真犯人
147話目です。
広場で処刑が行われた。
殺人の犯人が裁かれたのだ。
それはガッツが名探偵になる前に静かに終わった。
違う!
俺じゃない!
信じてくれ!
違うんだ!
悲痛の叫びは誰の耳にも心にも届かず、ただ静かに。
民衆の前で磔にされ火がつけられた。
民衆は火がついたのを見ると、
一人また一人と広場を去っていった。
それが燃え尽きるのを見届けもしないまま、
既に処刑は終わっていたのだ。
叫びは暫く続いたが、次第に黄昏に溶けていき、
それでも町は顔色一つ変えず流れていった。
その様子をオリバーだけは最後まで見届けていた。
「また、間に合わなかった…」
彼は本当に罪を犯したのだろうか?
あの叫びは嘘じゃなかった。
しかし誰も耳を傾けない。
その方が都合が良いということが共通認識としてあった。
「……残酷な町だな」
オリバーは広場にその一言だけを残し、宿へ帰った。
「みんな、もう1日だけ貰えないかな?
この町から少し行ったところにもう一つ町があるみたいなんだ。
そこの様子がどんなもんなのか見てみたくてさ」
「私たちもついて行くわよ!ね?みんな!」
「おうよ!この町を離れるんなら俺らも動けるしな!」
「そうですね。この町は私たちには少し息苦し過ぎました」
「我は懐かしい感じがしたがな…。
それに我らの力があればあのように処刑されることもない」
「おいおい、ジラトさんよぉ。
それを言っちゃあ元も子もねぇじゃねぇかよ!」
「でも、その通りですよね。
今の私たちに怖いものなんてないですよ!」
「よし!じゃあ明日早速行くか!
で、どんな町なんだ?」
「その町はね…名前をつけるなら"神罰の町"だね」
「"神罰の町"…?って言うことは…」
「ヒルダの想像通りだよ。
僕たちと同じ存在"しか"いない町だ。
この町の人たちが口々に言ってたよ。
"何かあればあそこに廃棄すればいい"ってさ」
「そりゃ……ひでぇ話だな…。
で、大将はなんでそんな所に行きてぇんだ?」
「ん??た、大将…?僕のことだよね…?」
「ああ、そうだ!ずっとしっくり来なかったんだが、
これだ!って思う呼び方を見つけてな!
それが、"大将"だ!
オリバー、あんたは俺らのボス…大将だからな!」
「まあ、何でもいいけど…なんかむず痒いね…」
「まあいいじゃねぇかー!で?理由の方は?どうなんだ?」
「そうだね…。
僕たちは…いや、僕以外か。
みんなはさ、神罰を受けてもこうやって明るく旅をしてるじゃん?
それが上手く行き過ぎてると思うんだ。
その町に行けば"本当の神罰"を見れるかもしれない。
ちゃんと現実と向き合えるかも知れないって思ってさ…」
「確かにな。我らは仲間同士の助け合いもあって、
色々ありながらもここまで来れた。
今思えば、確かにこれは異常だ」
「そうだよね。私も最初は死にかけたんだから。
オリバーたちが助けてくれなかったら……」
「そうです…。みんなオリバーさんに助けられてますよね。
私も、ガッツさんもクラウンもみんな、
オリバーさんが居場所をくれたんです」
「その町でもオリバーが希望の光になれればいいよな」
「変な期待しないでよ、ガッツ。
みんなありがとね。
僕の方こそみんなの力がなかったらここまで来れてなかったよ。
もちろん、クラウンもね」
「じゃ、いっちょみんなで真実を見に行くかぁー!」
「なんでクラウンが仕切ってんのよ!」
そうしてオリバーたちは宿で休み、
次の日の朝、"神罰の町"へと向かった。
そして彼らは笑顔を失った。
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