竜田舞う
「入っていいかい?」
「もう少しよ、、」
「待ってて、」
さっきから、お嫁さんの支度を待つ新郎が
(ソワソワ、ウロウロ、)
長い廊下を行ったり来たりしています。
古来から女の支度は遅いもの
(ふふふ♪)
「まだかな~?(チラッ、、、)」
「あ~ん、もう少し待ってて。」
「えっち、、、」
ほらほら、あちらでお待ちください。
花嫁が恥ずかしさで赤こうなって、
お化粧ができしまへん、
「はいはい、早くね。」
「アッ、」
「ん?」
「恥ずかしがってる君もステキだよ。」
「もぉ、、、(笑)」
旦那さまが褒めれば褒めるほど
赤く、赤く、染まりゆく
ほんに純粋なお嫁さんのお名前は、
竜田姫さまと。
そして、
旦那さまのお名前は玄武さまとお聞きいたしました。
竜田姫のお色直しもすまんうちに
せっかちな新郎、玄武さまがおこしになりました。
細く長い国を、
ウロウロ、ソワソワ、
彼がうろつくと不思議と寒くなって
うちとこも冬支度に追われています。
ほんまなら霜が降り、
本格的な冬がやってくる前に
山々の木々は燃えるように色づき、
綾錦のような美しさを魅せてくれる
______晩秋
紅葉の季節を司る女神さまは
「竜田姫」とされてきました。
中国の五行説では、西の方角が[秋]とされています。
このことから奈良の西に位置する
滝田山は、紅葉の名所とされており
滝田山に住む竜田姫が秋風に乗って山を降り
袖を振って木々を染めるのだと信じられてきました。
行く秋を 惜しみつ恋し 茶碗蒸し
詩織♪