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神罰の英雄たち ー神に選ばれなかった少年、神を欺き世界を駆けるー  作者: Anon
魔導学院決闘大会編

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新たな道

22話目です。

2章最終話になります。

王立魔導学院決闘大会の試合は全て終了し、参加した生徒は演習場の真ん中に集められていた。


そして学院長の挨拶が始まる。



「王立魔導学院学院長、リンクス・ヴァレンティスだ。

今回は皆、本当によく頑張ったと思う。

そんな皆に覚えておいてほしいことがある。


人は勝敗の中で成長するんじゃない。

失敗と向き合った時に、ようやく“自分”と出会う。


今日ここで戦った全ての人に、私はひとつだけ伝えたい。

――どうか、負けを恐れないで。

恐れた瞬間に、心の魔法は消えてしまうから。


それでは、本大会をここに終える。

もう一度言う。皆、本当によく頑張った!」


学院長の若さの中にも威厳と迫力のある声がやむと

会場に静寂が訪れ、そして、ゆっくりと拍手が広がっていった。



(学院長、ヴァレンティスって名前だったんだ)

オリバーは違うことを考えていた。



「オリバー・ウォード!前へ!」

学院長の迫力ある声が再び響き渡る。

オリバーは慌てて学院長の元へ行く。



国王「――オリバー・ウォード。

まずは、この大会を無事に終えられたことを、心から誇りに思う。


君は試合の中だけでなく、その外でも"戦った"。

誰もが恐れた呪いを前に、仲間を守り、己を捨てて立ち向かった。


あの一件で、私はひとつ確信した。

才能という言葉では説明できない――

君の中にある"強さ"は、本物だ。


だが、勘違いしないでほしい。

それは力の大きさではなく、心の在り方のことだ。


力はいつか枯れる。だが、心の在り方は決して滅びない。

君がそれを忘れない限り、どんな呪いも君を飲み込むことはないだろう。


王立魔導学院の名において――

その勇気と誇りに、最大の称賛を贈る」






王はゆっくりと立ち上がり、会場の空気が静まり返る。


国王「……少年。

君は、己の命を懸けて立ち上がった。

それは誰に命じられたわけでもなく、

誰かに褒められるためでもなかった。


"ただ、守りたかった"。

その願いが、人の形を越えた呪いすら打ち払ったのだ。


だが、忘れるな。

呪いとは"外から来るもの"ばかりではない。

時にそれは――心の奥底に、静かに生まれる。


これから先、君はその意味を知るだろう。

その時、今日の自分を思い出すがいい。


よく戦った。

よく、生き延びた―――」


国王が最後の言葉を述べた時、オリバーを見るその表情が柔らかくなった気がした。

しかし次の瞬間には、王の顔は再び静かな威厳に包まれていた。


国王は続けてオリバーに語りかける。



国王「今回の素晴らしい結果に褒美を与えたいと思う。

これは学院長と相談して決めたことだ。

その圧倒的な実力は精進を続ければ近い将来、

この学院の教師すら凌駕するだろう。

そこでオリバーには高等部への昇級を与える。

その実力を着実に伸ばし、

さらなる高みを目指してもらいたい」


会場がざわつく。

初等部に入ったばかりの生徒が高等部に上がるなんてことは前代未聞だからだ。



国王は静かに続ける。


国王「高等部には実戦クラスと実験クラスがある。一応聞いておくが、どちらに入りたいか決まっているか?」






オリバー「はい。実験クラスで」



2章終わりました。

表彰の途中なんですが、ここで終わらせたかったんです。




ご愛読ありがとうございます。

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