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神罰の英雄たち ー神に選ばれなかった少年、神を欺き世界を駆けるー  作者: Anon
魔導学院決闘大会編

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17/73

暗躍する悪意

16話目です。



オリバー「師匠、こんなところにいたんだ。ちゃんと見てたの?」


フードの男「ああ、特等席でな。

まさかあんな芸当をやってのけるとは思わなかったぞ。

修行中に教えてないのに、よく思いついたな。

さすが俺の弟子だ!」


オリバー「本当は、ちょっとおどかすつもりだったんだけどね。

向こうが本気で殺りにきたから………キレちゃった」


フードの男「言い方は可愛いが、やったことは可愛くねぇな!」


フードの男は苦笑しながら肩をすくめた。


フードの男「まあ、あれだけの爆発だ。

危うくお前も死ぬところだったんだ。

……そういや、アレどうやって防いだ?」


オリバー「え? ああ、ただ大量の水の幕を張っただけだよ」


フードの男「……そうか。

そんなもんで防げるとは思えねぇが……まあいいだろう」


オリバー(何か疑われてる…?)



フードの男「これからお前らがめちゃくちゃにした戦場の復旧作業に入るらしい。

今日は早めに帰って休め」


オリバー「えー、また中断?早く次の試合したかったのにー!」


フードの男「次は高等部の実戦クラスだぞ?

初等部との試合なんて前代未聞だ。

今日はおとなしくしてろ」


オリバー「もー、わかったよ…」


オリバーは不満そうに肩を落とした。


だが実際には、あれだけの戦闘をしたにも関わらず、

魔力の消耗はほとんどない。

師匠の教えを守った成果が出ているのだ。


オリバー(ま、やることもないし、今日は素直に帰るか)






その後、オリバーとミルドの試合は国内で大きな波紋を呼んだ。

ただの学生にも関わらず、

お互いが本気で命を懸けた戦いになったからだ。



ガラード商会は国から無期限の業務停止命令を受けた。

息子ミルドの暴走を許した責任を問われたのだ。

ミルド自身も一ヶ月の謹慎処分。

親子揃って重い罰を受けることとなった。



一方、オリバーは――


上級生の猛攻から身を守るために必死だったということで、

処分は見送られた。





ガラード邸にて―――




ガラード「ミルド……アイツは何だ…?」

深く低い声で問いかけたのは、

ガラード商会の長、ミルドの父だ。

怒りを押し殺すような声が、広い執務室の空気を震わせる。


ミルド「俺も知らねぇ!この大会で初めて見たんだ!

…全部アイツが悪いんだ!アイツが俺に逆らうから……!」


ガラード「ああ……そうだな……」

ガラード氏は静かに椅子の肘掛けを握り締めた。

節の太い指が白くなるほど力がこもる。




ガラード「このままじゃ……腹の虫が治まらないな」


その声は、怒りというよりも、冷たい決意に近かった。

やがて、彼は机の上の鈴を軽く鳴らす。


チリン――。


しばらくして、黒服の男が一人、静かに部屋へ入ってくる。


黒服「呼びましたか、旦那様」


ガラード「"あの少年"を調べろ。

名前は――オリバー。

出身、家族、交友関係、何でもいい。

一つ残らず洗え」


黒服の男は一礼し、音もなく姿を消した。


ガラード氏はしばらく沈黙したあと、

震える息を吐きながら呟いた。


ガラード「ミルド。よく見ておくんだぞ…」


ミルドは唇を噛み、黙って頷いた。

その瞳の奥には、怒りとも恐怖ともつかぬ光が宿っていた。


いつもご愛読ありがとうございます。

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