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詩集♡季映(ときばえ)  作者: 詩織
102/170

幸せな画家


1861年、ルノワール20歳


本格的な画家をめざし青年ルノワールは


自由な雰囲気で多くの画学生を惹きつけていた

シャルル・グレールのアトリエに入門した。



或る日グレールがこう言った。


「君はまるで楽しみで絵を描いているみたいじゃないか?」


するとルノワールがこう答えた。


「もちろんですとも!」


「楽しくなきゃ絵なんか描きません!」


____と、









わたしは老化が早かった、


53歳頃から持病となったリュウマチのせいで


60歳の頃には杖なしに歩くことができなくなった。


ほんとうの齢を言っても


誰も信じなかったし、


リュウマチの痛みといったら地獄のようだった、


当時の自画像や写真を見てもらえれば一目瞭然だろうが、


あの、深いシワの刻まれた苦痛に歪んだ顔、


嫌々まったく、実年齢に比べて


随分年寄りに写しだされているもんだ、




あゝ、


そんな顔をしないでくれ


そんな悲しそうな、


そんな、同情に満ちた顔を………




ほら、わたしは笑っているだろう?


わたしはあの絵や写真のお陰で


未来の人々に偏屈な爺だと誤解をうけていないか


いささか心配だ、、、


そこの所を強調して紹介しておいてくれたまえ、


(照れくさそうに記者に言う彼の笑顔は子どものようだった。)






まあ、フラゴナールには


よく笑うというだけで大した画家じゃないと

思われてしまったがね(苦笑)




こうして、

リュウマチで曲がってしまった指に

絵筆をくぐり付けても


わたしは描きたいんだ、


描きたくて、描きたくてしょうがないんだ、


不思議なことだが描いてるときは


痛みも、苦しみ、悲しみも薄れてるようだ………




楽しくて!


嬉しくて!


幸福なんだ!




挿絵(By みてみん)

ルノワール60歳頃


 

絵を描くのが好き。


あの時、なんのためらいもなしに師に放った言葉は


人生を振り返る時


わたしが幸福な画家として生きる


暗示だったのかもしれない。


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