表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/72

15.厄介者よ、さようなら

15.厄介者よ、さようなら



 呆然事実のまま、一時間以上も同じ場所で座り込んでいた。


 なんとか興奮を鎮め、落ち着いた頭で、今日半日の彼とのやり取りを思い浮かべてみる。


 彼が怒りだすようなことをどこで言ってしまったのか、一生懸命記憶を拾ってみたが、考え始めると、感情が嵐のように渦巻きはじめ、どうしても冷静に分析することができなかった。


 つい一分前まで、結婚しようと熱く語り、松を日本から掻っ攫いそうな勢いだったのに、二千万の借金と、見合い相手の話が出てきた途端、手のひらを裏返したかのような態度の豹変ぶりに、驚き戸惑うしかなかった。




「ゲームオーバーだよ、ハナイエちゃん。キミのお母さんの方が一枚も二枚も上手だったんだよ。キミに借金の返済を手伝わすつもりがないだなんて、一言も言っていないよ」




 あの時の、白けたような、馬鹿にしたような徳永さんの声。




「キミの男の見る目に失望したよ。キミがその気にならなかったら、こんなこっ恥ずかしい思いをして、キミに求婚することもなかったのに、こんなオレを好きになるなんて」




 まるで、最初から松を騙そうとしていたような、松を借金の返済を手伝わすつもりで求婚するような言い方だった。


 ホントに?本当に彼は、松を騙して結婚して結婚後に、松に借金の返済を手伝わすつもりだったのだろうか?




 彼が行ってしまってから三十分以上経った頃、ハッと我に返って、携帯に目を落とす。あまりのことに正気でいられなかったが、最後に見せた彼のあの表情を思い出して、無性に心配になってきた。



 あの恐ろしく悲しそうに潤んだ目と、こわばった口元。




 ―――大丈夫だろうか。




 いずれにせよ、傷つけてしまったのは松の方だ。




 どうしよう…




 一時的に、機嫌を悪くして悪態をついただけと思いたい。




 携帯をとりあげ彼に電話をかけてみた。


 東京に戻るのは今日の最終の新幹線だと言っていたから、まだこの辺にいるかもしれない。


 が、機嫌を損ねたら徳永さんは決して携帯をとらないことを松は知っている。


 案の定、コール音はするものの、取ってくれそうな気配は全然なかった。



 めげてはいけないと心を決めて電話をかけまくってみる。



 とにかく謝りまくるしか、当面の対症療法は見つからない。



 ついさっきまで、あれだけ熱心に求婚してくれていたんだもの、冷めるだなんてあり得ない。



 落ち着いたら、また連絡してくれるに違いない。



 でも、ぼんやりしていたら、彼は明日にはニューヨークに帰ってしまう。



 帰られてしまったら、またメールか電話しか連絡方法はなくなってしまうのだ。一方通行で、言葉のやりとりでしか相手の事情を知ることが出来ず、その気になれば一方的に拒絶して永遠にさよならしてしまえるような、心もとない通信手段しか残されていなかった。




 陽が落ちるまで、そこで電話をかけ続けたが、夕方近くになって携帯の電池が切れてしまった。



 仕方なく立ち上がって家に向かう。



 家には帰りたくなかったが充電しなければ電話をかけることができない。



 今日は徳永さんを連れて行くと、そう宣言していたのにできなかった。



 母はさぞかし馬鹿にするだろう。



 徳永さんの言った通り、母の作戦勝ちだったのだと思うと、松は唇を血が出るほど噛みしめた。




 家にたどり着く頃には、陽はとっぷりと暮れていた。


 

