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受ケ入レラレナイ結末


 担任の言葉に教室中がざわめき出す。

静かに、と担任は大きな声で言う。

それでも、生徒達のお喋りは止まらない。

寧ろ悪化していく一方だった。

聞こえるのは、本当に雑音になった声のみ。

「第一発見者によると、桐沢が飛び降りたのは昼休みが始まってすぐらしい。

 現在は病院に運ばれていて、意識不明だ。

 かろうじて息はしていたらしいが、外傷がひどいらしい――」

 大きな声が教室中に響き渡る。

俺は、ただただ担任の言葉に呆然とするしかなかった。

言葉が何度も頭の中で巡る。

―昼休みが始まって、すぐ……?


 担任は、教室で待機していろと告げると、荒らしく教室の扉を開け、出て行った。

再び始まるお喋り。

雑音が五月蝿くて、たまらない。

思考が停止したように上手く動いてくれない。

夕は昼休みが少し過ぎた後、俺と喋っていたはずだ。

それは間違いないはずだろう。

けれど、第一発見者の証言ではそれは矛盾していることになる。


 あの夕は一体なんだったんだろうか。

夕の魂が俺に会いに来たとでもいうんだろうか。

けれど、そうだと思う他に、俺の体験した奇妙な出来事の説明は出来ない。

突然曇りだした空、冷たい風、消えそうな夕。

あれは、本当に――


「……でもさ、居ても気付かなかったよね」

 考え込んでいた思考を覚醒させたのはそんな些細な言葉。

けれど、俺を覚醒させるには容易い言葉。

「だよねー、影も薄いし」

「うんうん! 地味だしね」

「居なくても別に平気でしょ」

 女子の不快な笑い声が耳を突き刺す。

彼女達にとっては何気ない言葉。


「俺、桐沢が同じクラスだってこと忘れてた」

「あ、お前も? 実は俺も」

 嫌なくらいハッキリした会話が耳に届く。

雑音交じりの会話。

「欠席とかしてたんだし、仕方ないんじゃね?」

「いや、今年一回も欠席してねえぞ? 去年も皆勤賞で表彰されてた」

「あれ? 表彰されてたっけ……」

「ま、影薄いしな」

 男子の不快な会話が胸を突き刺す。

彼らにとっては何気ない会話。


 ―誰とかそんなのはないんだよ。

夕の言葉がふと、頭の中に浮かぶ。

そうか、そういうことか……。

何気ない言葉、それが人を傷つけるんだ。

自分にとっては当たり前の言葉。

相手にとっては有害な言葉。


 ―誰もそのナイフの存在に気付かない

言葉のナイフは目には見えないから。

誰も、誰も自分の言葉の恐ろしさに気付かないんだ。


 俺は初めて、同級生達の言葉が教室中を飛び交う何百ものナイフに見えた。


 これで言葉ノナイフは完結になります。

言葉のナイフというのは恐ろしいもので、いとも容易く人を傷つけます。

夕はその被害者でした。

誰かが言葉のナイフに気付き、夕に温かい言葉をかけていたのなら

傷も和らいでいたかもしれません。


以下の画像は、この作品を通しての全体イメージ図です。

挿絵(By みてみん)

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