続・オリバーの気がかり
43話目です。
続・王の気がかりの裏の話です。
その翌日から昼間にギルドに行くのをやめた。
数日後の夜、また3人でギルドに赴いた。
するとまた―――
「お、きたぜ、“ノクトラ”だ!」
「ほんとに来た! ……あの仮面、まるで喋らねぇんだよな」
「夜にしか姿を見せねぇ。何考えてんだか」
コソコソ言われている。
そして誰かが調べるために、
ここにコッソリと潜入しているかも知れないと思えば、
全員が怪しく見えてきた。
こっちを見てコソコソ噂している者達、
こちらを見ず楽しそうに酒を飲み交わす者達、
珍しいものを見るようにこっちを見ながら飲んでいる旅人。
"ここで1人で飲んでいるなんて珍しいな"と思い、
無言の仮面もそちらを見ていた。
うーん、みんな怪しい。
さっさと受注と報告を済ませてギルドを出た。
全員怪しかったし誰かはわからなかったけど、
明らかにギルド内にいた気がするな。
よし…!ちょっとどんなヤツなのか探りを入れてみよう。
無言の仮面は翌日以降、
敢えて何度も街に繰り出して、少し姿を見せるようにした。
自分の後ろの方に意識を向けていると、
遠くで薄っすらだが確かにこちらをつけているような感覚があった。
こっちが意図的に姿を消してみれば、
それ以降は見失ったのか追わなくなった。
やっぱり誰かに見られているな…。
でも、こんな距離でも僕の気配を感じ取ってついてくるなんて…
そんな人がこの街にいたなんて驚きだ。
相手の気配の隠し方も
"盗賊"の僕じゃなかったらわからないだろうな。
今度はちょっと遊んでみよう。
無言の仮面は冒険に必要な雑貨が売っている、
行き付けのお店に行った。
無言の仮面が店主に合図を送ると裏口へ案内してくれた。
そこから外に出た無言の仮面は、
相手がどんな行動に出るかを伺っていた。
追跡者は「お前のことはわかっているぞ」と言う様に、
無言の仮面がギリギリ感知出来る場所に姿を見せた。
やっぱあの追跡者、かなり優秀だ。
じゃあ次は…っと。
この数日で借りた偽の隠れ家に誘導した。
さて、ここが勝負どころだ。
お前ならきっとここまで来るだろう。
一応隠蔽魔法もかけておこう。
これを破れるなら大したもんだ。
その夜、無言の仮面は部屋の中が見える位置で待機していた。
あ!あのフード!あの時ギルドホールにいた旅人か!
あいつだったのか…。
さあ、勝負だ!!
追跡者は机の上の本を手に取らず、
机の上に置いたままページをめくって、
「無言の仮面の冒険日記」を読んでいた。
追跡者が最後のページを読み終えた時、
急に魔法を発動したかと思えば、
その本を手に取りその部屋から、
まるで"空間に溶け込むように"姿を消した。
よし!掛かった!それはもう"お前の魔導書"になった。
居場所を感知できる魔道具にもなった。
持っていても居場所が感知され、
捨てたらそれが致命的な痕跡になってしまう。
次はこっちの番だ!絶対に逃さない!
読むことが契約口上、手に取って成立ですね。
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