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春夏(しゅんか)
窓の外では初夏の花に混じって
春の終わりを告げる花たちが
まぶしい光の中で
つま先立ちをして風に揺れている。
花は ただ、ただ、
無心に咲いているだけで
ヒトの想いなど少しも関係ないけれど
咲き始めたばかりの花も
咲き終えようとする花も
わたしの心の中で
いつまでも咲きつづけてくれるだろう…
春
感性に新しい水が注がれる季節。
灼熱の太陽にせかされ
夏の花が咲いている。
ジリジリと
圧倒される近未来的な太陽に
アナベルも下を向く
新緑を駆け足で通り過ぎ
初夏の陽光に遊ぶてんとう虫に
生命の息吹を映して…
夏
渇ききった地上に降る雨に
身も心も洗われる季節。
矢車草
繰り返される季節の営みに喜びを重ねる………。