お金の話
強く、太く。
流れるようになる世の中がいい。
小さい頃からコツコツと集めていた。
特に誰かに言われたからではなく、ただただ集まっていくそれを見つめるのが好きだった。
家の手伝いをして。
それとは別にもらえる小遣いを貯めて。
たまに開催されるイベントで手伝いをして駄賃をもらうこともあった。
少しづつ、ほんの少しづつ数字が増えていった。
そのことが嬉しくて仕方なかった。
それでも、夜な夜な貯金箱から取り出して、並べてにやにやするのは流石にやりすぎだっただろうか。
ともかく、そうしてそれは溜まっていった。
そんなある日、衝撃的な出会いをした。
『それ』は魅力的で、どうしても欲しくて。
同時にとても高かった。
にも関わらず、それを購入した。
ちゃんと価格分の料金を払って。
数字はごそっと減った。
今までは貯まることがとてもうれしかったのに。
あんなに大切に眺めていたのに。
長い時間をかけて少しづつ貯めたものだったのに。
使ってしまうのは一瞬で。
その後はそれらのことを思い出すこともない。
そうしてそれらとは別れを告げ、『それ』は手元にやってきた。
それでもそれはちゃんとその分の価値があって。
ボクの心のもとても満足だった。
そして世界はまた一つ、豊かになった。