 いつもは灯いているはずの門灯が消えていて家の中は暗かった。



 玄関は開いていた。静かに玄関をあけて家の中に入った。




 母とも誰とも顔をあわせたくなかったので、そのまま二階の自室に入って、すぐに電話を充電器に差し込んだ。



 着替えもせず、また電話をかけはじめる。



 相変わらずコール音ばかりで、例の無機質なアナウンスに切り替わることはなかった。



 松は、電話をかけ続けた。




 お願い、徳永さん、電話に出て。




 食事もとらずお風呂にもはいらず、電話をかけ続けた。



 そうこうしているうちに、日付が変わりそうな時間になった。



 今日の最終便の新幹線に乗ると言っていたから、もう東京についたのだろうか。



 明日の朝一の飛行機って言っていたから、今頃、明日に備えてベッドに入ってもう寝ているのかもしれない。




 こんな時間に電話をかけ続けるなんて、やはり非常識だろうか。




 松は電話をかけるのをやめ、代わりにメールを打つくことにした。



 何て書こう…



 とりあえず謝らなきゃ。



 が、今日は傷つけるつもりはなかった、ごめんなさいと、たどたどしく途中まで入力したところでやめてしまった。




 やはり声を聞いて謝りたかった。




 本当なら顔を見て謝りたかった。



 どうしても謝りたかった。



 傷つけてしまってごめんなさいと言いたかった。





 はぁーっ。




 携帯電話を握りしめながら、ベッドの上に横になって、目をきつく閉じる。




 徐々に瞼が落ちて夢現(ゆめうつつ)を繰り返し、夜中にハッと目が覚める度に、ベッドの上で座り直した。




 その都度思い出したかのように電話をかけたが、相変わらず出てもらえない。




 東京で再会した時、想いを告白されて、気持ちが繋がったときは天にも昇るほど嬉しくて、もうこれで、かけても電話に出てもらえない悲しみを味わずに済むと思っていたのに、またこんな事になるとは、全く情けなくなってくる。





 徳永さん、これで終わりなの?




 終わりってことないよね??




 わたしの事、好きって言ったよね?




 わたしに結婚しようって言ってくれたじゃない。




 会社を辞めてニューヨークに行こうって言ってくれたじゃない。




 その気持ちは、嘘じゃないよね?



 一睡もしないまま、夜が明けた。



 電話は相変わらず静かなままだった。



 徳永さんが言っていた、ニューヨーク行きの飛行機の時間が迫って来た。



 

 どうして徳永さん、電話に出てくれないの?




 陽が高く昇り切って太陽が煌々と窓から射し始めた。



 ついに電話はかからなかった。




 なんで、なんでよ!!


 なんでわたしと話そうとしてくれないのよ!!!




 松は、握りしめていた携帯電話を床になげつけた。



 ガン!



 と音がして、電池がはじけて床にごろごろと転がって行った。



 それから、ベッドに突っ伏して泣いた。



 声を殺して泣いた。



 お母さんが悪いんだ。



 あんなひどいことさえ言いさえしなければ。



 徳永さんを傷つけるようなことを言いさえしなければ、彼にあんな悲しい顔をさせることはなかったのに。



 ひどい嗚咽がのど元につきあがってくる。



 布団で声を押し殺して出せるだけの涙を流し、そのまま眠ってしまった。





 次に目を覚ました時、遠くの方で電話の音が鳴り響いていた。



 ガバリと布団をまくりあげ、一瞬、


(徳永さん?)


と反射的に飛び起きた。



 が、鳴っているのは携帯電話ではなく、母屋の方にかかってきている固定電話だった。


 

 誰かが階段を上がってくる音がして、義父が松の部屋をノックしてきた。彼は、ショウちゃんに電話がかかってきているよと、受話器を差し出した。




 松は、まだ覚めない眼で、受話器を受け取った。時計を見たら、針は十時を指していた。二時間ほど眠ったのであろうか。



「瀬名さんという方だ」



 瀬名さん?


 瀬名さんが何で日曜日にわざわざ電話をかけてくるわけ?



 電話を取る手が震えた。


 松は、通話ボタンを押す前に、ちょっと考え込んだ。



 瀬名さん、何の用事だろう?



 今まで休みの日に電話をかけてくることなどなかったのに。


 

 彼とは、一昨日、母親の酷い暴言で気まずい思いをさせてしまった。



 緊張する。



 息を吸いこみ、覚悟を決めて電話にでてみる。



「もしもし」



「花家さん?瀬名ですけど。休みの日に悪いんだけど」



 何やら、急用で話したいらしい。電話の瀬名さんの声は、いつものハキハキした明るい調子で、外で会えないかと事務的に聞いてきた。休みの日に自宅に電話をしてくるのは初めてのことだった。



「月曜じゃダメなんですか?」



「月曜に、花家さんトクミツ部長と面談があるだろ。その前に話したくて」



 人事の件か。


 松は、わかりましたと返答した。


 瀬名さんの住む家と松の住む町と間にあるショッピングセンターの喫茶室に昼一の予定で待ち合わせをした。


 思ったより機嫌が悪くない声をしていた。


 彼と話をするのは怖かったが、彼に対しては、昨日の徳永さんの話で湧きおこった複雑な思いと、確かめなければならない疑問が沢山あった。



「いいですよ」



「じゃ、後で」



 起きてシャワーを浴びて準備をする。携帯が床にバラバラになって転がっていた。


 拾って組み立ててみたが、投げた際に壊れたようで動かなかった。



 昨夜から何も食べておらずお腹が空いていた。何か胃にいれようと一階におりていった。ダイニングの椅子に義父が新聞を読みながらコーヒーを飲んでいた。



「おはよう、ショウちゃん」



「おはようございます、お義父さん」



 呼びたくて読んでいるわけではないが、母の機嫌が悪くなるので、母の二度目の結婚相手を「お義父さん」と呼んでいる。離婚後一度も会いに来ない、実父に義理立てているわけではない。



「お母さんは?」


家の中が静かすぎて、松は小声で尋ねた。



「お母さんは、奥で、ちょっと休んでいる」



「具合が悪いの?」



「悪いって言うか…まぁ、ちょっとしたショックな出来事があって、元気を失くしちゃってね」



「何かあったの」



 ショックな出来事?


