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詩集♡季映(ときばえ)  作者: 詩織
111/170

思いがけない力



子どもの頃、

中仙道沿いのアパートに住んでいて


大通りから 

鉄工場と畳屋さんの間の道を入ると、



畳屋さんの仕事場が見える。

はなしのガラス戸の向こうから

藺草いぐさの青々しい いい匂いがして

いつも、おじちゃんが畳のへりに腰かけて

長い針で畳の耳を縫っていた。


学校帰り、毎日そこへ寄って、

しゃがみこんで見てると

おじちゃんが気がついて、


「おかえりっ、ふうちゃん。」って、


にこにこ顔で言ってくれるんだぁ


「はい、ただいまぁ♪」て、言うと、


「ちゃんと、宿題しいやぁ」って

頭、なでなでしてくれて


「へへへ♪」

ちょっと、うれしい。


アメちゃんもろて、

おじちゃんに「バイバイ♪」して



少し行くと、

鉄工場の作業場があって、

そこは真っ黒な油のにおいと

スッパイような鉄の焼けた臭いがして、

鉄の仮面をつけた人が「ジジジジジッ、」

「パチパチパチッ」と、火花を飛ばして、

鉄に穴を開けたりしててな~

遠くから見てると

花火みたいできれえ~


「わぁ~♪」


ほんとは もっとそばで見たいんやけど、

ここのオジさん、おっかないから、、、


「ほらほら、危ないから、ダメだよ!」って、


ウチのこと、

「シッシッ、シッ!」って、猫みたいに追い立てて


怒るんやもん………。




学校からなー 帰っても、誰もおらんの、


おかあちゃんはお仕事やしな、


おとうちゃんは死んじゃったん、



まいにち、お留守番やわ~





でもなー


今日は、婆ちゃんが来るんやで~


いっぱい、いっぱい、お泊りしてくんやて~


うれしいな~


なにしようかな~


ばあちゃんと~



「へへへ♪」












おかあちゃんが帰って来るまでに


ばあちゃんがオフロいこって、


アパートにオフロないからお風呂屋さん行ったんね。


お風呂屋さん、ばあちゃん行くん初めてだから教えてやんなくちゃっ、


って、


気負いもあったと思う、、、



ばあちゃん、お風呂屋さん、ここ!

で、クツ脱いでな~ フダ取るん、

したらな~ガラガラって、

少し重いここ(引き戸)開けて、

お風呂屋さんのオバちゃんが

「いらっしゃ~い」って、言ったら

ここに、

「こんばんわぁ~」って、

お金おくんな、


ウチは70円でぇ

ばあちゃんはおとなだから、

うーんと、いくらなんかな~?


「オバちゃん、おとなはいくらですか?」


「あゝ、こんばんわぁ、」


「ふうちゃん、おとなは295円や」


「きょうは、ばあちゃんと一緒!」


「そうなんや~、よかったねー」


「へへへ♪」


ロッカー決めて、

お金、あとで帰って来るけど

50円入れるんね


でな~、ロッカーは、


出口に近いと寒いんよ、

真ん中やと混んでくると

子どもは邪魔なるから

端っこの真ん中、ここ、17番。

いつもここんとこ、


「そっか~、なんでも出来るんやな~」


「ふう子、偉いなー」


「へへへ♪」



お風呂入る前に、体 洗って、

汚れ落として、

入るんがおやくそくでな~


それから、湯船。


お風呂屋さんには

大人用の熱い湯船と、

子ども用のぬるい湯船があって、


いつもなら子ども用に入るんやけど


その日は、ばあちゃんと一緒に入りたくて

大人用の湯船に入ったん、


大人用の湯船でも遅い時間なら

そんなに熱くないんを知っていたから、


足、つけたら

そんなに熱くなくて、


「ふうこ、熱いで?」って、


ばあちゃんは言ってたけど、


「このぐらい、いつも入ってるわぁ、」って、

言っちゃった手前、



もう入るしかない、、、



入るしかないけど、



温度計見たら44℃やがな~




(ヒェー、、、(汗))))






(イヤ、見んかったし、)


(入れる!!)


(わたしは、やれる!)



心で思ったん


強く、強く、思った。


(えいぃぃぃ!!!)って、入った。











したらな~

不思議なんやけど、


入っちゃったら、

熱くないんやわー


ちーっとも、熱くない。



なんでかは、

いまだにわからへんのやけど





もしかすると、






あれが、





『心頭滅却すれば熱さを忘れる』


て、やつじゃないかと思ってる。







なんていうのかな~?


これは、


知ってる方いたら教えてください。




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