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神罰の英雄たち  作者: Anon
北の大陸編(中編)アルカ=ヴァリス教皇国

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91/147

革命

90話目です。

教皇サンクトゥス・ヴァルグレイスの失脚後、

アルカ=ヴァリス教皇国は急速に変わっていった。


まず行われたのは、教皇制の完全な廃止だった。


代わりに選ばれたのは、

貴族の中でも実務を担ってきた者、

大商会を率いてきた会長、

その他街を代表すると認められた者たち。


彼らは「代表」として選出され、

合議によって国を運営することとなった。


それは誰か一人が頂点に立つ政治ではなく、

責任を分け合い、管理し合う仕組みだった。



聖職者も、騎士も、特別な存在ではなくなった。


信仰を説く者は信仰を扱う仕事に戻り、

剣を振るっていた者は治安を守る職に就いた。


彼らはもはや「神の代理」でも「神の剣」でもない。

街を動かす歯車の一つとして、役割を果たしている。



そして、かつて神と呼ばれた存在――

アルカ=ヴァリスの姿を見た者は、その後誰もいない。


神殿は残り、像も残ったが、

そこに"神"がいるかどうかは、

誰もわからない。誰も気にしていない。


人々はやがて祈ることをやめ、

代わりに話し合い、自ら決めることを覚えていった。



元教皇サンクトゥス・ヴァルグレイスは、

自らがかつて「ゴミ溜め」として作り上げた死人の町に送られた。


今ではその地下で、

瓦礫の整理と清掃を生業とし、細々と生きているという。


かつて民を選別し、裁いていた男は、

今や誰にも裁かれず、誰にも崇められず、

ただ一人の労働者として日々を過ごしている。




神の国は終わった。


だが、国は滅びなかった。


神を失ったその日から、

アルカ=ヴァリス教皇国は――

ようやく"人の国"として歩き始めたのだから。




ヒルダ「一時はどうなることかと思ったけど…

ま、丸く収まったってことね。

オリバー、ここまで読んでたの?」


オリバー『さあね。でもあのままじゃ誰も幸せになれなかった。

今のこの形も、自分たちで幸せを勝ち取りにいかなきゃならない。

そういう意味では正しい選択だったかはまだ誰にもわからないよ』


ジラト「うむ。そうであるな。

だが、この瞬間を切り取って見れば…

皆、幸せな顔をしておる」


ガッツ「まさか国を変えちまうなんてな…。

世界を変えるならまず国からってか!」


オリバー『そうだね。

さて、少し情報収集をしたら出発するよ』


ネフィア「あ…!あの…!」


オリバー『ネフィア、どうしたの?』


ネフィア「私は…どうしたら…」


オリバー『どうしたらって…。

僕たちの旅についてきてよ。

もう君も仲間なんだから』


ネフィア「でも…私、戦えません。

戦い、得意だったけど…もう魔法は使えないから…」


オリバー『問題ないさ。君の能力…

いや、神罰にもきっと唯一無二の価値があるはずだから』


ネフィア「じゃあ…いいんですか…?」


ガッツ「ごちゃごちゃうっせーな!

ついてこいって!俺らだって呪いのせいでチグハグなんだよ。

みんな助け合って旅してるんだ!

だから…な?」


ネフィア「ありがとう…ございます…!」


ネフィアは涙を流していた。

それ程までに奴隷生活は苦しいものだったのだろう。

そんな状況を簡単に打開してくれた恩人についていける喜びを、

ネフィアはひしひしと感じていた。


オリバー『じゃあ、僕は次の目的地のこととか、

この大陸のことを調べてくるよ。

みんな、疲れたでしょ?宿取ってあるから先に休んでて!』


ヒルダ「さすがオリバー!ありがと!

さあ!行くわよ!」


オリバー『…切り替え早いな…』


一同はオリバーと別れ、宿へと向かった。



そしてオリバーはというと…。


教皇庁――改め、中央塔の書庫へと来ていた。


オリバーはページをめくりながら何かの気配に気づく。


オリバー『…いるんでしょ?少し話そうよ』


「…やってくれたな。私の居場所を…」


アルカ=ヴァリスだった。


オリバー『居場所ならここにある。

アルカ=ヴァリス教皇国でしょ?』


アルカ=ヴァリス「ふっ…。お前、1つ聞きたいことがある」


オリバー『どうしたの?神様から問いかけなんて緊張するよ』




アルカ=ヴァリス「何故、お前には何も与えられないのだ…?」

その声には、苛立ちでも怒りでもない、

理解できないものを前にした戸惑いが滲んでいた。



そして与えようとしたそれは加護か、はたまた"神罰"か…。


神と青年の探り合いが始まる。

ご愛読ありがとうございます。

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