―観測者の感動―
75話目です。
少年―――いや、もう青年か。
月日が経つというのは、なんと早いのだろう。
若き旅人よ。
よくぞ、我が友との邂逅を果たしてくれた。
我が友ジラト。
その真の名を―――
勇を讃え、竜を継ぎ、空を駆け、
時を越え、災を祓い、友を守り、
真を掲ぐる者。
ジュゲ=ル=アンヴァス=“ディラト”=ヴォルグ=ライン=カナン。
私は今でも忘れない。
私を唯一「友」と呼んでくれた者を。
……だが、長く生きすぎてしまったな、ジラトよ。
己の名すら手放してしまうほどに。
それでもまだ、死ぬわけにはいかぬぞ。
“呪われし勇者”と“聖女”と共に、
お前たちは『神罰の英雄たち』として、
あの青年を世界の“深層”まで導いてやるのだ。
あの青年こそが、この世界の鍵となる。
異形の神と"同じ存在"でなければ、
そこには辿り着けない。
―――もう二度と、鍵を失うわけにはいかない。
これが…最後の望みなのだ。
アラシオンの民よ。
悠久の年月にわたり、よくぞ鍵を守り抜いてくれた。
まことに…よくやってくれた。
フィエル……フィエル=アラシオンよ。
お前が命を懸けて託した希望だ。
青年の眩い成長を、その目で見届けられぬのは無念だ……。
しかし、その意志は今も確かに生きている。
―――お前は死んでなぞいない。
そして、まだ見ぬ『神罰の英雄たち』よ。
青年との邂逅を果たすのだ。
しかし、青年と『神罰の英雄たち』の行動によって
世界は、すでに"覚醒"の準備を始めている。
鍵が―――未来が動き始めたのだ。
異形の神よ。呪った者をそのまま甘く見るがよい。
神に見放された者にしかできぬこともあるのだ。
さあ……ここからだ。
「我々の反撃を、始めようではないか」
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