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六。元姉の評判

ヴァージニア・ヴィーナス。

ゲーム内での職業は、世界に愛されるその名も『ヒロイン』。


そして現在は、

『幼い頃から、今でも変わらず病弱。

それでも、美しい心を失わず、心優しい少女。

出会う攻略対象たちの心の傷を癒し、その心で彼らを射止めて行く。

しかし、内心では妹を心の底から見下している。』

というゲーム設定を打ち砕いっているようです。

ゲームと同じなのは、『妹を心の底から見下している』ことだけ。

たった、それだけなのです。

悲しすぎる現実です。


そんな元姉の評判は、 『ヴィーナス家のワガママ姫』。

病弱だということを盾に取り貴族教育を本格的に始める前のお子様教育を放棄し、好き勝手した挙句のワガママ放題。

自分が人様に迷惑をかけるのは当然やってもいいことで、イケメン以外の他人が自分に迷惑をかけるのは絶対に許さない。

ヴィーナス家で自分が一番になるために、自分より年下(超重要)の妹さえ家から追い出す。

結果、それなりに格があったらしいヴィーナス家は元姉のおかげで評判をものすごく落とすことになりました。

ちなみに、元両親はその事実に全く気付いていないらしいです。



ケース1.イケメンではない、普通の男の子の場合。

よく晴れたある日、元姉が元両親を連れて商店街を我が物顔で歩いていていました。その時に、友だちと談笑していて立っていたごく普通の平凡顔の男の子に元姉がぶつかりました。

「ちょっと、あんた。ちゃんと前を見て歩きなさいよ!」

その男の子にケンカ腰に怒鳴った少女が悪評高いヴィーナス家のワガママ姫だと気付いたごく普通の平凡顔の男の子の母親は彼の頭を押さえつけて終始謝るだけ。

元両親は元姉が悪いのに威圧感たっぷりに男の子を見て、態度で男の子を脅している。

そこに、救世主様(笑)が...!

近い将来、イケメンになりそうな男の子が近づいてきたのです。

元姉は、将来イケメンな男の子が自分の方に近づいてくることに気付いて、

「ほんとっ、ちゃんと気をつけなさいよね!モブ顔のくせに、生意気なのよ!」

と向こうの方に走り去って行ったそうです。

母が催す茶会によく来る公爵夫人情報によると。


ケース2.あの近い将来イケメンになりそうな男の子の場合。

普通に晴れたある日、人通りが多い商店街を上機嫌に我が物顔で歩いていた元姉は、また男の子にぶつかったそうです。

「もう、最っ低っ!なんで、私にぶつかるのよ!私が誰だか分かっているの!?知らないとは、言わせないわ!」

金切り声で叫ぶ元姉の声に、関わりにならなくないと迷惑顔して逃げ去る買い物客たち。

迷惑そうに姉を見るイケメンになりそうな男の子。

元姉はそう言って振りかえりました。

そして、そのイケメンになりそうな男の子が自分にぶつかって来た子だと気付きます。(注意:ぶつかったのは、元姉です)

「あら、ごめんなさい。私の勘違いだったわ。大丈夫?」

猫なで声で謝ったふりして、そのイケメンになりそうな男の子を狩ろうとしました。

「お前、マジで気持ち悪い。止めてくんね。それにこの間、俺の世界で一番スペシャルに可愛い弟を罵倒していただろ。性格の悪いヤツだな」

そのイケメンになりそうな男の子は、ものすごく重度のブラコンだったようです。

ちなみに、ケース1で出てきた普通の男の子が弟です。

「そっ、それは、あの子のが悪いの!私は、悪くないわ!」

元姉は、イケメンになりそうな男の子を引き留めようと往生際悪く、言い訳を並べ立て始めました。

そしてその言い訳をすべて否定して、ウソだと反論させないようにするイケメンになりそうな男の子。

イケメンになりそうな男の子が去った後に、

「アイツ、何様なのよ!私はこの世界に愛されているヒロインなのよ―――!たかがモブのくせに、この美少女ヒロインをあんな扱いしていいと思っているの―――!もうっ、本当に許せないわ!!!」

そう言って、地団太を踏んでいたそうです。

その姿は、良家のご令嬢だと疑うほどはしたなかったそうです。

家と懇意にしている商人情報です。


ケース3.ベン・ジュピター第二王子様の場合。

ネイラお姉様が登城してベン・ジュピター第二王子様と親交を深めようと努力するある日のことでした。

天気がよく中庭で、お互いの残念度合いを楽しんで競い合っていた時のことです。

そこに、図々しくも元姉が乱入。

「はじめまして。ベン様。私は、ヴァージニア・ヴィーナス。あなたに、『真実の愛』を教えてあげるヒロインよ!さあ、そんな女はほっといて、私と一緒に楽しくすごしましょ!」

呆れてものが言えないネイラお姉様とベン・ジュピター第二王子様。

特に、気持ち悪すぎる元姉の言動にベン・ジュピター第二王子様は超ドン引きしたそうです。

そして、気を取り直したベン・ジュピター第二王子様。

「誰かいるか、この怪しげな少女を今すぐ追い出せ!」

ベン・ジュピター第二王子様がそう言うと、陰に隠れていた護衛騎士が出てきて、元姉を樽抱きにし連行していきました。

その時に、元姉は

「私はヒロインなのよ!なんてことしているの!ここは、颯爽とベン様がその性悪女から私を庇って、お姫様だっこして連れ去るとこでしょ――――!」

と叫んだそうです。

元姉が乱暴に樽抱きしているのを見た元父は、樽抱きにしている護衛騎士に抗議しました。

しかし、それを見ていた護衛騎士の騎士仲間は元父を拘束し、国王様の元まで連行していきました。

そして、国王様は元姉に城内出入り禁止を言い渡されました。

さらに、ヴィーナス家は爵位を一つ下げられました。

このことがあった翌日から、ベン・ジュピター第二王子様とネイラお姉様ににものすごく同情されるようになりました。



社交界デビューをしていないにもかかわらず、元姉の動向は現在いろんな意味で貴族社会の注目の的です。

そして、ヴィーナス家に婚約を申し込もうと検討していた家は全家がすべて白紙に戻し、『自分の家の息子がワガママ姫に目をつけられないか』と警戒しています。


それでいいのか!? 

乙女ゲームのヒロイン様。

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