 人に衝撃を与えることがあっても、あの母が、衝撃を受けるようなことがあるのだろうか。



「実は、今日のお見合いの事なんだがね…」



 忘れていた。今日はお見合いだった。行く気はなかったけれども。



「中止になったんだよ」


義父は言った。



「中止?」



 あっ、そうか。お見合い、また中止になったんだ。


 それを知って松はホッとした。


「行く、行かない」で、母とモメずに済む。


 え、でも待って。


 中止って??



「中止?延期じゃなくて?」


松は言った。



「そう、中止だ。お見合い事体がなくなったんだ。昨日の昼に、正式に先方からお断りの電話があってね」


義父は静かに説明した。


「先方が、かねてからお付き合いのあった女性と将来を考えることになったので、こちらの方は辞退させて頂きたいと言ってね」



 そうだったんだ。


 えらく急だったが松にとっては好都合だった。


 これで、昨年の暮れから悩まされ続けてきたこの見合い相手から、永遠に解放されるのだ。


 そう思うと、心からホッとした。



「そう、そうなんだ。それで?」


松は、他人事のように無感動な調子で言った。



「それで、お母さんの方がショックで寝込んじゃってね。ショウちゃんも知っての通り、あのお見合い相手のことを相当気に入っていただろう。会う前から断られるだなんて思ってもみなかったようで。かねてからつきあいのある人がいるだなんて、二股かけようとしていただなんて、と言って、相当怒ってね…」



 なるほど。


 母としては、我が家の方が家格が上なんだからと、見下していた相手から断られるだなんてい思ってもみなかったのかもしれない。



「残念だったけど」


義父は言った。


「御仲人さんがまたいい話をもってくるって言っていたから、落ち込まないでねって」



「もってくるって言われても、わたしはもうお見合いする気ないから」


松はそっけなく言った。



「そうかい」


義父は、松の言い分に、少し驚いたように眉を顰め、それきり黙ってしまった。



 お見合いが中止になった。


 松は、皮肉に口を歪めながら、なぜこのタイミングでそんなことが起るのだろうかと、その事実を胸の中で呟かずにはいられなかった。



 かねてから付き合いのある相手がいただって?


 ならもっと早くに申し出てくれてもよかったではないか。


 あの見合い相手がもっと早々に断ってくれさえすれば、徳永さんを苦しめずに済んだかもしれないのに、よりによってなぜ、昨日断ってきたのだろう?



 簡単に食事をして、部屋に戻り出かける準備をした。


 携帯を弄ってみたがやはり動かなかった。余程激しくぶつけたに違いない。電話が使えないのはイタかったが、徳永さんは今は雲の上。かけてもどうせつながらない。


 壊れた携帯を持って昼前に家を出た。今日瀬名さんと待ち合わせをしているショッピングセンターに、携帯電話屋もはいっていたから、帰りにちょっと覗いてみよう。



 瀬名さんとの待ち合わせ場所に向かう途中、ずっと徳永さんのことを考えていた。


 彼と仲直りする機会はあるだろうか。


 否、それよりも、こんなことで彼とうまくやっていくことが出来るだろうかという気持も湧き立ってくるのだった。


 不安が胸を過ぎる…いったいどうしたらいいんだろう。



 どうにか電源がはいらないかなぁと、カフェの椅子に座って、携帯を弄っているところに瀬名さんがやってきた。



「ごめん、待たせたかな」



 今日の瀬名さんは、私服で、ちょっと改まったジャケットを着ていた。彼は、上機嫌というわけではないけど、何かふっきれたようなサバサバとして表情を浮かべている。一昨日の事をひきずって、落ち込んでいる様子ななさそうだったので少しほっとした。


 彼は、コーヒーを頼んで、松の向いの席に座った。このショッピングセンターは初めてきたけど、雰囲気がいいねとか、他愛のない世間話をした。



「携帯、どうしたの?」


テーブルの上に置かれた真っ暗な画面の松の携帯を見て、瀬名さんは言った。


「掛けても繋がらなかったから、ひょっとして壊れてたの」



「あっ、はい、そうなんです。昨夜落としたときに壊れちゃったみたいで…」



 落としたんじゃなくて、投げつけたんだけど、と思いつつ、苦笑した。


 一昨日の嵐で、瀬名さんの車で送ってもらう途中助手席に落としてしまったために、わざわざ引き返して届けてくれた携帯。どうせ壊れるなら、もっと前に壊れてくれたらよかったのに。そしたら、一昨日彼がこれを持って引き返すこともなかったのに。そしたら、母のあんな暴言を聞かせることもなかったであろうに、などと今思っても仕方のないことを苦々しく考えていた。



