冒険の予兆
5話目です。
基礎クラスの教室で自己紹介を済ませ、
拍手で温かく迎え入れてもらうと、空いている席に座った。
そこには既に自分の教科書などの荷物が置いてあった。
(さっき言い渡されてこれって準備良過ぎない…?)
カレン「オリバーくん。私、カレン。よろしくね!」
隣から声をかけられる。
オリバー「あ、うん、よろしくね」
カレン「まだ色々わからないと思うから私が教えてあげるね!」
その後、授業が進み詠唱魔法と魔導書について学んだ。
そして初めての授業は終わり休み時間に入った。
オリバーは復習をしたかったが、
生徒達がオリバーの周りに群がり、質問攻めにあってしまった。
次の授業は演習場で詠唱魔法の練習のようだ。
オリバーは無詠唱で出来る為、詠唱をするフリをした。
先生「お!オリバー!上手いじゃないか!
今日が初めてとは思えないな!」
生徒たち
「ほんとだー!」
「すごいねー!」
などと周りからもてはやされて、オリバーはいい気分になった。
今日の授業が終わり、みんなと別れて帰路についた。
すると家の前に誰かがいる…。
(また、あの男か…?いや―――)
「よお!オリバー!待ちくたびれたぜー!」
ガッツだった。
オリバー「なんで家知ってるの?教えたっけ?」
ガッツ「なんとなくの場所と外観はな!
いやー!会えて良かった!」
オリバー「こんな時間から森には行かないよ?」
ガッツ「まあ、ちょっと話したいことがあってさ…」
オリバー「とりあえず入りなよ。
友達も連れてきちゃいけないくらい厳しくはないからさ。
きっと歓迎してくれるよ」
オリバーはガッツを家に招き入れた。
オリバー「ただいま」
ガッツ「お邪魔します」
オリバーの母「おかえりー!」
遠くから母の声が聞こえる。
そしてこちらに近づき、ガッツの姿が見えた瞬間――
オリバーの母「あら!お友達!?
あなたが連れてくるなんて珍しい…
いや、初めてじゃない?どうぞどうぞ!上がって!
丁度夕食を作ってたところなの!一緒にどうぞ!」
ガッツ「はい!お言葉に甘えて!頂きます!」
そしてオリバー一家とガッツの4人で食卓を囲み、
途中ガッツが森での出来事を話しそうになったが、
オリバーが必死に止めて事なきを得た場面もあった。
全員が終始楽しそうだった。
食べ終えた2人はオリバーの部屋へと向かった。
オリバー「で、話ってなに?」
「話ってのはな、率直に言う!一緒に冒険者やってみねーか?」
予想だにしないガッツの発言にオリバーは驚いた。
オリバー「え?冒険者?なんで急に…?」
ガッツ「俺さ、オリバーとの戦いが忘れられなくて、
俺が盾でオリバーが剣として戦えば最強じゃね?
って思ったら居ても立ってもいられなくってさ…」
と照れくさそうに言う。
(冒険者か…たしかに大会までの訓練としては良いな…。
ガッツがいれば攻撃に集中できそうだし…でも…)
オリバー「でも、僕達まだ十歳だよ?子供でもなれるの?」
ガッツ「冒険者に年齢制限はない!!
…と思う。明日休みだろ?ちょっと行ってみようぜ」
オリバー「そうだね。行ってみないとわからないし…
いいよ、行こう。」
そうして2人は明日の朝、冒険者ギルドを訪れることにした。
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