裏路地の闇商店
7話目です。
そこはお店…というより物置きのような場所だった。
どれが商品なのかわからないぐらいに物で溢れていて、
前が見えないほどだ。
物に触れないように慎重に進むと、
そこにはカウンターと店主の姿があった。
店主「ん?なんだお前ら。客かと思ったらガキじゃねーか!
ここはお前らの来るところじゃねーぞ!」
オリバーは紙のギルド証を見せた。
店主「なんだ、冒険者か。見た目で判断して悪かったな。
何を探しにきた?」
オリバー「今みたいに子供扱いされちゃうから、
顔や体を隠せる物を探しに来たんだ」
店主「隠せる物か…。あるっちゃーあるが…うちの商品はちょっと"クセ"が強いんだ。まあいくつか見せてやろう」
そう言って店主はカウンターに商品を並べた。
帽子、メガネ、マスク、兜…色んなものがあったが、
オリバーは直感的に顔全体を覆う仮面を手に取った。
店主「お!良いの選んだじゃねーか!それはな…付けている間、なんと魔力が大幅に増幅するんだ。どうだ?いいだろ?」
オリバー「確かにいいけど…
顔も隠せて魔力も増えるってそんな都合の良い物あるの?」
店主「まあまあ騙されたと思ってつけてみなって!」
オリバーはゆっくりと仮面で顔を隠した。
すると顔に吸い付くようにくっつき、
体の奥から力がみなぎるのがわかった。
オリバー(すごい…!付けるだけで強くなったのがわかる…!)
と、声を発したつもりが全く声にならない。
オリバー(え?なんだこれ、声が出ない…!)
戸惑ったオリバーは咄嗟に仮面を外す。
それを見た店主は言った。
店主「わかったか。それは付けたものにしか異常さがわからない。声が出なかったんだろう?それだけで返品物さ。さあ、返しな。」
オリバー「わかってたんだったら先に言ってよ…。いや、でも返品はしないよ。これは僕のためにある気がするんだ」
店主「声が出ないんだぞ?
声が出なきゃ仲間と連携も取れねぇし、
魔法を唱えることもできない。
魔力がどれだけあったって魔法が使えなけりゃ意味がねぇ」
オリバー「いいんだ。僕はこの仮面がほしい。
デザインも"クセ"のある効果も気に入った。
僕なら使いこなせる。これ、いくらで買える?」
店主「いくらって…値段なんかつけたことねぇよ。
もういい、やるよ。その代わり返品は絶対受け付けねぇからな!
それはもうお前のモンだ!」
そうしてオリバーは「沈黙の仮面」を手に入れた。
店主「おい、そっちの!お前もなんか選べ」
店主はガッツにも声をかけた。
ガッツ「え!?俺もいいの!?
じゃあ俺は顔と体をを隠せる兜と鎧が欲しいな」
店主「兜と鎧か…お前さん騎士のようだが、
大盾だけか?剣はどうした?」
店主はガッツの違和感に気付いた。
ガッツ「剣は持てないんだ。生まれつきの"呪い"のせいでな」
店主「お前さん、"呪い持ち"だったか。そりゃ悪かったな。
そうだ、そこに不格好な形をした棒があるだろう?
それをこっちに持ってきてくれないか?」
ガッツ「ん?あれか。いいぜ!よいしょっと…!
結構重いなこれ。ほらよ!」
ドンッ!!とカウンターに鉄の棒を置く。
店主「コイツは持てるんだな。
コイツも一応剣だぜ?なんでこれは持てた?」
ガッツ「わかんねーけど、武器じゃないんじゃないか?」
店主「しかし重いし硬いし…
人を傷つけようと思えば武器になるだろう?」
ガッツ「んー、確かに。でもそれは多分俺以外には持てないし、
持てたとしてもまともに扱えないはずだ」
店主「ほう、さっきまで武器が持てないって言ってたヤツが、
今度は俺しか扱えないだと?なんでそう思った?」
ガッツ「これはあまりにも重すぎる。
普通の人が武器として扱える代物じゃない。
ここに運んだやつは大したもんだよ。
俺は人より力があって体が丈夫だから普通に持てるけどな」
店主「なるほど、そういうことか!こいつぁおもしれぇな!
よし!お前さんはこの剣をやるよ!ていうか早く貰ってくれ!」
ガッツはその重い剣を手に取り軽く振ってみた。
ガッツ「これが俺の…俺だけの剣…!
うおおおー!!やったぜー!!!」
店主「ソイツを貰ってくれたお礼に兜と鎧、
あとオマケで盾もやるよ!
さすがにタダじゃ厳しいが…
出世払いってことで今日のところは持って帰りな!」
ガッツ「いいの!?ありがとう!!」
ガッツは大喜びだ。
オリバー「どれも見た目はいいけど、
どうせ"クセ"があるんでしょ?」
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