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詩集♡季映(ときばえ)  作者: 詩織
106/170

誘惑




先刻さっき三千代が提げて這入て来た百合の花が、



依然として洋卓テーブルの上に載っている。



甘たるい強いが二人の間に立ちつつあった。



代助はこの重苦しい刺激を鼻の先に置くことに堪えなかった。



けれど無断で、取り除ける程、



三千代に対して思い切った振る舞いが出来なかったのだ。



「この花はどうしたんです。」


「買って来たんですか」と聞いた。



三千代は黙って首肯うなずいた。


そうして、


「好い香りでしょう」と云って、


自分の鼻を はなびらの傍まで持って来て、


ふんと嗅いで見せた。



夏目漱石著;「それから」より






白百合は、


生娘の純潔をあらわし


人妻なれば

貞操の美徳のシンボルと、


信仰の世界ではされている。



その、かげりのない白さと


その、優美な気高さに


その、役目を与えたもうたとしても


不思議ではない………。



しかし、香りといえば


官能的な妖しさを秘めてはいまいか、


「好い香りでしょう」といって、


はなびらに自分の鼻さきをつけた


振る舞いは、


芳醇な色香を漂わせていたに違いあるまい。


部屋を満たす甘い香りが、


向かい合った二人を包むとき、


白百合の花は


彼女に誠の愛を生きよと告げるのであろう。



挿絵(By みてみん)


なんていうんだろー


今なら、理解できることって、あるもんやね~



ふふふ♪

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