73 敗戦兵、伝えられた戦い。
すみません、次章よりも先に改稿したいと思います。
次章開始は、11日以降とさせてください。
理由は簡単、キャラが足りなくなった。
改稿の時に、キャラを足していきたいと思います。
勇者誕生の国ブレイバーグの高位貴族家レテール公爵家のお見合いの場にて起こった騒動は、首謀者の逃走という結末で終わった。
この事件の概要はすぐに王城に伝えられ、緊急に対策会議が始まった。
それと同時に各国にこの事が伝えられ、首謀者の拿捕と協力者の炙り出しに奔走することとなる。
しかし、すぐに事を起こすと思われていたエイジスはここ1ヶ月の間一切の消息が掴めなかった。
ブレイバーグは束の間の平和を甘受していた。
「いらっしゃいませ。ようこそ、安らぎと安眠をお届けする宿屋《魔王城》へ。」
何時もの常套文句を、今入ってきた人物に、何時もの笑みと共に掛ける。
宿屋《魔王城》もまたあの事件が無かったかのように平常運転だった。
「部屋、あるか?」
「あっ、ハイ。開いてますね。」
「そうか、やっと屋根のある所で寝られる。」
「…?」
どうやら新規のお客様の様だった。
此処の所、新規の客が増えている。
そして、必ずといって良い程、こう言うのだ。
『屋根のある所で寝られる。』
このブレイバーグの東側には、この宿屋《魔王城》に至るまでにも、様々な宿屋が存在するのにも関わらずである。
メイズは不振に思うも、流石に初見のお客様相手に聞く訳にもいかず、首を掲げていた。
ただ、共通点もある。
それは、そう言うお客様は必ず一人なのだ。
宿屋であり、観光にも力を入れてお客様を呼び込んでいる以上、家族連れも珍しくはないのだが、ここの所、外から来る客、それも先のセリフを言う客は一人で泊まっていく。
それも、決まってたった一泊だけ。
メイズが、その事に疑問に思いながら、玄関口の部分の床掃除をしようと歩き出すと、両開きの扉がバーンと文字通りの音を立て開いた。
「メイズ、大変な事になったっ!!」
「シャランさん!?」
飛び込んできたシャランが開口一番にそう言い、メイズの肩を掴み迫ってくる。
メイズは流石に、シャランのその尋常ならざる様子に、少々狼狽え落ち着かせようとシャランの名を呼ぶ。
「あ、ああ、すまん。」
「い、いえ、それで如何したんですか?」
名前を呼ばれたことにより少々落ち着いたシャランは、目の前にあるメイズの顔に戸惑いを見せ、一歩下がる。
メイズは、そんなシャランの様子に顔に熱が集まってくるのを感じていた。
誤魔化すように何があったのかを尋ねる。
「ふむ、………隣国ラングランドがクーデターを起こされ、……落ちた。」
「なっ!!」
シャランが、何度も何度も爆弾発言を平気でしてきたシャランが、ひとつ頷いた後、何とも言いずらそうに区切り区切り話した内容に、メイズは心の底から驚いた。
まだ、国と言う体裁が整う前なら、クーデターや政権が代わることもあった。
だが、今に残る国は、そういうものを乗り越えて今の形に扱ぎつけた。
そう易々とクーデターが起きたからと言って国が潰れることなど、……無い。
「……ほんとだよ。」
「え、っ!?」
部屋に入ろうとしていたお客様の一人が、シャランとメイズの会話に入ってきて、突然肯定してきた。
最初何の事だか判らなかったメイズだが、気付いてしまった。
此処の所の不思議な客の事も。
「俺達も戦ったんだが、落ちちまった。……落ちちまったんだ。」
体を抱え、膝を屈し、小さくなって、呻くように泣き出す。
「ぐっ、守れなかった、守れなかったんだよ。俺達は、大事なもんをよっ!ああぁぁぁぁああああぁ………。」
そのお客様は、まるで神に懺悔をするかのように丸めていた体を起こし、我慢していた鳴き声を上げていた。
「……すまん。」
「いえ、さぁ、行きましょうお客様、辛い事なんかうちのベットでお休みになられればふっとびますよ。」
シャランが迂闊な事を言ったと謝り、メイズがそのお客様を励ましながら部屋に案内する。
その、お客様はポツリポツリと話しながら、メイズに素直に従ってくれ部屋に着いた途端ベットに倒れこんでしまった。
「あの者は?」
「部屋で寝ています。」
シャランが先のお客様の様子を気にしてメイズに尋ね、そしてメイズは簡潔に答えた。
「此処では何なので、僕の部屋に。」
「うむ。」
メイズはシャランを自身の部屋に案内し、そこで顛末を話す事にした。
「それで、ラングランドのクーデターについてもう少し詳しくは判らないのですか?」
