招かれた客
86話目です。
ヴァルグレイスは庁内の聖職者から客室に案内された。
聖職者
「ヴァルグレイス様、初参加となっておりますので、少しご説明致します」
教皇庁では、定期的に貴族を招いた催しが行われているらしい。
その詳細は伏せられたままだが、
ヴァルグレイス家は今回が初参加だという。
聖職者
「では、失礼致します」
ヒルダ「はあ…!疲れた…!」
ジラト「うむ。よく頑張った」
ヒルダ「ちょっとオリバー!
とりあえず、『ヴァルグレイスよ』と言っとけばいいからって…。
一体どうなってんのよ」
オリバーが仮面を外して答えた。
「凄く良かったよ!ヒルダ!本当に貴族みたいだった!」
ヒルダ「いいのよ!そんなことは!
ヴァルグレイスって実在する貴族なの!?
後でバレたりしないの!?」
オリバー「実在するよ。その家紋も実際に仕えてる奴隷も連れてきたから」
オリバーはそう言いながらネフィアを紹介した。
ネフィア「え、あ、あの…ネフィアと言います。
私も突然のことでよくわかりません…。
でも、さっき魔法をかけられるまでは、
間違いなくヴァルグレイス家に仕えていました…」
ヒルダ「まさか…!そんな時間あったっけ…!?」
ヒルダは頭を抱えている。
オリバー「ヴァルグレイス家宛にここへの招待状が届いてたから、
参加する旨で返送しておいたんだ」
ジラト「ん?と言うことは…?」
オリバー「僕たちは、こっそり潜入してたんじゃないんだ。
ただ、招待されたから来ただけなんだよ」
教皇庁に潜入した――そう思っていたのは、
オリバーを除く、彼ら自身だけだった。
実際には、
教皇庁が用意した席に、
教皇庁が選んだ名で、
教皇庁の都合で招かれていた。
招かれざる客ではない。
"歓迎された客"だったのだ。
ヒルダ「アンタまさかこれを騎士の奇襲から作戦開始までの、
あの僅かな時間で考えついて伝達して実行していたのね…」
ジラト「我の言った通りだろう?
いや、それ以上だ。やはりオリバーは面白い男だ」
ネフィア「あ、あの…ほ、本当のヴァルグレイスは…?」
オリバー「騎士に成りすました冒険者達に保護されてるよ。
死人の町の冒険者に襲われた可哀想な貴族としてね」
ネフィア「でも、そんなことしたら冒険者さん達が…」
オリバー「そっちも手は打ってあるから大丈夫」
ヒルダ「この男は抜かりないわよ。
それよりあなたは何?奴隷って言ってたけど…」
ネフィア「私にはよくわからないので…
その…オリバーさん、教えてください…」
オリバー「ああ、ネフィアね!僕たちの新しい仲間だよ」
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