれだけポツンと存在するなんて有り得るのか?
50年近い人生でこんな事初めてだ…
というか、こんな目にあった奴居るのか?
椅子の上のスマホは未だにフリーズしたままだ。
とりあえずポケットにしまい、椅子などを片付ける。
最後に確認した時間から見て、まだ午前中のはず。
適当に目星つけて、少し降るか登るかしよう。
開けた場所に出られると良いが、何も見つけられなかったときのためココに戻ることを前提に動こう。
荷物をまとめて背負う。
何となく非常出口に振り返った。
「何で?」
そこにあるのはどう見ても自然石。
バカでかい。
扉はついているが穴は無い。
そう……穴は無い。
続いているはずの階段もない
「嘘だろ……」
茫然と立ち尽くしてしまう…
現実とは思えない…
ゴッ!