「あの、この前は失礼しました」


と、松は切り出した。



「え?」



「忘れ物届けて下さったのに、母が、失礼な事を口にしまして、さぞかし御不快だったのではと」



「ああ…」


と、瀬名さんは表情を硬くした。



 店員さんがコーヒーを運んできた。


 ふたりは黙ってそれに口をつけた。



「今日は折り入って話があってね」


と、彼は言い始めた。



「はい」



「実は、ついさっきまで、トクミツ部長と会ってたんだ」



「トクミツ部長と?」



「会社でね。部長、ものすごく忙しいらしくて、ここの所ずっと休日出勤しているそうだ。秋からの組織変更のことで、しなきゃいけないことが山積みな上に、部員の行き先をあれこれ考えなきゃならないから、もう寝る間もないみたいだね。で、その件で、午前中、トクミツ部長とあれこれ話をしてたんだけど」



 トクミツ部長と話?



「今日は、人事の事で話があるって仰っていましたよね、その件ですか」



「うん―――そう、なんだ。人事の件でね…花家さん明日、トクミツ部長と面談だろ?ぶっちゃけで話してしまうけど、花家さんに話していた本社の経理の話、あれ、なくなったんだ」



「―――え?」


なんて言ったの?空耳じゃないよね?


 なくなった??



「あれはなくなったんだ」


瀬名さんは繰り返した。


「申し訳ないけど、あの本社の経理の話は忘れてくれないかな。花家さんは支店の居残り組の方に残しておいて欲しいって、さっき部長に話してきたところなんだよ」



「ど…どういうことですか?」


どういうことだ。川崎常務からの“お願い”だから、断ってくれるなとあれほど言っていたではないか。



「実は、土曜日にトクミツ部長から大事な話しがあると電話があったんだよ。本社は一年もたたない間に、職能部門とともに東京に移転になるのを知っているのかって言われたんだ」



「本社が移転するって話、瀬名さんもその話を、聞かれたんですか」


松は驚いて言った。



「瀬名さんもって、じゃ、花家さんも聞いたの、誰から?」


瀬名さんも驚いたようで、目を見開いて聞いてくる。



「えっ…と、あの、いや、トクミツ部長がそう仰っていたって、昨日、人づてに聞いて」


と、松は曖昧に言葉を濁した。



 松は、徳永さんの名前を出さない方がいいと思った。


 そんなことを言えば話がもっとややこしくなりそうだった。



「そうか…」


瀬名さんは“人づて”って誰?って顔をしていたが、尋ねてこなかった。


「じゃ、これも聞かなかった?トクミツ部長はね、総合職だったら東京でも大阪でも、どこへでも異動できるだろうが、花家さんは内勤事務だから、本社の経理にいったん異動してしまえば、移転後に席がなくなるような事になるんじゃないかって。支店専属で採用された花家さんが、転勤になることは人事の規定で無理だろう?そうすると、リストラの対象にされやしないかと、すごくキミの事を心配していた」



 松は、瀬名さんの目を見た。


 恐縮しているような雰囲気が滲み出ていて、嘘をついているようには見えなかった。


 純粋に松を心配している様子だった。


 その表情を見て、川崎常務とグルになって、松をリストラの対象にしようとしていたんじゃないの、とちょっとでも考えていた自分が恥ずかしくなった。



「はい、そのような事になるかもしれないという話も聞きました」


松は、ありのままに答えた。



「驚いたんじゃないかい?移転後にリストラされるんじゃないかって心配したんじゃない?」



「ええ、はい。そう思いました」



「僕もその話を、昨日初めて聞かされてね。すぐに川崎常務に確認したら、花家さんが支店専属での採用だとは知らなかったと言っていた。移転先に支店採用の事務職は、人事の規定で支店の外には出られないだろうから、そういうことならやめた方がいいねって話になって」



「は…そう、なんですか」



「うん、そうなんだ。花家さん、まだ辞めたくないだろ?と、いうかこんな形でリストラされたくないよね?だから、トクミツ部長には花家さんは本社に行かないから、部長に便宜を図ってもらって支店に残れるようにって、さっき慌ててお願いしてきたんだよ」


