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五。姉の婚約者

ちょうどよいくらいの陽射しを浴びて、テラスで本を読みながらずんだ餅を食べて紅茶を飲んでいます。

そして、デレクお兄様とネイラお姉様とダニエル少年は何か悪いことをして、リーマに無言で追いかけられています。

第三者から見たら、死んだ目をしたクマの着ぐるみに無言の圧力をかけられながら、追いかけられるのは多分怖いと思う。

なぜ、私があの中に混ざっていないかって?

いつものように、本を読むため彼らの誘いを断ったからですよ。


お父様があわてて家に戻ってくると、ネイラお姉様に

「私の可愛いネイラ。お父様はまたお城に戻らないといけないけれど、お前にとってとても嬉しいことが決まったから、それを伝えにきたんだよ。お前は、ベン・ジュピター第二王子様の婚約者に決まったんだよ。おめでとう。今夜の夕食は、婚約祝いのごちそうだ。楽しみにしているんだよ」

言いたいことだけ言って、お父様はすぐさま仕事をするために王城に戻りました。

ネイラお姉様は、それを聞いて嬉しそうにしています。

でもこれって、いわゆる拒否権なしの強制的政略婚約。

そんなに、嬉しいもの?

ベン・ジュピター第二王子様のお顔は、お綺麗だと思うんですけどね。

「エレクトラちゃんは、ネイラの婚約を羨ましがらないの?」

「王族との婚約ですからね」

「...ああ、王族だからね」

「ネイラお姉様は、これからが大変ですね」

「うん。大変だよね」

私とデレクお兄様は、ベン・ジュピター第二王子様との婚約で浮かれ過ぎているネイラお姉様を可哀想な子を見る目で見ました。


そして、ネイラお姉様とベン・ジュピター第二王子様の初顔合わせの日が来ました。

心配になった私とデレクお兄様も無理を言ってついて行きました。

王城にある噴水広場で、ネイラお姉様とベン・ジュピター第二王子様の初顔合わせがあります。

指定場所に着いた瞬間、これまで感じなかった緊張を感じて背中から冷や汗が流れて、ものすごくドキドキしてきました。

ネイラお姉様は、乙女ゲーム内では人外ヒロインに対抗できるスペックの持主。(現実のヒロインは、人外ヒロインではありません)

だから、変なことはしないですよね???

用意された席についているのは、国王様と王妃様とベン・ジュピター第二王子様、テーブルを挟んで座るのはお父様とお母様とネイラお姉様。

その他は、席の後ろに立っています。

ネイラお姉様が粗相をしないかと心配して、お父様とお母様は緊張のあまり貧乏ゆすりをしだしました。

普段、どんな状況にも冷静に対応するお父様とお母様を国王様と王妃様は驚いたように見ています。

無理やりついてきたのに言うのもなんですが、私は今すぐこの場から逃げ出したい!

だけど、お父様とお母様の背中が語っています。

「お前たちだけで逃げ出すなよ」と。

つつがなく終わりそうなその時に事件(笑)が発生。

私たちが帰るのに見送ってくれるためにベン・ジュピター第二王子様が椅子から立ち上がった時のことです。

その時に、盛大なオナラの音がしました。

ネイラお姉様は、ベン・ジュピター第二王子様の立つ位置に『ブーブークッション』を仕込んでいたのです。

それに気付かない、王様と王妃様はビックリ。

気付いた私たちは、ネイラお姉様をガン見。

ネイラお姉様がベン・ジュピター第二王子様の様子を見て満足そうに笑う姿を見て、私いえ私たちは全力の土下座をしました。

王様と王妃様は笑ってネイラお姉様を許してくれたのですが、ベン・ジュピター第二王子様は俯いて肩を震わせていました。


後日、ベン・ジュピター第二王子様が我が屋敷を訪ねてきました。

そしてその時、ネイラお姉様を除くアース公爵家全体に緊張が走りました。

意外なことに、ベン・ジュピター第二王子様はネイラお姉様がしたイタズラを大変喜び、またあの人前で恥ずかしくなるイタズラをして欲しいと要望されました。

なんでも、王族であるからには下手に失敗ができずに緊張の連続だった。

なので、失敗しても許される『免罪符』である愛しい婚約者からのイタズラという名のコミュニケーションをして欲しいとのこと。


残念な性格なのにやすやすと王妃教育をこなすネイラお姉様にビックリし、そしてやはり、ヒロインのライバルである悪役令嬢はハイスペックだなと実感するのでした。

隣にいる、デレクお兄様が「ぼくの努力の意味が――――!」と叫んでいるのは聞かなかったことにしました。

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