フィエルの手記とジラトの疑問
77話目です。
オリバーたちは"変生樹海"を北西に向けて突き進んでいた。
ヒルダ「この辺りは意外と開拓されているのね」
ジラト「開拓者たちが何度も訪れているようだからな」
オリバー『これを辿っていけば町につきそうだね』
その時、ガッツは一番前を歩いていた。
以前、1人はぐれて勝手に転移していたからだ。
ヒルダ「そう言えば、さっきの手記にはなんて書いてあったの?
あんなこと言ってたけど…読めたんでしょ?」
オリバー『バレてたか。うん、読めたよ。
だけど…意味はわからなかった。
多分、他の手記も1つ残らず集めないと、わからないんだと思う』
ガッツ「へぇ〜。なあ、ちょっと見せてくれよ!」
ガッツはオリバーの手から手記を取り上げる。
ガッツ「……??なんでこれを読めんだよ…」
がっかりしてオリバーに返した。
オリバー『これさ、魔法術式の中にメッセージが隠されてるんだよ』
ジラト「術式…?」
オリバー『うん。ほら、ここは術式だけど、ここは普通の文字なんだ。
これらだけを抜き出して読めばいいんだけど…全く意味がわからない』
オリバー『それに、この術式自体もデタラメじゃない。
ちゃんと発動する仕様になってるんだ。
だけど、式が足りない。だから…他の手記が必要なんだ』
ガッツ「面白いじゃん!でもまた目的が増えちまうな!」
ヒルダ「旅のついでに情報集めりゃいいじゃない」
ガッツ「まあそうだな…って、
ん?ジラトどうしたんだ?そんなに怖い顔して」
ヒルダ「怖いのはいつものことでしょ」
ジラト「オリバーよ、一つ問うてもよいか。
オリバー、お主は本当に人族か?」
ジラトは立ち止まり、神妙な面持ちで問いかけた。
オリバー『うん…そうだと思うよ…?
両親ともに人族だし、僕も見た目は人族じゃない?
…なんでそう思うの?』
ジラト「見た目"だけ"はそうだが…
お主の能力は、森族…いや、高位森族そのものなのだ」
ヒルダ「森族…?能力…?どういうこと?」
ジラト「お主ら…森族を知らぬのか…!
かつては、古代森族だったか…
この世に魔法というものをもたらした高貴な種族だ。
そして、詠唱なしに魔法が使えるのもこの種族だけなのだ」
(…あれ?ってことは師匠は……?)
ジラト「それにさっきお主が言った"術式"もだ。
これを読み解くのも扱うのも森族だけだ。
……その妖精もな」
ガッツ「それだけ聞けばもう完全に森族じゃん…」
オリバー『それはわかったけどさ、なんで僕がそんな力使えるの?』
ジラト「それがわからぬから問うたのだ。
そのフィエルという者、其奴は間違いなく森族だろう。
これは、こじつけになるやも知れぬが…一つ仮説がある」
ヒルダ「仮説?」
ジラト「ああ、そうだ。
恐らく、フィエルが抱えていた赤子こそがオリバーで、
人族の夫婦に預けたのではないか?
要するに、お主がフィエルの息子ということだ」
ヒルダ「それはあり得ない…!とは言い切れないわね…」
ジラト「オリバー、お主の無詠唱魔法、術式解読、妖精召喚…
これらはただ偶然に人族に発現するものではない。
人に教わったからといって出来るものでもない。
これらは森族固有の技術であり…血が関わっておるからだ」
オリバー『だからジラトは僕が人族じゃないと思ったんだね。
そこまで言われたら自分でもそう思えてきたよ』
ティリル「ジラト、よく知ってるねっ!さすが生きる歴史だっ!
ジラトの情報はほとんどあってるっ!
オリバーがなんで人族の姿をしているかが謎っ!」
ヒルダ「さっきも言ったけど、それも旅のついでに調査しましょう。
手記を集めればオリバーのことも何かわかるかも知れないし」
オリバー『そうだね。ジラト、色々教えてくれてありがとね』
ジラト「いや、良いのだ。我の素朴な疑問ゆえ」
ガッツ「それにしても色々わからないこと多いよな。
そもそもこんなに世界が広いことも知らなかったんだ。
これからの旅が楽しみでしかたねーぜ!」
一行は再び歩き始め、"変生樹海"を抜ける寸前まで来ていた。
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