と、彼は非常にすまなそうな顔をして言った。



 松は黙りこんで考えた。どういうことだ。


 川崎常務はどういうつもりなんだ。


 “不正経理”の処理に関わった人間を本社の彼のそば近くに置いておくのが、今度の人事の目的じゃなかったのか。


 そんなにあっさりと翻せるような、簡単な問題だったのだろうか。


 疑問が次々とのど元に湧き上がって来たけれど、頭が混乱してまとめる事ができない。


 いったいどういうわけだ、何がどうなっているんだと、眉間に皺をよせて考え込んだ。




 向かい合ったふたりの間に、長い沈黙が流れる。


 松はコーヒーを口に含んだ。瀬名さんは目の前にコーヒーがあるのさえ視界に入っていないらしく、いたたまれない様子で視線を上にむけたりそらしたり、膝の上で拳を握り直したりして、そわそわしていた。



 松は、苦いコーヒーを飲み下しながら、瀬名さんの背後の壁に飾られてある、ポスターの写真ばかりを見ていた。それは近くのホールで近々行われる外国オペラの広告で、よくよく見れば、ニューヨークの劇場で生まれて始めて観たオペラと同じ演目だった。



 懐かしさ半分で松はそのポスターにしばし目を奪われていた。


 美しい男女が抱き合って愛を語り合う、美しい物語だったと記憶している。


 日本語ではこういう意味なんだよ、と徳永さん物語の筋道と合わせて題目の意味を説明してくれたけど、松は、思い出すことが出来なかった。ええと、あれは、どういう話だっけ?




「ゴメン!」


いきなり、ふいに瀬名さんは頭をさげて松にあやまった。


 へっ、今度は何?



「やっぱ嘘つけないから、本当のことを言うよ」


両目をギューっと閉じて、物凄く言いにくそう。



「な、何事ですか?」


と、思わず言ってしまったが、「どの嘘の話の事ですか?」と言うべきだったかもしれない。



 さっきから、驚くべきことばかり聞かされて、何を謝られているのかサッパリ分からなかったのである。



「“川崎常務のお願い”っていうのは嘘なんだ」


と、彼は言いにくそうに言った。



 は?


 どういうこと??



「実は、データのピックアップに関わった人達を、どうこうするって話は最初はなかったんだ」


彼は言いにくそうに頭をさげた。


「ただ、その人達は、今度の組織変更でもリストラされずに、ちゃんとした地位を確保して、なるべく川崎常務に近い部署に居てもらった方がいいだろうと言う方向になっていたんだよ。

 それで、その流れで常務は業務の一番の担当者だったオレを本社に引き抜いてやるって話になってさ。もともと本社勤務希望だったからよかったんだけど、オレ、花家さんと離れるのが嫌で…本社に行くなら花家さんが一緒がいいって思って、つい常務に「花家さんも本社に引き抜いてくれませんか」って頼んだんだよ」



「た、頼んだ?瀬名さんから川崎常務にですか?」



「本来なら、こんな異例な人事はあり得ないんだけどね」


瀬名さんは苦笑する。


「花家さんはこの件の関係者だったし、リストラの対象にはなって欲しくもなかったし、今回は支店の統合と組織改編で、人員が大きく動くから、支店専属の内勤事務が本社に引き抜かれてもさして目立たないだろうってことで、承諾もらったんだよ」



「じゃ、やっぱり瀬名さんがわたしに本社の経理の椅子を用意してくださったってことなんですか?」


松は確認するように言った。



「うん、そう。オレが主導して本社の経理に花家さんを推薦した」


瀬名さんは、バツが悪そうに認めた。


「でもね、本社が東京に移転する計画があるだなんて、知らなかったんだよ。知っていたら、推薦しなかった」



「じゃ、川崎常務は、わたしが本社に行こうが、支店に残るかどちらでもよかったんですか?」



「どちらでもいいと言う訳じゃないけど…」


瀬名さんは、説明に困っているようだった。


「けど、まぁ、要は、重要のは、今回の不正処理の件が、曖昧な状態で外に漏れないでくれ、ということだったんだ。この前東京で、川崎常務と会っただろう?川崎常務は、花家さんがどんな人間か確認したかったんだよ」



「たったの五分の面談で?あれで何が分かったって言うんでしょう」


松は、思いっきり眉を顰めた。



「もちろん、花家さんが信用に足る人間かどうかだよ。だから、花家さんと会って、花家さんが問題のある人じゃないって事が分かって、常務は、ほっとしていると思う」



「ほっとしているって、それで、それでこの件は終わったということだったんですか?」



「うん、まぁ、終わったというか」


瀬名さんは、頭をボリボリ掻きながら言った。


「まぁ、そういうことだよ。花家さんがそういった事を無暗に他言するような人でなければ、支店に残ろうが本社に行こうが、どちらを選んでも川崎常務としては、どっちでもよかったんだ。それに、もともと花家さんは、今回の事で何か詳しい情報を知っているって訳じゃななかったし」



