次の舞台
140話目です。
そこは乾いた大地だった。
木々は痩せ細り、葉はほとんど枯れ、砂埃が舞い上がる大地。
傾斜が多く、地面の凹凸の激しさから、ここが山中なのがわかる。
そして、彼らが立っているその場所は、
辺りを見渡せる高台に位置していた。
川や湖などもなく貧しい山脈だった。
彼らは一歩ずつ足を踏み出していた。
岩かと思うほど硬い地面。
芝や落ち葉の柔らかさはもうここにはない。
ギャァァァアアア!!
空で声が響いていた。
大小様々な竜が、まるで鳥のように飛び回っている。
乾いた空は綺麗だった。
どこまで見渡しても雲一つない。
その綺麗さが土地の貧しさを物語っていた。
オリバーたちは、転移した。
全員で手を繋いで。
どこに転移したのかはまだわからないが、
違う大陸に来たことだけは確信していた。
『みんな…いるよね?』
「今度は一緒だぜ!」
「はい。無事転移できたようですね」
「今回はちゃんと自分の足で来たわ!」
「……ここは……」
『ジラト、どうしたの?』
「…見覚えがある。
いや、見覚えではないな。
体が覚えておるのだ。
この空気を吸って生きてきたことを、な」
「ジラトはこの大陸出身だったってこと?
ってここはどの大陸なの?」
『それは探索してみないとわからない。
いきなり山を探索するのはちょっと厳しい。
麓まで降りて街を探そう』
「なあオリバー。
ほかの大陸ってどんな特徴があるんだっけ?」
オリバーは『古記録』を取り出し、
残る東、南、西の大陸の説明をした。
東の大陸は、天空に向かってそびえ立つ台地がある。
南の大陸は、"深淵の歩み"という、
大陸を分断するほどの大きさを誇る渓谷がある。
西の大陸は広大で、
渓谷や山脈が非常に多い。
"千年竜の背骨"という、大陸のどこにいても
その姿を拝むことができるほどの巨大な山脈がある。
その説明の後、全員が思った。
西だ。
オリバーたちはこの大陸を西の大陸とし、旅を進めることにした。
山の麓には栄えた町があった。
どうやら今降りてきた山脈一帯が観光名所となっているようだ。
そこら中に小迷宮が発生しており、そこで稼ぐ冒険者も多い。
町の周囲には遺跡も多くあるようだ。
『レリックハンター…いるね』
「もうあいつら見かけたら何か事件が起こりそうで不安だわ…」
「見張ってみねーか?」
「やめておけ、巻き込まれるぞ」
「…あの酒場を利用しているようですね…」
「ちょっとネフィア!やる気マンマンじゃない!
やめなさいよ!」
「目星をつけておいただけですよ。
絶対何か起こる大きさの酒場じゃないですか!」
『みんなはあそこのテラス席で食事でもしておいて。
僕は屋根の上からあの酒場を見てるよ』
そう言い終えたと同時に姿を消し、
次に目をやった時には既に屋根の上で待機していた。
『…こういう時、見張っている間は何も起こらないんだ…』
なぜなら、既に事が起こった後だったからだ。
そのことに気づくまでそう時間はかからなかった。
酒場の出入りが激しい。
慌てている。
大きな声で呼びかけている。
怒って出てくる者もいた。
『……遅かったみたいだ』
オリバーはすぐに仲間のもとに戻り、事情を伝えた。
前の事件とは違い、いくつか救いはあった。
被害者の仲間が生きていたこと。
彼らもまた復讐に燃えていること。
その復讐と復讐がぶつかる場所が必ずあること。
『みんな、ついていこう』
オリバーたちはずっと見ないふりをしてきたこの事件に、
関わろうとしているところだった。
いつもなら誰かが止める。
誰かが疑問を投げる。
しかし、今回は異論はなかった。
同意の声もなかったが、その行動で意思を示していた。
そして、山麓の町近郊の遺跡にて。
オリバーたちは遂に、青い光の揺らめきをその目で見たのだった。
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