終わりの終わり
第1回会議から1週間。恭助のダンジョンに侵入者が入ってから6日たった頃。ギルド本部の1角、会議室でまた話し合いが行われていた。
「まさかAランク冒険者が敗れるとは……」
そう口にするのは大臣だった。
「やっぱり、一気に行くのが!」
やはり自分の意見が正しかったと言うのは、豪商である。
「だが、Aランク冒険者が1人も帰ってこないんだ……軍を送らない方が身の為さ」
軍で攻めても無意味と言うのは、ギルド長。
「しかしだな、何時攻めてくかも分からない者など、早く消してしまうのが!……」
身の安全。市民の安全色々と口から出任せに言い、何とか皆を説得しようとするが、皆はなかなか首を縦に振らない。
「王様はどう思われます?」
そんな中で、王様に意見を求めたのはやはり、大臣だった。
「そうじゃの……取り敢えず話し合うのはどうだろうか……」
王様の言葉に豪商は反対の声を上げ、大臣は賛成の声を上げる。
「ギルドマスターよ、お主はどう思う?」
「俺は……王様の意見に賛成です」
そのギルド長の言葉で、場の意思は決まった。豪商も不服そうだが。賛成多数の為、ここは従った。
「では、後日使者を送ると言う事で……」
王様の言葉を最後に、皆は解散した。
後日。使者が、恭助のダンジョンに来る事になるのだが、恭助は使者が来る事も、その使者が姫様と言う事をまだ知らない。
☆ ☆
気まずい……場が気まず過ぎる……。現在俺は、姫様と2人きりだ。遡ること朝。
それは突然やって来た。俺が気持ちよく、ミノちゃんの尻尾の毛並みを整えていると、隊長から、緊急の知らせが来た。
「恭助様!」
「ん? なんだよ、そんなに慌てて……取り敢えず落ち着け」
落ち着くように、言うが、隊長はなかなか落ち着かない。寧ろさっきより慌てている位である。
「で、どうしたんだ?」
「あ、はい! コレを!」
隊長から、手紙を渡される。
「これは?」
「はい、朝起きると日課の、ダンジョンの周りの警備に行こうとしたんですが……1回層に続く階段の所にこの手紙があったんです」
なるほど……誰からだ?。手紙を慎重に開け、読む。
この度は、急なお手紙を申し訳ございません。
ダンジョンマスター様。良ければ2日後、夜にお向かいに上がりますので、ダンジョン前に御足労お願い致します。
なるほど……罠か?
「恭助様、どの様なご内容で?」
隊長が興味津々そうに、しながら聞いてくる。いや、尻尾がパタパタ凄いから!
「お、おう。 ほらよ」
隊長に手紙を渡すと、後ろにいたクロまでも読み始めた。
「おいでー」
隊長とクロが読んでいる間暇だから、幼女たんと遊ぶ事にした。
だが、幼女たんはぷいっと顔を背け、コアルームから出ていく。
やばい泣きそう……
「こ、これ!」
おっ、やっと読み終えたか。
「どう思う?」
「罠ですよ、こんなの!」
うん、知ってた。
「クロは?」
「私は言って良いかと思います」
「へー、何で?」
「今までの事を考え、向こうも馬鹿ではないと思います……もし馬鹿だったら今頃ここに総攻撃をしていますので」
うん、言いたい事は何となくだが、分かるよ。
「じゃあ、行こっかな」
「えっ! ダメですよ、恭助様!」
「な、何で?」
「恭助様にもしもの事があったら、皆が困ります!」
俺ってそんなに頼りないかな……いや待てよ……俺戦ってねぇじゃん。
「いざとなったら俺だって戦うさ」
「で、ですが!」
「俺の事が信じられないか?」
俺の言葉に隊長が黙る。これさえ言えば、俺の信者は黙るんだよね。
「良し、じゃあ2日後まで準備しますか!」
俺は2日後の事を考えながらせっせと動いた。
☆ ☆
そして2日が経ち、姫様と会った。
で、今ココである。
「あ、あの……」
「何ですか?」
この姫はずっとニコニコしている。怖いよ!今すぐ逃げたい!!
「お話って何ですか?」
「あぁ、その事ですか!」
他に何があるの!?
「お話とは、ダンジョンを崩壊させてくれませんか?」
崩壊……?
「壊すって事か?」
「はい、そうd「断る」……」
「何故でしょうか?」
「ダンジョンを壊したら、俺も死ぬからだ」
俺の言葉を聞いた姫様は、少し考える仕草をし、再開した。
「では、協定を結びましょう」
「それも断る」
姫様は驚いた顔をして、理由を聞いてくる。
「何故でしょうか?」
「大体、何でお前らと協定を結ばなきゃなんねぇんだよ、こっちに良いことあんのか?」
「そ、それはダンジョンが安全に……」
「俺には最強の仲間がいる」
姫様は再び、考え、席を立った。
「そうですか……では交渉決裂ですね……」
「そうだな」
「本当に宜しいのですか?」
姫が小首を傾げ聞いてくる。随分と挑発的だな。
「逆にそっちこそ、良いのか?。敵対行動をすれば沢山人が死ぬぜ?」
ニヤリと笑いながら言う俺に、姫様は少し、たじろいだが立て直し、去っていった。
「さぁて、戦争が始まるのかな……」
その後は、すぐに戦いが始まった。たった1日でイーグル王国は半壊し、3日目には完全に崩壊した。
その後にこんな話がある。イーグル王国は昔は英雄に護られたが、今はもう、護られなかったと。
そして、この話が世界中に広がり、人々を恐怖に貶めた。そして恭介はこう思う。この職業はホワイトな職業だったと。