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神罰の英雄たち ー神に選ばれなかった少年、神を欺き世界を駆けるー  作者: Anon
ダンジョン攻略編

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34/75

異界の喉笛 ー沈降の道ー

33話目です。

ティナは防具を失い、グラフは武器を失った。

先へ行かず引き返そうとしたが、

その2人の懇願で少しだけ先をみてみることにした。


そこはやはり一本道で、

さっきまでのゴツゴツもトゲトゲも何もない。

ツルッとしたただの空洞の道だった。


出口も、次の階層も、分かれ道も広い空間もない。

どこまでも続く同じ景色。


グラフ「階段がねェ……まさか、ここで行き止まりかァ?」


リード「いえ、行き止まりではないようですが、

先が全く見えませんね。

少しだけ下に降りてはいるようですが…」


カイム「しかし、次の階層に続く道にしては長くないか…?」




一行は慎重に進み、何も起こらぬ沈黙の中、

ひたすら探索を続けた。

そしてリードがその口火を切った。



リード「少し長すぎますね。私たちもかなり疲弊しているし、

ここで引き返さなければもう戻れなくなります。

先が気になるのは私も同じですが…ここは引き返しませんか?」


カイム「……たしかにそうだ。オレの判断が遅れた。

すまない。一度ギルドに帰ろう」


そうして今来た道をまたひたすら戻ることにした。


するとオリバーが何かを見つけたように立ち止まる。

さっきは見落としていたのか凄く小さな空洞を見つけた。

その空洞、瓦礫の影に骸骨が一つあった。

その傍らに、静かに置かれた一冊の厚い古びた本を見つけた。



オリバーが手に取ると、表紙には古びた金文字が刻まれていた。



古記録アーカイブ



ティナ「あれ?オリバーは?おーい!!オリバー!!

ただでさえ静かなんだから離れないでよー!」


オリバーは本を持ったまま慌てて隊列へと戻った。


帰り道は魔物も罠もなくスムーズに帰ることができた。



そしてギルドホールにて。



カイム「みんな、大変な…いや、良い冒険だった!

明日またここに集まって戦利品をギルドに出そう。

後は、あの長く続く道について考えることにしよう。

では、解散!みんなゆっくり休んでくれ!」




その夜。

オリバーは自室にて蝋燭の灯りの下、拾った本を静かに開く。 


擦り切れた文字をなぞり、欠けた文を補いながら――


ページをめくる度に、

まるで神話の物語のような言葉や話が次々と出てきた。

果てしない世界、"9つの古代迷宮"…

これが本当にこの世界のことなのか、

誰かがただ作った小説なのか、

にわかに信じがたい"真実"がそこには書かれていた。


そして、無意識に呼んでいた「異界の喉笛」という名前は、

いつのものかわからない古い書物にも書かれている。


この書物の著者は「異界の喉笛」についても書いていた。

あの骸骨が恐らくそうなのだろう。


最後に息絶えたあの道――


「沈降の道」


何の魔物も罠もなく、

ただひたすら目的地の見えない道を突き進んでいくだけの場所。そこを進む者は、退くも進むも躊躇い始め、

やがて心が壊れ、死を選ぶか疲れ果てて死んでしまうか…


そういう仕掛けの道だ。

これだけダンジョンについて詳しく調べてあるから、

間違いないだろうとオリバーは考えた。


そしてそれを読み終えた時、

オリバーは自分がとんでもない所にまで足を突っ込んでいることを思い知ったのだった。


「他の大陸か…どうやって行くんだろう?

いや、本当にあるのかな…?」


そう考えているうちにいつの間にか机に突っ伏して眠っていた。



"異界の喉笛"は口腔〜食道(一層〜三層)を表しています。



ご愛読ありがとうございます。

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