強さの話
数ある物の中で、こういった場合に何かを『選べる』と言うのも強さの一つではないかと。
例えばの話をしよう。
あなたはある日、小さな部屋に閉じ込められてしまった。
部屋に窓はなく、出入り口は厳重に施錠されていて、脱出はできない。
部屋の真ん中にはスイッチが一つと、その横に小さな紙切れがあった。
紙には、
『我々は、世界中の人に感染し、死に至らしめるするウイルスを作り上げた。人々を助けて欲しければボタンを押すといい。君と親しい人間100人を殺すことで全世界の人を助けよう。』と書かれている。
そしてその裏側には、
『どちらも選べないというのであれば仕方ない。君のポケットに入っている薬を飲むといい。君自身の命と引き換えにその両方を助けよう。』と続けてあった。
ポケットを弄ると、確かに一粒の薬が入っていた。
と、同時にさっきまで読んでいた紙が燃え始め、跡形もなく失われてしまった。
あなたならどうするだろうか。
ボタンを押すだろうか。
押さずに薬を飲むのだろうか。
それとも……。
例えばの話をしよう。
あなたは迷いなく、そのボタンを押した。
世界中の何億という人々は救われた。
救われた事に気づかずに。
そしてあなたは、100人を殺した、狂った殺人犯として逮捕される。
例えばの話をしよう。
あなたは苦悩した上で、ボタンから遠ざかって薬を飲んだ。
やはり世界中の人は救われた。
しばらくして。
また一人、あなたと同じように部屋に閉じ込められた。
例えばの話をしよう。
何も考えられなくなったあなたは、ボタンから遠ざかり、薬も部屋の隅に投げ捨てた。
しばらくすると、物音がして出入り口が開いた。
助かった。
あれは単なる脅しだったのだ。
誰も死ななくてよかったのだ、と。
喜んで外へ出たあなたは、近くに見えた街に走っていく。
そして。
そこには誰一人、生きている人間はいなかった。
あなたは、あまりの悲しみに狂ってしまった。
あなたならどうするだろうか。
ボタンを押すだろうか。
押さずに薬を飲むのだろうか。
それとも……。
Whoです、どうも。
ええと、なんと言いましょうか。
少しづつにはなると思いますが、心の内側を晒して形にしていこうと思います。
それでもよければお付き合いください。
ではでは。