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神罰の英雄たち ー神に選ばれなかった少年、神を欺き世界を駆けるー  作者: Anon
魔導学院決闘大会編

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雷の魔法

15話目です。


オリバーは学院の大演習場の控室に来ていた。


そこにはレイアスもメルティナもいた。


メルティナ「やあ、オリバー!

あなたにちょっと話しておきたいことがあるの。

私が負けたもう一人の相手についてよ」


オリバー「相手の情報を教えてくれるの?

そう言えばそのお相手はここにはいないね。

今のうちに教えてよ」


オリバーは相手がどんな魔道具を使うのか楽しみにしていた。


メルティナ「あなたが思っているような相手じゃないわ。

私が何もできずに負けた相手なの。これは異常よ」


オリバー「でも僕にも何もできず負けたよね?」


メルティナ「うるさいわね!あなたはいいのよ!

ただの"規格外"だってことがわかったから!

でも、魔道具クラスのアイツはそういうことじゃないの。

多分だけどルールに違反した魔道具を使ってる。

私に使ったのが全部じゃないと考えたら、

強いあなたにはどんなことをしでかすかわからない。

…気をつけてね」


普通に心配と忠告だった。


オリバー「ありがとう。

先にレイアスくんとその魔道具クラスの人がやるだろうから、

試合を見ておくよ」


レイアスと魔道具クラスのミルドの試合が始まった。


ミルドはガラード商会という、

街の中でも大きな商会の息子で、金で力を買うタイプだ。

そして親もミルドには甘く、

欲しいと言われれば盲目的に買い与える。


そんなミルドとレイアスの試合は、

ミルドの一方的な魔道具による攻撃で圧倒した。

ミルドの使う魔道具は、

レイアスの魔法を力ずくで潰してしまうほどの力があった。

オリバーはこれを力の差と言うには少し納得いかないようだ。




試合を見終わって控室に帰ったオリバーは、

メルティナに感想を述べた。


オリバー「君の言ってたことがわかったよ。

何となくアレは気に入らない。まあ僕に任せてよ」


メルティナ「頼もしいわね。

じゃ、次は私だから言ってくるわね。

レイアスには気の毒だけど」


たしかに、レイアスはずっと負け続きだ。

この精神状態で次の試合も勝てるとは思えない。

(レイアス…残念だったな…)



結果は誰もが予想した通りメルティナが勝利した。



(これは詠唱クラスの授業内容を見直した方がいいだろうな…)


オリバーはそんなことを考えながら控室を出て、

出場のスタンバイをしている。


(対戦相手…ミルドはどんな手でも使ってくる…。

反撃できないように畳み掛けよう)


オリバーの心は決まった。




そして、演習場へと出た。


(そう言えば師匠はどこで見ているんだろうか?

特等席とか言ってたけど、

こっちから見えない特等席なんてあるのか…?)

そう思いながら会場を見渡すと院長を発見した。

最上階の一番良さそうな場所で見ていた。

(隣にいるのは…もしかして国王様か!

あんな偉い人まで見に来てるなんて…!)


そんなことを考えているうちに司会の号令が響く。


司会

「魔道具クラス、ミルドー!」

「基礎クラス、オリバー!」

「試合始め!!」



オリバーは戦闘開始の合図と同時に、

風の魔法で素早くミルドに接近した。

ミルドが反撃の構えを見せた瞬間、

オリバーは瞬時に間合いを取る。

そして、地面に小さな魔道具を設置していった。

この攻防を何度も繰り返し、

あちこちに置かれた小さな魔道具たちは、

まだ何も起こさず、静かにその時を待っていた。


ミルド「ハハハッ!そんなゴミを置いて何になるんだよ!」


次に、オリバーは水流を放つ魔道具を起動した。

冷たく勢いのある水がフィールドを駆け抜ける。

ミルドも濡れないように必死に逃げたが、

ついにその服を濡らしてしまう。


ミルド「くそっ…!これは新作の勝負服なんだぞ!

こんなに濡らしやがって…!弁償させるからな…!」 


怒りの声を上げるミルドを尻目に、

オリバーは笑みを浮かべ、水流を放ち続けた。


ミルド「くそーっ!この"取っておき"で仕留めてやる…!」


怒りのミルドは、どこからか取り出した"ミニガン型魔導具"を、

オリバーに向かって乱射した。


オリバーは水の壁を巻き上げながら反射的に回避する。

巻き上げられた水と共に戦場を駆け巡り、

その巻き上げた水はミルドの攻撃を幾重にも防ぐ盾となった。


ミルド「くそーっ!!コイツもゴミか!!」


"取っておき"で仕留められず苛立ったミルドは、

その"取っておき"を投げ捨て、

またどこからか"フラググレネード型魔道具"を取り出し、

幾つも上空に放り投げた。


一投目が閃光と爆風を放つと、

それに連鎖するように次々に大爆発が降り注いだ。

そして数多の爆発が、舞い上げた粉塵で戦場を完全に覆い隠す。


誰もがオリバーが飲み込まれたと思ったその瞬間、

彼のシルエットだけが見えた。

何故か元いた場所で無傷で立っていたのだ。


そして臨戦態勢を整えたオリバーは、

手に持っていた"何か"をそっと懐にしまった。



オリバーの目つきが変わった。

辺りを覆う空気も重くそしてピリつく。


オリバー「…これは元々おどかすだけのつもりだったんだけど…

もういいや。そっちがその気なら…もう知らないよ」


戦闘の序盤に設置していた魔道具は、

その戦場を囲むように等間隔で設置されていた。


オリバーはその中の戦場の真ん中に設置された魔道具に、

小さな衝撃波を放って起動する。

その瞬間、全ての魔道具が起動し、凄まじい電光が走った。



一瞬で戦場が閃光に包まれ、空気が焦げ、

観客席まで震えるような轟音が響く。

ミルドの悲痛の叫びも掻き消され、静かにその場に倒れ込んだ。



謎の魔道具と、殆ど身を守るために使っていた水の魔法は、

この大逆転勝利をもたらす為の布石だったのだ。



電光がやんだ後の静けさの中で、

役目を終えた小さな英雄たちは黒く焼け焦げ、

静かに眠りについていた。


(よく頑張ってくれたね。魔導具たち…。

もっと改良しなきゃな)



突然のことで混乱していた観客は、

ゆっくりと状況を理解し始めると、

徐々に拍手とと歓声を起こしていった。


今大会史上最高の歓声だ。


その歓声の中で静かに戦場を睨みつける者がいた。

院長と隣にいる国王だ。


そして何かを話している。

オリバーには聞こえないが、

何か良くない雰囲気だ。





院長「あれは…魔法じゃない…?」


国王「うむ、魔法ではなさそうだ。あの謎の残滓はなんだ…」


院長「あなたでも分からないなら、

僕には読み取れないかも知れないけど…調べておきます」


院長がそう言うと国王は「頼んだ」と一言だけ言い残し、

その場を去った。





オリバーは大歓声に見送られ、戦場を後にした。





控え室へ続く廊下に、一人の男が立っていた。

その異質な存在感をオリバーは見間違えようがなかった。




——フードの男だ。


この世界にも銃や手榴弾のような兵器の概念はあります。


いつもご愛読ありがとうございます。

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