命名からの
ガツンと、ペグを地面に打ち付ける。
ゆったりと3〜4人用のタープを貼って中央に折り畳みイスを置く。
バックから焚き火台を出してセット。
元ピン芸人のCamptuberがオススメしてた軽いやつだ。
初めて使うけど。
沢は石がゴロゴロしているが、割と乾きめで薪にする枯木に事欠かない。
一緒に薪拾いするヤツに声を掛ける。
「お前の名前決めたぞ〜イナバだ。」
イナバはこっちを向いてちょっと考えている風だったが
「悪くないな」
と言いつつ上機嫌で作業に戻った。
焚き火台の前で一息つく。
あたりはすっかり暗くなり、焚き火に照らされてイナバが佇んでいる。
何を考えてるんだろう?
そもそもココは何処なんだろう?
なんでこんな事になってしまったんだろう…
よく焚き火を見て癒されるとかいうヤツが居るが、俺には無理だ。
火を見てると落ち着けない。
火加減とか気になってしまう。
職業柄なのかな。
ふと、思い出してジーンズのポケットからスマホを取り出す。
そろそろ復帰してるだろうか?
「?なんだこれ?」
画面にはよくわからない文字と、リンゴのマーク。
でも、リンゴが欠けてないよ?
しばらく眺めていると
「アップデートします」って…
喋った!
そんな機能付いてたか?
白いバーが左からスーッと伸びていく。
満タンまでいった途端、リンゴが欠けた。
そんな演出あるんだ…初めて知った。
再度バーが左から伸びて…
またリンゴが欠けた。
さっきの反対側だ…
「新しいOSなのかな?でも…ふつうロゴマークいじらないだろ…」
思わず呟くと、イナバが顔を上げる
「どうかしたのか?」
「いや、スマホがな…なんか変でさ」
「ようやく起きたのか…寝坊助め」
呆れるように呟く。
「何か知ってるのか?」
イナバは、さもつまらなそうに
「先程言っただろう?説明は他の奴に聞けって」
両手を上げてOH NOポーズまでしやがる
「だからそいつは何処にいて、いつ会えるんだっての?」
ちょっと頭に来て、強めの語気になってしまった。
『申し訳ありません。私がご説明いたします』
俺のスマホが喋った。