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(プロローグ)
彼女や彼氏も居ない者が自分の初恋がいつだったのかなんて考えたところで、きっと明快な答えは出無いに違いない。なぜなら初恋の定義が曖昧過ぎて「何が初恋だったか」を特定できないだろうからだ。
例えば他とは一線を画する美人でグラマーだった幼稚園の先生だとか、憎まれ口をきく割にいつも側にいたクラスメートの女子だとか、印象深い女性や気になる女の子はその時々に居たし、好意を持つ対象もちらほらと居た筈だ。
そのどれもが自分にとっての初恋だったような気もするし、そんなものはまだ訪れていないのだと言われれば、敢えて否定しようという気にならないものまた事実だ。
きっとそんなものは恋が成就した時に後付けで設定されるものなのだろう。
これはそんな話である。
……たぶん。




