夢、希望
95話目です。
その夜。
オリバーは一人、宿の一室で机に向かっていた。
机には地図が広げられ、今まで行った場所を見ながら、
これからのことを考えていた。
もう既に、どこへいき何をするのか分かっているはずなのに。
街の様子を見たり迷宮の情報を聞いたりしているうちに、
オリバーの中に今までにない不安が募っていった。
ティナのような姿の者が他にも沢山いたのだ。
その者たちは、揃って体に傷はなく治療痕もなかった。
ただ、精神だけを攻撃されていることを示していた。
そんな敵にどうやって立ち向かうかもわからない。
仲間がそんな目にあっても助ける方法もわからない。
それでも"巨人の悪夢"に挑もうとしている時点で、みんな異常だ。
その時点で何かにあてられている。
だが、オリバーもまたその異常の一端だった。
街の人の話で気になった言葉があった。
"また夢を見た者が行ってしまった"
オリバーにはわからなかった。
迷宮攻略を夢見る者が挑むものだから。
オリバー「やあ、ジラト」
ジラト「どうした?オリバー」
オリバー「ジラトにこれを渡しておこうと思って」
ジラト「これは…タリスマンか。
どんな効力があるのだ?」
オリバー「精神攻撃が効かなくなる代わりに、
傷が回復しなくなるんだ。
行きつけの遺物屋で仕入れておいたんだけど、
ジラトにぴったりだと思ってね」
ジラト「それは助かる。
我もあのようにはなりたくないのでな。
…それと……どうやら冒険者だけではなく、
市民まで"巨人の悪夢"に挑んでおるようだ…」
オリバー「市民まで…?
……ちょっと考えるよ。
また明日ね」
ジラト「あぁ。早く休むんだぞ」
そして早朝。
"また夢を見た者が行ってしまった"
という言葉がどうしても頭から離れないオリバーは、
街の出口付近に様子を見に来た。
街を出ていく人が何人かいたが、
その全ての人の目は最早生気を失っていた。
その眼差しには迷宮への夢も希望もない。
しかしまだ、夢を見ているかのような足取りで、
何かに誘われるようにフラフラと歩いていた。
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