アルカ=ヴァリス教皇国
79話目です。
聖職者や騎士が行き交う都心部。
白レンガ作りの明るい街並みで、商人の上げる呼び声、
元気に走り回る子供、落ち着いた雰囲気の噴水広場。
この街の平和や幸せを象徴しているようだ。
そして、その街の中央には街のどこにいても拝むことのできる教皇庁。
そんな教皇国にも日の当たらない場所があった。
路地裏、湿った空気、酒と油の匂い…。
乱雑に貼られた古い紙、
街では聞こえてこなかった悪党のような言葉遣い。
まるで無法者だけがそこに集められているようだった。
ここは教皇国の冒険者ギルド。
オリバーたちは今、そこに赴いていた。
一行は足を止め、辺りを見渡す。
ヒルダ「きらびやかな教皇国はどこへ行ったの…?」
ガッツ「これでこそ冒険者ギルドだろ!」
ジラト「何か、国の思惑を感じるが…」
オリバー『とりあえず、受付の人に話を聞いてみようよ』
「おい、騎士に聖職者って…
お前らこんなところに何の用だよ…!」
スキンヘッドで顔に傷のある冒険者に声をかけられた。
ガッツ「あ?俺等のことか?
なんだ?騎士や聖職者だったら悪ぃのか?」
傷の冒険者「悪いのかって…?
お前らがここに追いやったんだろうが…!」
傷の冒険者は短剣を抜いた。
それに合わせて他の冒険者も注目している。
ジラト「貴様。いきなり突っかかってきて、
挙句、武器までか…。覚悟はできておるのだろうな?」
傷の冒険者「リザードマン…?にしちゃあでけぇが…。
まあいい。覚悟なんてとうの昔にできてる…!
だからここに居るんだろうがぁ…!」
傷の冒険者はジラトに切りかかったが、
瞬く間に床に打ち伏せられた。
ジラト「我らは今日始めてこの国を訪れた。
お主らの事情など知らぬ。
それでも、これ以上言いがかりをつけてくるのなら…
この腕も頭蓋骨も砕いてしまうぞ…?」
傷の冒険者「痛え痛え痛え!!!わかった!!
わかったからやめてくれぇー!!!」
オリバー『この国での聖職者や騎士と冒険者たちは、
どういう関係なの?』
場が落ち着き、興奮気味だった冒険者たちも、
ジラトの驚異的な戦闘力を目の当たりにし、潔く黙っていた。
傷の冒険者「……ここは、聖職者が統治する国だ。
その下に騎士がいる。俺ら冒険者は…まあこのザマだよ」
ジラト「なぜこのような"ザマ"になっておるのだ?
力のある冒険者もおるのだろう?」
傷の冒険者「表向きは冒険者は完全排除されたんだ。
だが、この"死人の町"にヤツらこねぇ。
だからここに集まって細々とやってんだよ」
ガッツ「冒険者はかなり下の地位なんだな。
良くやってきたな。お前ら」
傷の冒険者「俺らはまだマシだ。もっと下の奴らがいる」
オリバー『……異種族…だよね?』
傷の冒険者「なぜ…わかった…?」
ジラト「やはり…な。
街では奴隷を飼っている者が多いように思えたが、
その奴隷全てが"異種族"だったのだ。この身で言うのもおかしいがな」
オリバー『人族かそれ以外か…だね』
傷の冒険者「そ、そうだ。だからアンタも危ねぇ…!
来たばっかなんだったら早く出てったほうがいい…!
こんなところにいても何も得る物はねぇよ…!」
オリバー『じゃあなんで……。
君たちはこんな何も得る物がないところにいるのかな?』
傷の冒険者「こんなとこ、好きでいるわけねぇだろうが……」
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