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常連様のサンタさん

作者: 綾崎オトイ

季節外れですが、何か活動しないと死ぬと思いまして。続きも書きたいな、とは思ってる。

私が働いているコンビニにはサンタさんがくる。

と言ってももちろん本物のサンタクロースではないけど。


いつも赤いスカジャンを羽織っているお兄さん。アッシュグレーの髪色も合わさっているから勝手に命名。サンタクロースのおじいちゃんみたいでしょ。全然若いお兄さんだけど。

よくあるでしょ。バイト先の常連さんとかに勝手にあだ名つけるやつ。そんな感じ。


すこしいかつめな赤いスカジャンのお兄さんは毎日のように見かける完璧な常連様。買うものはお酒だったり煙草だったりお菓子だったりいろいろ。かなりの頻度でうちのコンビニを使ってくれる。


でも夏も冬も赤いスカジャン。

薄そうだから夏はいいけど、冬の今はちょっと寒そう。思ってるより暖かかったりして?


スカジャンの背中には派手な柄。でも何かはよくわかんない。模様?かな?

文字みたいなのも書いてあるけど読めない。筆記体?達筆すぎる日本語?もうそれすら区別がつかない。私が馬鹿なわけではない。ちょっと特攻服みたいでかっこいいとか思ってないよ。私も着てみたい。


12月24日。今日はそんな聖夜なわけですけども。


非リアな私は普通にアルバイト。街中ではないここはクリスマスいえどそんなに客足はない。呑気にいつもと同じようにお仕事ですよ。たまにチキンとケーキ買ってくおひとり様とかいるけど。

私も後で買おうかなー。寂しー。


レジで気を抜いて頬杖ついていたところに、入口の音楽が鳴り響いた。やけに軽快な音楽に顔を向けて営業スマイルを。


「いらっしゃいませー」


ちょっと気だるげ?んなことない。コンビニ店員なんてこんなもんだよ。深夜よりマシでしょ。


サ ン タ さ ん だ 。


いや、いつもの赤いお兄さんの方なんだけど。

サンタさんだよ。サンタクロースだよ。

いやほんとに。いつにも増してサンタさんなんだって。


いつもの赤いスカジャンに何を思ったのか赤いニット帽を被ってるのには思わず笑った。

いや、堪えたけどね。表面には出してないけど。笑うよ。

どんなセンス?わざと?わざとなの?


吹き出さないように必死な私の前にサンタさんが商品を持ってきた。


差し出されたのは大きな長靴5個。よくあるでしょ?長靴だか靴下だかわかんない入れ物にお菓子詰まってるやつ。あれ。しかも5個。地味に高いんだよね、これ。

それと小さなケーキ一つ。サンタさんの飾りがついてるの。クリスマス用の可愛いやつ。今年のはなかなか美味しそう。


お菓子。

お兄さん。

ニット帽。


おっと、思わず視線が。

一瞬さ迷いかけた視線を戻して笑顔を作る。


「5点で16348円になります」


いつもより少しだけ不機嫌そうなお兄さんからお金を受け取る。

とりあえず大きいお菓子を大きい袋につめて……。ぎりぎり2袋に詰まった。


残りの小さいケーキを袋に入れようとして止められた。


「やる。メリークリスマス」

「えっ」


気づいた時にはお兄さんは自動ドアの外。同じ赤いスカジャンの集団の中にいた。

もみくちゃにされるように絡まれて面倒くさそうに目を細める。



あ、お礼言うの忘れた。

「サンタさんプレゼントありがとう」


呟いた声は届いてるわけないけど、言ったっていう事実は大事だよね!


またのご来店お待ちしてます。





この後ちょっとした知り合いみたいになりはじめて多分餌付けされていく(笑)

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