「ああ、すまん。…そういえば先の者は詳しくは知らないのか?」
「幾つか話してくれました。それを補完したものです。それでよろしければ。」
メイズがシャランと、先のお客様が話してくれた話から、細かい所を想像で補い纏めた物を話し出す。
ラングランドは、喧嘩等はある物の、ある日までは平和な日常を謳歌していた。
数日前から、王城の者が頻繁に出入りし、エイジスという男を探していたそうだ。
「エイジスだと!!」
「はい、エイジス=ニージンだと思います。」
シャランが思わず出てきた名前に立ち上がり、メイズがそれを肯定する。
そして、あくる日、緊急収集があった。
この緊急収集は、有事の際騎士団の後詰めとして、一般の一定年齢の男性を徴兵する制度で、先のお客様も何が起こったのか判らないまま、徴兵されたそうです。
町の前の広場に徴兵された人たちと並ぶと、目の前から砂が舞い上がり、魔獣に跨った重厚な鎧を身に着けた一団が、姿を現したそうです。
敵軍は数が少なく、最初はそんなに被害無く、戦いが終わると思っていたそうですが、最初日の戦闘で指揮官が殺され、その日の戦いは終わったそうです。その夜、新しい指揮官が任命され、少々不謹慎ですが、ラングランドは指揮官学校が存在するので指揮官が殺されてもすぐ新しい指揮官が任命されて戦闘を続行できるそうです。
そして、その夜は何もなかったそうです。
あのお客様も、仲間内で「帰ったら嫁さんの酌で一杯やりたいねぇ。」等と楽しく話したそうですよ。
味方の軍の方が多いので戦いも長引かないと思われていたのですが、その次の日の戦いで、新しい指揮官の指揮の元戦ったそうなのですが、被害が大きかったそうです。しかし、敵軍の捕虜が数人捕えることができました。
その為、その指揮官は続行して指揮をとることになったそうです。
次の日も、次の日も。
野営と言っても、ラングランド地方は基本的に晴れる日が多い地方なので、地面が痛くない様に厚い毛布を引いて寝たそうです。
夜襲を警戒して壁や屋根はなかったそうですが。
そんなある日、捕虜が一定数に達したので、捕虜の返還と共に、この戦いを一時停戦にしようとしたそうなんですが、自軍の被害が余りに大きく、一度引きたかったそうなんですよ。
しかし、その事が決定された夜に、夜襲を掛けられたそうなんです。
そして、それに呼応するかのように、新しくなった指揮官が、捕虜たちを解き放った。
それどころか、城壁の中からも火の手が上がったそうなんですよ。
お客様達、強制徴兵の皆さんは、町の自分達の家を守る為、後方に配置されて居た為に町に近かったので町の中に突入したそうです。
町の中で見たのは、焼かれた自身の家と、切り殺された家族だそうです。
当然報復の為、敵に切りかかったそうですが、一蹴され、殆どが殺されたと。
殺されなかったのはその場から逃げた者達だそうです。
外の戦場も決着がついていたそうですよ。当然敵軍の勝ちで。見方は全員殺されたそうです。しかし、逃げ出した者は見逃されたそうです。
「ふむ、それは……。」
「ええ、伝える為でしょうね。」
俺達はここに居る。攻めてこいって。
「……城の連中にこの話をしてみる。」
「シャランさん?」
「多分、戦争になるだろうな。」
メイズの話が終わった途端、立ち上がり王城にてこの話をするというシャラン。
だが、それは敵の思う壺だろう。
何せ、敵方は戦争がしたいのだから。
それは了承しているというシャラン。
「だがな、エイジスを取り逃がしたのは私だ。」
「ちっ、ちがっ!!」
「違わない。私はメイズに助けられなければ、あそこで切られていた。実力不足でもそれぐらいは判るさ。」
全部自身の所為だと言いそうなシャランに、否定の言葉を慌てて紡ごうとしたメイズを遮り言い切ったシャラン。
「自分の尻拭いは自分でするさ。」
「……僕じゃ駄目ですか?」
「メイズ?」
シャランの全てを切り捨てるような言葉に、反応したメイズが上目使いでそう言葉にする。
「あっ!」
「ふむ…。」
その意味を考えて、互いに赤面する。
「と、取り合えず、城の連中に伝えてくる。」
「あっ、あ、はい。」
腰を浮かしたままなのに気付いて、慌てて出て行ったシャランであった。
この後、この国は本格な戦争の準備に入っていく。
しかし、今は赤面して固まっていてもいいだろう。
誤字脱字の指摘ありましたら感想でお願いします。
またこんな駄文ですが、評価、感想の程お願いします。