「はい、個人を特定するような事、何も知りませんし、わたしが外に向かって洩らせるような話なんて、何もないですよ」


松は、ムキになって言った。



「うん、そうだろうと思う。だから」


彼はちょっと言葉を区切って言った。


「今回の事は、殆ど僕の個人的な意思で花家さんを本社に連れて行こうとしていたってこと。その気にさせて、諦めさせることになって申し訳ないけど、リストラにだけはならないようにトクミツ部長にお願いしてきたから、その辺で許してもらえなかな」



 許してって…



 言葉は丁寧で、休みも返上してフォローもしてくれたのだから、文句を言うべきではないと思ったが、どうも胸が晴れなかった。



「トクミツ部長はなんて仰っていました?」


間を置いて松は言った。



「そういう事情なら、最善を尽くすって言ってもらえたよ」



 あの義理堅い性格のトクミツ部長のことだ。よけいな負担をかけてしまったみたいで、申し訳ないなぁという気持ちになってしまう。



「そうですか…」



 松が一通りの話を聞いて、納得した表情を浮かべたので、瀬名さんはほっと安心したのであろう、冷めてぬるくなったコーヒーに口をつけた。松もコーヒーを飲んだ。香りが抜けて、苦みが強く感じられた。



「あの…」


カップをソーサーに置いた。



 ここまで話が及んだところで、湧いて出てきた次の疑問を口にしてみる。彼がどうして、こんなにもサバサバとした表情を浮かべているのか、必要以上に“許して”と松に謝っているのか、その理由を知る必要があった。



 松は静かに尋ねた。



「本社が東京に移転するときは、職能部門ごと移動することになるって聞きましたけど、その際は、瀬名さんも東京に行かれるってことですか?」



「え、あぁ、多分、おそらくね」



「そうですか」



 瀬名さんの表情が、ここに来てから初めて動いた。


 触れられたくないけど、言わねばならない事柄に踏み込まれてきたような顔。


 まるで、昨日、態度が突然180度豹変してしまった徳永さんとそっくりだった。



「東京に行くようなことになったら、きっと、何年も行かれるんでしょう?」


松は言った。



「そうだな…多分、三年か五年か…もっと長くなるか、もしくはずっと東京になるか…」


瀬名さんは、淡々と話を繋いでいくが、会話の流れから、このやり取りが、何を意味しているのか二人は分かっていた。



 瀬名さんは東京に行く。


 松は支店に残る。



 即ちそれが意味することははっきりしていた。



「あの…」


松は、もうコーヒーが飲めなくなってカップをソーサーに置いた。


「つまりは、そういうことですよね?」



「あ…うん」


瀬名さんはとても、居心地が悪そうだった。


「オレ、東京に行ったら、もう、花家さんとはこんな風に頻繁に会えなくなるうと思うんだ」



 瀬名さんはそう言って、視線をそらす。


 腕を組んだり、足を動かしたりして、ものすごく落ち着かない様子だった。



「こんな時になんだけど」


彼はボソリと呟いた。


「オレと付き合ってくれって、言ったの、あれ、取り消させてもらえないかな」



 松はやっぱりと、息を吐いた。


 そうだよね、この流れではそういう事になるよね。



「花家さんを支店から本社に異動させるぐらいの事なら、何とかなるって思ったんだけど、さすがに東京に転勤させることは、相当な理由がない限り無理だ。申し訳ないけど、あの話は、忘れてくれないかな」


物凄く気まずそうな感じ。


 言葉通り、申し訳なさそうな雰囲気が伝わってくるが、松が傷ついていないか気遣っているというより、それは、まるで、間違った相手に告白してしまって、それを取り消すのに、必死になっているかのように見えた。愛する女に対する態度とはちょっと違うように見えた。

 


 瀬名さんは、両手をひざに置いて、頭をさげていた。


 松は、手持無沙汰を隠すためにコーヒーにまた口を付けた。


 今日はこれで二度目も、求婚者から断られたことになる。


 松が支店に残ることになるのなら、瀬名さんがそう言ってくるのは不自然なことではない。


 驚きはしないが、白けた気分と同時に、男ってなんでこう勝手なんだろうという苛立ちが湧きあがってくる。


 勝手に近づいてきて、勝手に思い込んで、勝手に求婚して、勝手に仕事を変われと言って、勝手に忘れてくれと言ってくる。


 彼らの身勝手さにどれほど振り回されたことだろう。


 松は、深くため息をついて、カップを置いた。



「もし」


松は、静かに言った。


「わたしが会社を辞めて、瀬名さんについて行くって言ったら、瀬名さん、どうされますか」



「え?」

 

