飼われない奴隷たち
80話目です。
傷の冒険者「……ここから出られねぇ理由か?」
男は、袖をまくった。
そこには、淡く黒ずんだ魔紋が刻まれていた。
ヒルダ「……それ、街の奴隷にも同じのがあったような……」
傷の冒険者「似てるだろ。実際は同じもんだ」
ジラト「……同じ、だと?」
傷の冒険者「あぁ。違いは1つだけだ。
人に仕える紋か、国に飼われる紋か…
国に従わなけりゃ、この紋が容赦なく命を奪う」
オリバー『……じゃあ』
傷の冒険者「俺らは後者だ。
誰にも仕えねぇ自由の代わりに、光の下で生きる資格を奪われた」
男は笑った。乾ききった救いのない笑いだった。
傷の冒険者「だからここは"死人の町"なんだ。
魔紋を刻まれた時点で、俺らはもう死んでる。
ただ……気まぐれで、生かされてるだけさ」
ガッツ「そんなのおかしいじゃねーか!!
冒険者は自由の象徴だろ!?
なんとかできねーのかよ!!」
傷の冒険者「他所から来ただけのお前らなんかにわかるかよ。
どれだけのことを試してきたと思ってやがる。
もうここで死と共に生きるしかねぇんだよ!」
オリバー『なんでそんなデメリットしかないものをつけてるの?』
傷の冒険者「最初はこんなもんだと思わなかったんだ…。
冒険者の証だからって…みんな…つけてるって…。
でもソイツらは全員グルで…。
完全に騙された…!」
オリバー『じゃあ、つけられなきゃいいんだね?』
傷の冒険者「そんな簡単なもんじゃねぇ!
俺は騙されてつけられた。
だからほら、どこも失ってねぇ。
だがな…、アレ見てみな…」
傷の冒険者が指さした方には、
眼帯をした冒険者や片腕がない冒険者、義足の冒険者など、
どこか欠損した人達が沢山いた。
拳を握りしめてずっと聞いていたジラトが口を開く。
ジラト「オリバーよ……出てゆくのか?
いや…引き留めはしない。だが、我はここに残りたいのだ。
…少々、用事を思い出してな」
オリバー『やっぱ気が合うね、ジラト』
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