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詩集♡季映(ときばえ)  作者: 詩織
68/170

月の雫




『愛らしい疫病えきびょうよ!


おまえの効き目と


その毒性の 


証人になろうじゃないか


天使らの調合した 


いとしい毒薬よ!』



byボードレール

(1821~1867)


香水壜こうすいビンより”





彼の生きたフランスは、


封建制から近代資本主義への過渡期であり、


相次ぐ革命と戦争の時代でありました。


歴代の財政赤字による重税に輪をかけた


ルイ16世の圧政に対して、

パリ市民が立ち上がったのは

1789年7月14日のこと、


政治犯を収容する

バスティーユ牢獄の襲撃を発端とする。


革命の炎は

ただちにフランス全土に飛び火し


さらに自国への類焼を恐れる

列強各国との戦争まで拡大し


95年の第一共和制の樹立をもって

一応の終結を見せる。


この革命は特に「大革命」と言われ、


そのさまは、


ロマン・ロランの「ジャン・クリフトフ」に

詳しく描かれている。



さりとて列強からの攻撃はなおも続き、


これを迎え撃ったのがナポレオンで、


1815年のワーテルローでの敗北とともに


フランス国民は再び王制の圧政下に置かれることになる。


この圧政を跳ね除けたのが


1830年の7月革命で、


民衆は国王を追放し新国王を迎えたのである。


これに刺激されてようやく


近代精神が目覚め始めてきた


欧州諸国でも革命が起きるが


制圧されてしまう。




国王を入れ替えただけの王制の下では


案の定、悪政が行われ、


1848年2月 

革命によって第2共和制が誕生し

待望の普通選挙が行われるようになる。


この選挙によって大統領になった


ナポレオン3世は更に国民投票で皇帝となる。


ナポレオンは、第2帝政を敷き、


威信と国益の為に戦争を繰り返すが、


1870年

ビスマルク率いるプロシアに敗れ退位する。


しかるに[大都市パリの整備]は


彼の偉業であることを忘れてはならない。






そう、[大都市パリの整備]は、


ヴェルサイユ宮殿の

華やかさの裏側で、

信じられないほど

遅れていたことは有名な話。



(知らない方の為の復習を少しだけ)



ヴェルサイユ宮には

1個のトイレもなく、

あのふんわりと優雅な

スカートの役割は、

貴婦人が庭に出て、


野糞のグソをする為の隠れ蓑みの



あの羽飾りのついた優雅な帽子や


紳士の被るシルクハットは、


パリの町で上から降ってくる

屎尿しにょうけの傘変わり、



当時のフランスの衛生状態は、


すこぶる悪く


下水道の整備すら無かった。


香水はその鼻をつんざくほどの

異臭を誤魔化す為に、

生れた産物であったという。









先の詩〔香水壜こうすいビン〕は、


読みようによっては


当時フランスで大発生した


ペスト〔疫病〕を思わせるが、



香水調合の世界では、


「ムーンシャイナー」というそうだ。


いわば、「月の光の酒」


月光を香りにすることは


香水調合師の夢ではないだろうか。





それでは先人、 


ボードレールにあやかりたい


詩人見習いの私は


調合師たちの追い求めた夢の 


月の光の匂いの作り方を


詩にしてみようと思う。




月の光を香りにすると、


いったい、


どんな匂いになるのだろう…








真夜中 月が真上まうえに昇ったら♪


テラスで光を集めましょ、


光の切り花 煮立たせて♪


上澄み すくって


濾過ろかしたら


乳白色まで かき混ぜて♪


慌てて、焦がしちゃいけませぬ


綺麗な 仕事をいたしましょ


とろ火でゆったり蒸留し


香水壜ビンに閉じこめて


月の雫のでき上がり。








「ねぇねぇ?」



「香りはたくさんあるのに

どうしてそれにしたの?」



「そうね~、これは

わたしの大切な思い出の香りなの」



「ふ~ん、」



「どんな思い出なの?」



「ナイショよ?」



「うんうん、、、」



「これはね、わたしの

実家の匂いなの」



「ふーん、それが何で、

ナイショなの?」



(笑)

「行くわよ、」



「あぁ~、待ってー


   かぐやちゃ~ん、」







挿絵(By みてみん)



かぐやちゃんは、


香水を利くたびに


幼い頃の懐かしい事柄を


思い出すのかもしれない。


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