瀬名さんは頭をあげて、馬鹿みたいに呆けた顔をこちらに向けた。こんな答えが返ってくるとは思っていなかったのだろう。


「ええ?」


と、彼は繰り返した。



「瀬名さんのことが好きだから、会社を辞めて、瀬名さんと結婚したいって私が言ったら、瀬名さん、どうされますか」



「え、そんな、急な事を言われても…」


何が急なのだ。今まで散々、付き合ってくれと迫って来たくせに。



「だって、瀬名さん、わたしの事が好きなんでしょ?」


松は、念を押すようにはっきりと言う。


「だから付き合いたいって言って下さっていたんでしょ?本社が東京に移転するからって、簡単に消えるような気持ちじゃないですよね?」



「あ、あの、その」


予想通り、彼はへどもどし始めた。

 

 物凄く困った顔になっている。


 彼は言葉を選びながら、なんとか乗り切ろうと口を開いた。


「だって、その、花家さんは、オレの事、好きじゃなかったでしょ?」



「好きじゃなくとも、考えてくれって言ったのは、瀬名さんですよ?時間かけてお互いを理解し合えるような関係になろうって、そんな風に言っていましたよね?」



「オレ、そんな事いったっけな」


と、しらばっくれているが、松は攻撃の手を休めなかった。



「言いましたよ。それに、私を車で初めて家に送って下さった時も、今まで何度も送るって言っても断られていたのに、今回は承諾してくれて、ものすごく浮かれているって言っていました。それは本当ですよね?」



「ええ、あぁ、うん、そう言った…け、な」



「言っていました。だから、今わたしが、瀬名さんの事が好きで、瀬名さんと結婚したいって言ったら、瀬名さんどうするんですかって、聞いているんです。瀬名さんを愛している、瀬名さんと結婚したい、瀬名さんと家庭を持って、瀬名さんの子供を産みたいって今私が言ったら、瀬名さんはどうしますか?」



「・・・・・・」




 瀬名さんは、目がテンになって、こちらを凝視している。


 おそらく松が、こんな冷めた口調で自分を追い詰めてくるとは思ってもみなかったのだろう。瀬名さんは、この時初めて、プライドを傷つけられた女が誰でも見せるであろう姿、己の自尊心を傷つけ弄んだ男に見せる一面を、牙を研いで攻撃せんと今にもとびかからんとする女の様を―――初めて見たのであった。それは彼にとっては、かなり衝撃的な出来事だったようで、睨みをきかせてこちらを見つめている女を前に、驚きのあまり口をあけている。松は、フッと笑って、息を吐いた。



「ウソですよ」


そう言って、微笑みかけた。


「そんな事言いやしませんから、安心してください」



「ウ…嘘なの?」


半信半疑で聞いてくる。



「だって、わたしにそんな気持ちがないことぐらい、瀬名さん、知っているじゃないですか。瀬名さんだって、わたしに嘘ついて本社に引き抜こうとしたんでしょ?そのおかええしで、ちょっと嘘ついて、からかっただけです」



「あ…そう。嘘だったの」


安心したように、瀬名さんもハーッと、息を吐いていた。



 また、沈黙が流れた。



「母ですよね?」


松は、ぽつりと言った。


「母が、失礼な事を言ったから…それで、私の事が嫌になったんじゃありません?」



「うん…」


瀬名さんは、苦々しく表情を歪めていたが、正直に肯定した。



「わたしの方こそ、すいませんでした」


松は、謝った。


「母が、あんな失礼な言い方をして、本当に、何て言ったらいいか。謝って済む話じゃないですけど」



 瀬名さんは、またハーッと息を吐いた。


 窓の外を見て、何を言おうか考えるようだ。



「オレは今まで、どんな人からも、あんな風に言われたことなくて」


彼は言った。


 瀬名さんはとても言葉を選んでいるようだったが、怒りを含んでいるのが分かる。それはとても押し殺して、我慢しているように見えた。



「今まで、身分だとか家柄だとか、親の年収で差別されたりすることなんかなくって。オレの親父は中小企業の課長で、母親はパートに出て家計をずっと支えてきて、子供二人、高校も大学にも通わせてくれて、何より今まで育ててくれて、いわゆる普通の一般家庭だった。それを…なんつぅか、努力でどうしようにもできない事で非難されるのって初めてで、尊敬されることはなくとも、人さまに恥ずかしくないように生きて来て、どうして赤の他人に、あんな風になじられなきゃならないのか、理解できなかった。世の中に、あんな考え方が、現代に未だあるだなんて本当に思いもよらなかった」




