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十。堕ちたのは

オークショ先生に愛を囁かせているヒロインは、自分の思い通りになる人が一人だけでは満足できませんでした。

「なんで、私ばかりが苦労する校則を作っているのよ、この学校。乙女ゲームではそんな設定なかったわよ、バッカじゃないの。それにしても、ダニエルもベンも私のものにならないなんておかしいわ。ここは、私のための愛されヒロインのための世界なのに―――!」

廊下のど真ん中で大きな声で独り言を言って、ヒロインはヒロインの傍を通った生徒たちに気味悪がられていました。

それにしても、ヒロインはダニエル君に痴女扱いされて危険人物指定されているのに気付いてないのは不思議ですね。

ベン・ジュピター第二王子様にいたっては、護衛たちはヒロインが近づかないよう常に警戒しています。

残りは、近衛騎士志望の近衛騎士団長長男ペッレルヴォ・スイトック様。正義感が強く生真面目な設定。

筆頭魔術師長男のエイナリ・ファジレル様。ヒロインの生人形を作って愛でるキチガイでヤンデレ予備軍な設定。

お約束の宰相長男のアハヴォ・マジーデ様。それでまたお約束すぎる毒舌設定。

さて、この三人はオークショ先生とは従兄弟同士。

オークショ先生は、気の強すぎる二人の姉とワガママすぎる妹に囲まれ居心地の悪い思いをしていました。

そこに、年下の年相応の可愛らしい子たちが現れことさら可愛がったそうです。

同性として言うのもなんですが、気の強い女の子とワガママな女の子というのは厄介なことこの上ないものです。

前世でも、今世でも関わりたくないのに、関わらないといけない不幸。

叶うなら、彼女たちに関わらない人生を_____

そんなことを思っても、すでに手遅れなのですが...


「~♪ ~♪ ~♪ ~♪(以下省略)」

ヒロインは、機嫌良く鼻歌を歌いながらスキップをしてクルリと回転しています。

貴族令嬢として、あるまじき行動です。

ちなみに、この世界に『鼻歌』や『スキップ』は存在しません。

ですので、ヒロインはいつもの奇行が始まったという風に見られています。

「やっぱりぃ、私はヒロイン~♪  この調子で、ダニエルとベンを手に入れるのを頑張るぞっ♪」

これを聞いたベン・ジュピター第二王子様の護衛騎士の一人は、鬼の形相をしました。

彼はあえて殺気だだ漏れにさせて隠していませんが、周りにいるほとんどの生徒たちが腰を抜かす中、全く気付かないヒロインはある意味大物です。

隣にたまたまいた宰相様と近衛騎士団長様と筆頭魔術師様は、自分たちの息子の不甲斐無さにショックを隠しきれないご様子でした。

ヒロインの様子から、自分たちの息子がヒロインに堕ちたのが分かったのでしょう。

彼ら三人の一族は国内でも有名な美形しか生まれない一族として知られているので、『魅了の呪い』対策を子どもたちに厳しく教え込んでいました。

この情けない結果は何とも言えないのかもしれません。

リーマによると、ヒロインは魔力鑑定の結果『魅了の呪い』ではなかったそうですが、魔力鑑定の盲点をついてヒロインの両親はヒロインが魅了の呪い持ちであることを魔力鑑定士に隠した可能性が高いとのこと。

ヒロインの両親は、ヒロインが生まれる前まで学生時代から魔力を扱うことに関しては天才的と評価があったそうです。

ヒロインが生まれてからは、その評価が地に堕ちたことは言うまでもありません。


「ふふっ。みんなぁ、おっはよぉ」

媚び媚びの声で、頭の悪そうなかわいこぶった声を出すヒロイン。

「ヴァージニアさん、おはようございます」

ヒロインの自分以外の取巻きたちを押しのけて、大人げなく一番始めに挨拶するオークショ先生。

そして、それに続くその他。

「みんなぁ、ケンカはよくないよぉ。私はぁ、みんながだーい好きなんだからぁ、仲良くしよぉ」

そういえば、ヒロインはいつこの口調に変わったのでしょう?

以前は、こんな頭の軽そうな言い方をしなかったと思うのですが。

仕方なく説得力の全くない言葉で、ヒロインを取り合うことを止めるヒロインの取巻きたち。

「よかったぁ。みんなぁ、仲良くが一番だもんね―――♪」


とりあえず、私は言いたい。

ヒロインの言動、キモッッッッ!

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