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神罰の英雄たち ー神に選ばれなかった少年、神を欺き世界を駆けるー  作者: Anon
魔導学院決闘大会編

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18/74

堕天

17話目です。


ガラード邸――


薄暗い書斎に、

父であるガラード氏と、

息子のミルドが並んで座っていた。


ガラード「オリバー……コイツ、なかなか曲者だな…」

 ガラード氏の低く重い声が書斎に響く。

眼鏡の奥で冷たい光が瞬いた。


ガラード氏は深く息を吐き、

机に広げた資料の山を指でなぞった。


「コイツ、ただの基礎クラス生ではない。

初等部の仮面を被った……

いや、仮面を被っているのはこっちの方か…」

なぞった指は冒険者リストの上で止まった。


ガラード「まさか、隠れて冒険者をやっているとは。

しかも銅ランクだ…。

このガッツって奴も同様だな。コイツも利用させてもらおう…。

まずは、我々をこの状況に追い込んだ国に報復をせねばな…」


ミルドの眉がきゅっと寄った。



ガラード氏の指が資料の上でゆっくりと円を描く。

計画はすでに頭の中で完成していた。


「しかし…魔導学院も騎士学校も冒険者ギルドも、

全ては国の管轄だというのに…

表向きでは手厚い教育を謳っている国も、

裏では子供にこんな仕事をやらせているなんてなぁ…」


チリン―――



微かな鈴の音と共に、黒服の影が書斎に現れた。


黒服「お呼びでしょうか、旦那様」


ガラード「まずは、国だ。魔導学院と騎士学校は生徒を、

道具のように冒険者ギルドで働かせ

、使えなくなったら捨て、また新しい生徒…

いや、道具を仕入れている…。

という情報を、掴んだ証拠と共に国中に触れ回れ」


黒服「直ちに」

そして物音を一切立てずに闇へと消えた。


ガラード商会は処分を受けていても、

国内での力はいまだ絶大だ。

そんな情報が回ってしまえば国は一気に不信感で溢れる。


ガラード氏は邪悪に微笑んだ。


父のその姿を見たミルドは震えていた。

昔の優しかった父はもういない。

そのことを潜在的に悟ったミルドは、

自らが抱いた怒りを忘れるほどの不安と恐怖、

そして後悔に少しずつ心を蝕まれていった。




その夜―――。



ミルドは眠れずにいた。


あの父の圧倒的な恐怖。

しかし、もう後には戻れない。やるしかない。


ミルドは混乱を押し殺すように…


ゆっくりと心を悪意に染めていった。




そうすることで罪の意識から逃れられた。




楽になれた。




そう考えているうちにいつの間にか眠りについていた。







そして、ミルドは夢を見ていた―――。




夢のお告げ。


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