 彼の言うことはもっともで、松の胸には常識的に響いた。




「そうですよね」


松は言った。



「自分から交際を考えてくれって、言っておきながら、正直、こんな家族がいる人とは無理だって思ってしまった」



「はい」



「勝手だと思っただろうけど」



「いえ」


松は言った。


「そういう気持になるのは、当然だと思いますし」



 彼の態度から、松もまた彼の言う“あんな考え方”に松の頭もまた染まっていると考えているのだろうと感じられた。


 だけど、徳永さんの時のように松は弁解しようとはしなかった。



「でも、振り回してしまったことは、謝るよ。花家さんの事を良く知らずに、交際してくれだなんて、やっぱり勝手だったと思う」



「失礼なのはこっちだったんですから、謝らないでください」



 彼はもじもじしながら一生懸命喋っていた。


 が、瀬名さんは、詫びの言葉を口にしながらも、松の怒りを鎮めようとしているというより、早く事態を収拾したそうに見えた。



 彼もツライのだ。



 間違った相手に求婚してしまって、いたたまれないのだ。



 松は、彼の本音を知ってしまったからには、さっさとこの話を終わりにした方がよいと思った。



「分かりました」


わりかし明るい声で松は言った。



「え?」


瀬名さんは窓の外から松の方に視線を戻す。



「瀬名さんのお気持ちはよく分かりました」



「ホントに?」


彼は、松の機嫌が本当に治ったのか疑わしそうに表情を確認している。



「本当です。明日からは何事もなかったかのように出社しますから、安心してください」



 瀬名さんは本当にほっとして嬉しそうに表情を緩めた。



「ありがとう、ゴメンね」



「もう、謝らないでください。今回の事は、もうなかったことにしましょうよ」



「そうだね」



「お話しは、これだけですか」



「え?」


ちょっとほっとした表情。



「帰りましょうか、他に、話すこともありませんし」



「ああ」


瀬名さんも立ち上がった。



「じゃ、月曜日に」



「お疲れ様でした」



 まるで、仕事の打ち合わせの終わりのようだと思った。


 いや、半分、仕事の話だったのだけど。


 本社の経理の話がなくなったと同時に、瀬名さんの求婚も取り下げてくれたお陰で、二重の重荷から解放されたような気分だった。



 店の前で二人は別れた。


 瀬名さんは車できていたのか、駐車場の方向に歩いて行った。


 松は、彼を見送ることなく、彼とは反対方向の、ショッピングセンター内になる携帯ショップにテクテクと歩きはじめた。


 がっかりしたのと、ほっとした気分が入り混じり、変な感じだった。


 

 今日二回目の、求婚者からの“お断り”。



 望まない相手から、もうこれで強引に迫られることはないのだ。



 せいせいするとはこのことを言うのだろう。



 せいせいする?



 松は壊れた携帯を眺めながら自分に問いかけた。


 

 いや、少しもそんな感じはしない。



 むしろ、胃のあたりに、むかつくような吐き気さえ感じる。



 せいせいしているのなら、どうしてこんなにも奇妙な風が心をすり抜けてゆくのか?



 居心地の悪さを感じるのか?



 理由がわからないまま、松は、携帯を握りしめ、携帯電話ショップに入って行った。


 店員は松の携帯を丁寧に調べていた。傷がいっているのは、はじけ飛んだ電池パックの方だったので、電池を変えれば動くのではないかと軽く考えていた。だから、数日入院させれば簡単に元に戻るものだと思っていた。ところが



「本体自身が壊れておりますので、修理は難しいです」


店員は、申し訳なさそうに言う。


「買い替えしかないですね」



「買い替えって…」


まさかそんなと、松は引き攣りながら尋ねた。


「アドレスは?着信や発新の履歴はどうなるんですか、復活はできるんですか?」



「いいえ、残念ですが、復活はもう…」



「そんな」


松は、呆然と口をあけた。



 携帯が元に戻らない。



 なぜ、こんな事になったのか。



 それは、松が感情にまかせて、無暗に大事な電話を床に投げつけたからだ。



 打ち所が悪くて、二度と元にもどらなくなってしまったのだ。



 自分が悪いのだ。



 仕方のないことである。



 だけど、だけど、買い替えだなんて、買い換えてしまったら。



「本当にアドレスも着歴とかも復活できないんですか?」


松は店員にくいつく。


「できないんですか?」



 店員は、できない旨をつらつらと説明していた。



 松は、机の上に置かれてある壊れた携帯を眺めた。



 ついさっきまで手の中にあって、直ると信じていたまだまだ綺麗で、使えそうな状態だったが、もはや壊れて動かないという。




 嘘だ嘘だ。


 壊れて動かないなんてことあるもんか。



 これじゃ、友達とも誰とも連絡が取れないじゃないか。


 いや、友達だけじゃない。


 一番重要なのは…



「徳永さんの電話番号、控えていない…」



 松は絶望的に呟いた。


 冷たい風がすり抜けて言った。





<16.道を誤った女> へ、つづく。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