3分で構成したツッコミ不在のキチキチホラー()
人里離れた森の中にある館。
この館には、呪いがかかっている。
この館に訪れた者は大体が死ぬ。
大体が、と言うのは生きて帰って来た者もいると言うことである。
この日学生の男女5人がこの館に訪れた。
「くそっ!玄関が開かねぇ!閉じ込められた!」
「ちょっと!?どういうことよ!?何も無いただの廃墟なんじゃないの!?」
「やっぱり呪いは本当だったんだ……。」
「けっ。そんなわけねえだろ。呪いなんて、バカバカしい。俺は奥の部屋をみてくるぜ。」
「ちょっと!?勝手に動いたら危険よ!死ぬかもしれないわよ!?」
「落ち着け。こんな事になってしまったが、大丈夫だ。」
「何が大丈夫なのよ!?ジョージは勝手に奥の部屋行っちゃったし、ヨシコははぐれちゃったし、なんなのよ!?」
「みんな俺が守る!誰も死なせない!」
うわああああ!!
「ジョージの声!何かあったの!?」
「とりあえず奥の部屋に!サトシいくぞ!」
「う、うん!」
3人はジョージが向かった奥の部屋へ
……
ガチャ!
「ジョージ!!なっ!?」
「嘘!?ジョージ!?」
「あわははあわ!?」
最奥の部屋は書斎だった。その扉を開けると、そこにはジョージが部屋の奥の壁に磔にされ、息絶えていた。
綺麗に血は流れてもおらず、外傷もなく。
まるで高級な昆虫の標本のように。
「なんてこった!ジョージが死んでしまった!」
「やだ!そんなわけない!嘘よ!ああああああ!!!」
「あはははは!」
「落ち着け!!もう誰も死なせない!」
ぎゃああああああ!!!
「こんどはヨシコの声よ!!」
「玄関のほうだ!戻るぞ!」
「あはははははは」
「くそ!サトシは置いていくぞ!」
……
「ヨシコ!なっ!?」
「嘘!?ヨシコ!?」
玄関に戻ると玄関の扉の前で、ヨシコと呼ばれた女の子が冷たくなり横たわっていた。
「なんてこった!ジョージに続けてヨシコまで死んでしまった!」
「やだ!そんなわけない!嘘よ!いいいいいい!!!」
「落ち着け!もう今度こそ誰も死なせない!!」
ぬうううううん!!!
「さとし!?」
「今度は手前の部屋だ!」
……
ガチャ!
「サトシ!なっ!?」
「嘘!?サトシ!?」
手前の部屋食堂のようになっていた。
その部屋のテーブルの上でサトシは荒ぶる鷹のポーズで息絶えていた。
「くそ!!なんてひどい死に様だ!」
「この人でなし!」
「誰も死なせないって言ったのに!なんでみんな死んでいくんだ!」
「ひどい!!この館!!サイテー!!」
「でも大丈夫だ。ヒロコ。君だけは、僕が守る。死なせないよ。」
「シュウジ!カッコいい!抱いて!きゃあああああ!!!」
「っ!?ヒロコ!?」
シュウジの目の前でヒロコは倒れ、そのまま息を引きとった。
「なんでだ……。なんでみんな死んでしまうんだ。」
シュウジは独り言を言いながら玄関まで戻って来ていた。
「玄関開かねぇし。もうダメだ。みんな死んじまった。お願いだ!呪いでもなんでもいい!殺してくれ!」
ガチャリ
その時玄関の鍵が開く音がした。
しかし誰も入ってくる様子もない。
「……外、出れる、のか。」
シュウジは外に出た。
呪いの罠なんてものもなかった。
もう2度とこの館には近づかないと決めた。
絶望し、死を懇願した者を外に放り出す。
諦めが、この館の鍵だったのであろうか。
その後のシュウジを知るものはいない。
ごめんなさい