永遠
142話目です。
人なんて殺したかねぇ。
そう思っていたのにな。
それを正統化する理由ができちまった。
そっからは案外簡単だった。
物を壊すのと同じだ。
一番簡単に壊れるところを叩けばいい。
俺の仲間はな、全員死んだ。
嵌められたんだ、アイツらにな。
俺も嵌められ、危うく死にかけた。
だが。
永遠の命を手に入れちまった。
自らの"いのち"と引き換えにな。
"刹那の拍"
神がこの世に授けた聖遺物だとよ。
コイツはその中に膨大な生命力を有している。
俺の"いのち"もな。
だが、コイツを身に着けている間は何があっても死なねぇ。
俺は一生…仲間に会えねぇ…。
だからよ、せめてもの弔いに…皆殺しにしてやろうってな。
トゲ付きメイス…センスいいだろ?
命の終わる音が手に伝わってくるんだ。
コイツの重みと一緒に、ズシッとな。
何の変哲もないただのメイスだが、
俺にとったら最高の相棒だ。
そして、終わった。
因縁の相手は全員殺した。
相棒と共に。
だけど…だけどよ…!
だから何だってんだ…!
弔い…?ふざけんじゃねぇ…!
何にも…何にも…ねぇじゃねぇか…!
復讐の先なんてよぉ…!
胸のコイツを捨てれば、簡単に死ねる。
だけど、そんな勇気もねぇ…!
殺しに逃げ、生に逃げる。
これからずっと逃げてばかりの人生なんだろうな。
へっ。人生なんておかしいか。
俺はもう死んでんだからな。
これから先もずっと……永遠に死に続ける。
死という刹那を紡ぎ続けるんだよ。
神様?ハッ!そんなもんクソ喰らえだ!
見守ってくれてんなら、
あんな理不尽なことはなかったんだからよぉ。
「ま、こんなもんだ。
ちと、熱くなりすぎちまったがな」
相変わらず仰向けに倒れたまま、星を見ながら言った。
『まだだよ。
まだ二つ聞きたいことがある』
「…もうなんでも言えや」
『転移魔法陣…意識して使ってるよね?』
「当たりめぇだろうが。
ここらの遺跡関係者は全員アレで移動してる。
ま、どことどこが繋がってるかなんて誰も知らねぇけどな」
『そ、そうなんだ…へぇ〜…』
「で?もう一つは?」
『君の名前を教えてよ』
「覚えてやがったか…。
名前か…。そうだな…」
ガイコツ男は顎に手を当て何か考えている。
名前を言う人の行動とは思えない。
「ヨシ!クラウン…クラウンだ!
どうだ?いい名前だろ!?」
『え…?今考えたよね…!?』
「クラウンなんだよ!名前なんてそんなもんだ!
さ、もういいだろ?しばらくそっとしといてくれや」
『もう復讐は全部済んだの?』
「お前、話聞いてんのか?
ああ!終わったよ!だからもうやることねぇんだ。
人生もまだまだ長い。フラフラと旅でもするさ」
『ふーん。じゃあさ、僕たちと一緒に旅しようよ』
「はぁ!?」
「ちょっと!オリバー!
水差さないようにって黙って聞いてたら何言い出すのよ!
アンタも後ろからゴンッ!といかれるわよ!」
「そうだぜ、オリバー。
確かに良いところもあるけどよ、俺は人殺しとは一緒に行けねーよ」
「ならば、我はここで旅を降りるとしようか」
「なんで…!あ!そうか…!
違う!ジラトは生き延びるのに必死だっただけじゃん!」
「クラウンといったか…こやつも我とそう変わらぬ。
自らを正統化する為に人の命を奪った。
その事実だけはクラウンも我も同じだ」
「ジラト、悪かったよ…。
考えなしにいっちまった。
ほんとにごめん」
「謝るのは我にではない。こやつに謝罪するのだ。
そのような軽蔑は誰も許さぬ」
「…ク、クラウン…その、悪かったよ」
「お前…!ただの良い奴かよ…!
俺は何も気にしてねぇから…!
だからお前も気にすんな!な!?」
「へっ!ありがとよ」
「私の魔力が震えていたのは、この因果のせいだったんですね」
「ネフィアも受け入れてるじゃない…!
まあ、いつもそうだけど、
私がここでどうゴネても結局は決まっちゃうのよね。
オリバー、もう…任せるわ。あなたに」
『だって、クラウン。どうする?』
「お前らの旅の目的もわからねぇのに、ついてけるわけねぇだろ」
『でも、フラフラ旅するんでしょ?
じゃあ僕たちが行く方向にフラフラおいでよ』
「かぁー!ったく!そう来たかよ!
まあちょっと一晩考えさせてくれや。
もう絶対……逃げねぇからよ」
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